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猫を飼いたかった友達の話

皆さん、猫はお好きだろうか。


自分は犬を飼っているけれども、正直猫もかなり好きだ。もし猫がふいに近寄ってきて、撫でてもいいぞと足元からの視線を頂こうものなら、その場で五体投地して財布から一万円を差し上げたいくらいには好きだ。


これは猫と言うと思い出す、高校の友人の話。


彼女は猫が好きだった。

猫とみるや、「ネコチャーン」と言って駆け寄ってしまうような、どこにでもいるごく普通の猫好きであった。


ところが猫が飼いたいと父親に相談しても、「マンションだからうちでは飼えないよ」の一点張り。


しかし、どうしても猫と一緒に暮らしたい....。

そこで考えた。


猫を買ってもらうのは無理でも、拾ってきてしまえばなし崩しに飼えるのではないか...!?

こうして彼女は、弟と2人で、捨て猫を探す旅に出た。



弟と手分けして街の中を駆け、道という道を探し回った。


どこかに落ちている子猫はいないのか。拾ってくださいと書かれた段ボールはないのか。寂れたクッキーの缶は。タオルの敷かれたバスケットは。



血眼になって探したが、とうとう夕方になっても猫の子一匹見つからなかった。

そんな都合よく猫が落ちてるわけない...。


落胆して家に帰ると、


弟が待っていた。




段ボール箱を抱えて。


おおおおおお!!!!


それどうしたの!と聞くと、


「どっかの家の前らへんにあった」


でかした!弟!お前がキングオブ弟だ!


箱を受け取ると、ズッシリと重さが伝わってくる。


これで今日から猫と一緒の生活かぁ...。

心躍らせ、猫を驚かさないよう、箱をゆっくりと開ける。すると、




箱いっぱいのミョウガが、じっとこちらを見返していた。





????????????




「...............弟」



「元いた場所に返してきなさい」





こうして、猫を飼う計画は白紙になった。

時がたった今、彼女は猫を飼えているのだろうか。

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