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村田椰融「妻、小学生になる。」

月が替わったら読書メーターのまとめとともに、印象深かった作品について今年も書いていこうと思います。

まず、先月とてもショックな出来事がありました。地元のTSUTAYA閉店のお知らせ。

DVDやCDのレンタルは久しくしておりませんでしたが(すまん)、コミックレンタルでとてもとてもお世話になっていました。毎年100冊を超える漫画を読み続けてこられたのも、このTSUTAYAのコミックレンタルのおかげ。私はこの先、どうやって生きていけば良いのでしょう。サブスク電子版?いや、私は漫画だけは紙の本で読みたい派なんです。あああ~、ブックオフやメルカリでなんとかやりくりしていけるだろうか。。もしかしたら漫画離れが進むかもしれない。

それはさておき、村田椰融「妻、小学生になる。」12、13、14巻(完結)を最後のレンタルで借りて読み終えました。
11巻までは毎巻出るたびに読んでいましたが、最後は完結まで一気に読みたいと思って中断していました。TSUTAYA閉店の知らせを受けて慌ててレンタル。

以下あらすじ、感想、ネタバレありなのでご注意ください。

あらすじ
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10年前に死んだ妻(貴恵)が、ある日突然、10才の女の子の姿で夫と娘の前に現れる。(貴恵の記憶が別人の女の子に降りてきた形)小学生姿ながら再会を喜ぶ夫(圭介)と娘(麻衣)は、周囲には実の関係を内緒にして頻繁に会うようになるが、隠し通せるわけもなく、女の子(万理華)の母親には打ち明ける。
話は進んで、死んだ妻の記憶が何故10才の万理華に降りてきたのか、これからも体は万理華で心は貴恵としてずっと生きていくのか議論になる。それでも圭介と麻衣が明るさを取り戻して、貴恵は安堵していた。そんな矢先、心が万理華に戻り、貴恵の心が消えてしまうことがあった。そしてある仮説が立てられる。貴恵の記憶が万理華の体に降りてきたのは、妻が死んで不幸に打ちひしがれる圭介と麻衣を放っておけず、貴恵の魂がこの世に引き止められているのではないか。貴恵たちはこの先どうすべきか思い悩むのであった…
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読み始めたきっかけは、友人がドラマを観て面白かったと言っていて、自分はドラマは観ないので原作漫画のほうで読んでみようと思った次第。
最後は、家族との予期せぬ死別をどう受け入れるかについて考えさせられました。
もしも自分が先に死んだならば家族には、あまり悲しみに時間を費やさずに、楽しい時間で人生を満たしてほしいと思います。当然です。
問題は先に逝かれて、自分が遺された場合です。上に述べたように、先立つ側が望むようなポジティブ思考を、遺された側が容易に持てるだろうか。
想像しただけでも、やはりそう簡単には明るく前向きにはなれない。しかし、いつ突然別れが訪れるかもわからないですし、心の片隅ではそうした覚悟もしておかないといけないのかなと思いました。

作品については、ラストがちょっと微妙ではありましたが、最初は負の感情に包まれていた登場人物たちが、この不思議な出来事に直面して改心し、それぞれ幸せな人生を歩み始めるエンディングだったので良かったです。子ども姿の貴恵の目が、場面場面で様々な感情を抱いている描かれ方も、漫画ならではで良かった。

ちなみに、僕は死者の魂というものの単独の存在は信じておらず、あくまで生きている人間の意識の中だけのものだと思っているので、当然、このようなことは現実には起こり得ないと思っています。しかし、私たち生きている人間が、死者の魂の存在を想像したり感じたりできることは、生きていること、生きていたことの幸せのひとつと考えたいですね。

2023年12月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:1745ページ
ナイス数:91ナイス
https://bookmeter.com/users/959347/summary/monthly/2023/12


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