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よもぎ図書だより14

<はじめに>
今回はコミック本、女性のマンション購入を通しての様々な生き方をそっと綴った作品の紹介です。

<注目本>
プリンセスメゾン(全6巻) 著者:池辺 葵
※画像は私が所有しているものを撮影したものです。

<出会い>
ドラマ化もして知名度が高かった時、気になりつつも…独りの女性がマンション購入に奮闘する話というざっくりしたあらすじをみて、なんとなく暗い気持ちになりそうだなぁと失礼ながら敬遠してしまっていました。
女性のおひとり様という言葉が出てきて浸透していた時期で、孤独を皮肉にツッコまれながら一人でいる覚悟で気持ちが折れそうでも頑張るみたいなドラマや小説、漫画が出始めていた時期でもあったかと思います。(実際にそれらの作品をみたわけではないので、内容をきちんと目を通していたらそれだけではない心がしゃんとするような、元気がでるものかもしれませんが、それでも宣伝の謳い文句はそういう煽りが多くやはり気持ち的に手にしてみようとはならなかったのです)
それでも1巻のなんとも言えない雰囲気に惹かれ数年前に1巻だけとりあえず読んでみようかなと手にしたのが始まりでした。
読んでみると、とにかく登場人物たちのささやかな幸せであったり、苦しみであったり、それが当たり前の日常のなかにぽつりぽつりとあるんですが、何気ない誰かの言動で前をまた見ていけるようになるんです。
とてもとても心が救われます。そんな魅力に憑りつかれ気づいたら大好きな作品になっていました。
詳しくは次項の紹介で触れたいと思います。

<紹介>
女性のマンション購入だったりマンション売却という住む処を軸にいわゆる結婚していたり子供をもっていてもおかしくない年齢の女性が独りで自立している生活をのぞき見させてもらうような感覚です。何かを皮肉めいたような描写でもなく、独りであることを誇りに掲げるような描写もなく、周りの誰かが勝手に思い込んでいる基準の枠からはみ出ても、それがだからどうしたの?とおくびにも出さないのですが、それがどこか強がっているわけでもなく、だって私はそうなのよと自然体で丁寧に自分自身にとって最善の選択をしている…というような感じの色んな女性のオムニバス形式のお話です。
特に女性にはふわっと心に柔らかく心地の良いようなベールが舞い落ちてくるような感覚になる作品だなぁと…

また全編通して、若くして両親が他界し自分の家を欲しいと思いマンション購入を検討、購入する主人公沼ちゃんと彼女を取り巻く人間関係模様がまた、すごく心がじんわりときます。登場人物達の些細な言動がいつの間にか心を軽やかにしてくれるような、誰にも言えないけど醜いような生きていくうえで抱く小さな感情もそっと受け止めてくれ、そんな自分自身を批判ばかりせず、そうだよねとたったそれだけで前を向けるような気持ちにさせてくれます。

生きるのもう少し楽しんでみようかな、がんばってみようかな
という気持ちにもなる

そんな作品です。

<小話>
この作品はやわらかスピリッツ(リンク先は公式のHPです)で連載しており、こちらのネットマガジンは漫画を無料で公開しています。掲載期間があるので、期限が過ぎた話は読めず、読みたければ書籍を購入しなければなりませんが最初の1話や、途中の話、そして最新話は公開しているので気になるけどなかなか行動に移せないなぁ…という方は一度こちらから数話読んで気になれば書籍を購入等してみるとよいかもしれません。
プリンセスメゾン(リンク先はやわらかスピリッツ内のプリンセスメゾンの公式ページです)は現在(2019年1月17日時点)で1話、5話、10話、そして最終話51話が公開されています。最初の3話分ほど読んでみたらいかがでしょうか。


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