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よもぎ図書だより11

<はじめに>
今回は猫の語りで人間の物語が進む小説の紹介です。

<注目本>
旅猫リポート 著者:有川 浩
※画像は私が所有しているものを撮影したものです。

<出会い>
元々、「図書館戦争」「空の中」「海の底」「フリーター家を買う。」「県庁おもてなし課」「レインツリーの国」「空飛ぶ広報室」「阪急電車」「植物図鑑」これらすべてが同著者によって生まれた作品なのですが、リアルタイムで読んでいます(発売してすぐに手にして読んでいました)
なぜ有川さんの作品を追いかけていたのか…それは、とにかく登場人物がかっこいい、人として尊敬したい…師事したいというか…そのくらい一本筋が通っており逞しく、時に泥臭くもあるけど輝いているカッコいい大人が出てきます。そしてセリフひとつひとつに魂が入っているかの如く、心に響くを通り越して心に刻みこんできます。それはもうグサリ、グサリと…でもそれは決してネガティブなことではなく、読み手側も何か心に閉ざしていた気持ちを押し上げて前を向いて歩きだそう…そんな強い気持ちにしてくれるものです。物語自体は自衛隊ものの代表作が多いですが、さまざまなジャンルを網羅しています。また多くの著作が恋愛色が強いです。私は小説でこんなにも恋愛少女漫画を読んでいるような感覚にさせられた作品にはいままで出会ったことがありません。そして先ほど上げたタイトル群は特に私が熱中して読んだ作品のみあえてあげました(このほかにも多くの作品を手掛けており、とても面白いですよ)、それでもそれらを指し終えて「旅猫リポート」を推したいです。
ある意味有川作品の中では異色の物語ですが、とてもとても心に染みわたるお話です。ずっとずっと心に残っています。

<紹介>
一匹の猫と青年の物語です。

一匹の猫に出会い、共に暮らし、そして最後を迎える。

物語全体がとても濃縮された人生を歩むような感覚になる作品です。語りは猫です。猫好きの方には是非にとススめたいですが、正直猫好きがどうとか関係なく手にしてほしいです。
あまり声を大にして言えませんが、私は最後目の前が塩水でいっぱいになりました。

ぜひこたつにミカンをお供にして読んで欲しい作品です。

<小話>
今回の号で旅猫リポートを選んだのは、図書だよりを発行するにあたって次は何の蔵書にしようかなと思案していた時、実写映画化を知ったからです。映画をきっかけに、番宣をきっかけにこの作品を知ったのなら、すこしでも原作に手を伸ばしてもらえたらなぁと…そんな思いです。
映画はまだ見ていませんが、小説だからこそしか感じることのできない表現や雰囲気などがあります。よかったら是非活字でも作品に触れて欲しいなと思います。

その他、猫関連の書籍紹介記事→綿の国星

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