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『カメラは、撮る人を写しているんだ。』は、どの仕事にも通じる心得書だった @mikaikeda6

私は、カメラマンです。

カメラマンを名乗るのは少し気が引けますが、写真を撮ってお金をいただくことがあるので、恥ずかしがらずにきちんと名乗るべきなのでしょう。
ラブソル取締役の池田です。

小さい頃から写真を撮るのが好きで、大学生になってからは、お金を貯めては一眼レフを買い、カメラを手に旅していました。
ラブソルを創業後、さまざまなお仕事を請け負う中で、撮影が仕事になる日が訪れました。
趣味がお金になる瞬間は、こそばゆいけれども誇らしいような、不思議な感覚でした。
その後も、幅広いコンテンツ制作を担当しながら、ご依頼があれば撮影のお仕事をしています。
ラブソルでの撮影のお仕事をまとめた記事はこちら

写真について書いてあるけれど、ハウツー要素は一切ない本

『カメラは、撮る人を写しているんだ。』
ダイヤモンド社から2024年1月に発売された、比較的新しい本です。

著者は、ワタナベアニさん。
広告プロダクションでのアートディレクター業を経て、42才で写真家として独立された移植の経歴を持つ方。
雑誌・広告・ファッションカタログ、国内外での写真展を中心に活動されています。

つい先日、表参道にある青山ブックセンターに立ち寄った際に、入り口近くのコーナーに陳列されていたのが目にとまりました。

カメラマンさんの書いている本なので、ノウハウ本かな? しかし、パラパラと眺めてみると、文字ばかり! 写真のハウツー本ではなさそうです。
ページを開くと、写真をはじめたばかりの青年カズトと、プロのカメラマンであるロバートとの対話で構成されています。

カメラ販売店で購入するカメラを選んでいたカズトに、ロバートが声をかけるところから始まり、「どのカメラを選ぶか、何を撮るか、どう撮るか。誰に学ぶか、どこを目指すか、なぜ撮るか。」について、二人の会話が続きます。

会話形式なので、読みやすくあっという間に読めるのですが、カメラのノウハウどころか、どんな仕事にも通じる深い内容でした。

カメラマンのお仕事中の私。趣味が仕事になること、あるんです

撮る人のボキャブラリー以上の写真は撮れない

ロバートがカズトに伝える言葉のなかで、印象的だったものがあります。
「カズトはカズトのボキャブラリー以上の写真は撮れない」

これだけ読むと???となってしまうと思います。

人間は言葉を通してしか、そこにある状況を認識できないと言います。もちろん、映像や写真であっても。
ただシャッターを押すだけなら何も考えなくても目をつぶってもできますが、実際には、その瞬間・その場所・その被写体を選んで撮っているはずです。

ラブソルの公式サイトのトップ画像にもある、エッフェル塔とセーヌ川
パリを訪れた際に、この画を納めたいと思い撮影

写真を撮るということは、実は「選択」をしているということ。そして、その選択にあたって、自らのボキャブラリーが必要になってくると言うのです。

ここで言うボキャブラリーというのは、言葉のことだけを指すのではなく、体験や思考までをも含みます。

膨大な情報の中で、何を選び撮るか、写真に写るものの良し悪しを見分けられるようになるためにも、自らのボキャブラリーの量が重要になってくるのです。

人は、自らが知っていること以上のアウトプットを、出すことはできません

勉強した以上のことはテストでは答えられないし、研究した成果以上のことは論文に書けません。
日々の会話でも、多くの人を惹きつけ納得させる話し方をするような人は、膨大なインプットをしているから、人に語ることができるんですよね。

ボキャブラリーを増やすには、「本を読んだり音楽を聴いたり映画を観たり、知らない土地に行って食べたことがないものを食べたり、できるだけ多くの体験と経験をストックしておくべきだ。」と、書かれています。

これは、常日頃ラブソル社内で語られていることですが、良いアウトプットのためには、日頃から良いものに触れておくことが大切です。
良いデザイン、音楽、美術に触れ、歴史を知り、本を読み、旅をして、美味しいものを食べて…、とにかく引き出しを満タンにしておく。

ちなみに、ラブソルではメンバーと一緒に旅をすることもあるし、美味しいものを食べに行く機会をつくるようにしています。

つい先日、ラブソル代表のゆかと私、それに弊社を卒業したメンバー、デザイナーのでらみで韓国に行ってきました。

やはりそこでも体験価値の強さを感じました。

でらみのつぶやきに「感性はほうっておいてなんとかなるものではなく、手塩にかけて育てるもの」という言葉があり、この本の内容とリンクしてぐっと入ってきました。

アラフィフだって遅すぎない! 自らを磨いて磨いて高めていく

先ほどの、自らのボキャブラリーを増やしていくことでアウトプットの質が上がる話は、この本のかなり前半に出てくる話題です。
しかし、全ての根本がここにあるような気がして、私が一冊を通して一番線を引いていたのがこの部分でした。

私は、非常に怠惰な人間です。

これは子供の頃からそうで、クラスや学年、同期社員など狭い世界の中では上位数パーセントでありたいけれど、ある程度安定したらそれ以上の努力はしない。そんな子だったように思います。

ある意味レールを敷かれていた小中高から大学、就職までは、ある程度良い成績を取り、ある程度良い大学に行き、ある程度有名な会社に就職して、と順調に進めることができました。

しかし、自らをとことん磨くということが本当に足りていなかったと、40代も半ばになって痛切に感じています。経営者として突き抜けられない要因も、自分への甘さからきていると思います。

そんなことはわかっているのですが、改めて「写真」というテーマが気になって手にした本で思い知らされることになるとは。

旅好きの飛行機好きの私。この飛行機のように右肩上がりの人生を送りたい!

しかし、ポジティブでもある私は、まだ人生投げるには早すぎると思っています。
なぜなら、最近少し潮目の変化を感じているからです。
今まで積極的に仕事を取りに行くというより、ありがたいことにいただく仕事に真摯に取り組んできました。

これからは、もう一段ギアを上げて、仕事の幅を広げ、会社を大きくしたい。
経営者として成長したいという気持ちがあります。

この本の著者であるワタナベアニさんは、新卒からアートディレクターとして働き、42歳になってからカメラマンとして独立しています。

指示を出す側ではなく、実際に最前線で撮影をする立場をやってみたくなったからと言います。
人生いつからだって道は変えられるし、いつからだってその道のプロになれる。
そんな気持ちになった本でした。


池田 実加▶︎SNS...X(旧Twitter)

<ラブソルへのお仕事依頼についてはこちら>


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