見出し画像

【アートのミカタ18】ヘスス・ラファエル・ソト Jesus Rafael SOTO


【概要】素直に感動できるインスタレーション

エスパス ルイ・ヴィトン東京にて開催されている彼のインスタレーション「Hors-les-murs(壁を超えて)」が象徴するように、ソトの作品は「美術鑑賞」を超えた感動を与えてくれます。
その大胆な表現は、キネティック・アート作品とも呼ばれていますが、キネティック・アートにはもっと実験的な無機質な印象が私の中ではありました。ソトの作品にはそれが象徴する表現を超えた美しさや強い信念が入れ込まれているように感じます。素直に「綺麗」と思える感情を大切にしつつ、今回は現代アートの分野からお話して行きましょう。

*キネティック・アート
動く美術作品、または動き出しそうな美術作品。「彫刻」というと立体作品で、実際に自然の力で動くものも多い(風に揺られて、作品の一部であるプロペラが動くなど)「平面」というとトリックアートのように動き出しそうな装いをしているもののことを指したりする。
いずれにせよ(こう動くのだろう/かもしれない)と予想できるようなアート作品を指す。

画像1

なぜ美的センスをくのか。科学の発展に伴い、心を作る芸術的思考もより広く知ってもらいたい。
このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテーマに、少しでも多くの人にアート思考を築くきっかけにならないかと書いています。
まずはそれぞれの画家の特徴を左脳で理解し苦手意識を払拭するのがこのブログの目標です。その後展示等でその画家に触れる前の下準備として御活用下さい。私たちの味方となり、見方を変える彼らの創造性を共有します。


目次
【概要】素直に感動できるインスタレーション
【背景】アバンギャルドブームのアンチ
【核心】純粋な感動を重んじる

【背景】アバンギャルドブームのアンチ

1923年ベネズエラ出身のアーティストです。
1950年にフランスに渡るそうですが、その頃の時代とは第二次世界大戦が過ぎ、アバンギャルド(前衛美術)に走っていたそうです。彼はそんな流れのアンチテーゼとなるわけですが…。

それにしても紀元前から現代まで書いているこのブログですが、本当に、現代になればなるほどブームの回転が早いですね。より戦争も世界規模になったり、グローバル化が進んでいくので自然な流れかもしれませんが。

フランスといえば、古典芸術(西洋美術)を重んじる国柄を持っています。
しかし20世紀初頭、産業革命や第一次世界大戦(戦争が原因でこの世に亡くなる美術作品も多くあります。)などの影響で、芸術という分野は大きく変化して行ったでしょう。キュビズム・シュルレアリズム・未来派など、目新しい派閥が多く誕生しました。

それが半世紀も続くと、アバンギャルドモダニズムなんていう、はたまた目新しい派閥が生まれたようです。
この頃のアーティストといえば、便器にサインを書いた「マンセル・デュシャン」や、以前ブログでも紹介した「アンディ・ウォーホール」などが同年代です。

ソトはそのような、前衛的な芸術を求めるアーティスト達に背を向けるかのように、作品の展開をして行きました。

画像2

【核心】純粋な感動を重んじる

1999年に制作された今回のインスタレーションでは、鑑賞者が「中に入り」、「作品を動かし」て「感動を与える」ものとなっております。

キネティック・アートの域を超えた、不規則な動があって初めて完成する作品。ここは「美術が苦手な人」に伝えるために書いているので、あまり抽象的な表現は避けますが、恐らく多くの方に、入ってみると「きれーい!」「楽しーい!」などワクワクさせてくれるでしょう。

実際に、あの青いPCV(ポリ塩化ビニル)の間をかき分けていくと、自分が通った後もゆらゆらと揺れる青に、自分の軌跡を感じることができますし、触れていなくてもなんとなるたゆたう様には、前通った人の面影か、あるいは風の痕なのかを感じさせる余裕が生まれます。

これはどちらも、普段視覚的に見えていない現象を見る行為となるので、今まで身近にあったものに気付いた感動を与えてくれるのではないでしょうか。

そうゆう純粋で素朴な感動を、極限まで抽象化したこの空間が、私たちに教えてくれます。

画像3

ここまで読んでくださってありがとうございます。
画家一人一人に焦点を当てると、環境や時代の中で見つけた生き方や姿勢を知ることができます。現代の私たちにヒントを与えてくれる画家も多くいます。
また次回、頑張って書くのでお楽しみに。


【展示会情報】


いつもたくさんのご支援・ご声援、ありがとうございます。