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その18)減る仕事とベーシックインカム

私は、ベーシックインカムが導入されるいちばんのきっかけは仕事がなくなることだと予想しています。現在は、社会に必要不可欠で、責任は重く、求められるスキルは高く、収入は低いみたいなエッセンシャルな仕事は人材不足という印象があります。

誰でもできる仕事はどんどんロボットなどにとって変わられています。例えば、スーパーの自動レジは人材不足の解消もありますが、お客様に自分でレジを通してもらうので人員削減の効果も大きいです。監視カメラは万引きの監視のほか、品出しが必要な棚のチェックもしています。飲食店の注文も食券式・スマホ・タブレットが増えてきました。

ホワイトカラーの仕事もAIによってどんどん減っています。オンラインでの取引が主流になり、会社の維持に大きなビルが必要なくなり、多くは自動化によって大幅に人員削減を行っています。銀行も可能な限り支店やATMを減らしてそこにかかる人員を減らしています。与信もAIで一瞬で終わるので、融資係もいなくなると言われています。昨年IT大手のGoogleがAIに業務を代替するため3万人のレイオフを発表したのも話題になりました。今後AIに代替される仕事は600業種を超えると言われています。

製造工場のオートメーション化も進んでいて、地方に大規模な工場が誘致されると聞いて喜んでいたら、正規採用されたのは管理担当の2名だけで、あとは数名のパート・アルバイトだったという話も多いです。物流もトラックの倉庫間の長距離自動運転が始まったら運転手不足は解消されていくでしょう。

自動車の修理工場も、最近の自動車部品はブラックボックスばかりになってしまい、古い車の整備中心になってきていると聞きました。職場に古い機械があって、それを動かせる職人さんはその機械が使えなくなるまで働き続ける感じだそうです。ローテクはハイテクが使えないときの命綱になるのでなんらかのアーカイブは残しておいてほしいですね。

このように仕事はいきなりなくなるのではなく、少人数化していく形でなくなることが多いようです。導入・運転・処分までのトータルコストが人間よりも安くなれば、仕事は簡単に入れ替わっていきます。最後まで残ってくるのは人の手を必要とするエッセンシャルワークになるので、政府にはそれを見据えた社会保障の設計をお願いしたいところです。

こうして考えていくと、ベーシックインカムの導入は「自分ができる仕事がなくなった」という状況下で施行されるのかもしれないと思っています。エッセンシャルワークで求められるハードルはどんどん高くなってしまい、働きたくても職場に適応できない。そんな人達が増えてくるのではないでしょうか。

できる仕事がなくなって、生活保護では補足しきれない人々をなんとかするためにベーシックインカムが導入されるという流れはあるかもしれません。

次回からは、ベーシックインカム社会での恋愛や結婚、子育て、教育などについて考えていきます。

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