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その21)ベーシックインカム時代の教育

ベーシックインカムが導入された近未来の社会では、学校や勉強のスタイルはどのように変化しているでしょう。日本は江戸時代までは寺子屋があって、主にお寺で色々な年代のこどもがともに学んでいました。日本人の識字率が高かったのはこの影響が大きかったようです。

明治時代に入って小学校が始まり、一斉授業(いっせいじゅぎょう)が導入されました。一斉授業とは教師が黒板の前に立ち、クラス分けされた同一学年の子供達に向かって行う一方向的な授業です。暗記と規律が主体になっていて、当時は軍隊の強化や工場でよく働く人材を育てるのにもっとも効率の良い教育方法でした。学歴が重要になったり、遅刻など時間に厳しい文化はここから始まったとされています。

戦後〜平成は学歴社会が最高潮で、良い学校を出て、世間的に評判の高い安定した職につくことが良しとされる時代でした。パソコンやインターネットが普及してくると、知らないことは調べれば良いという形に勉強のスタイルは変わってきたように思います。また、最近は生成AIによって、必要な文章や画像などを簡単に作れるようになってきました。

ベーシックインカムの社会は、AIやロボット等によって多くの仕事が代替されている社会になっていると予想しています。一方で人々の価値観は多様化していく一方なので、一斉授業というスタイルが合わなくなっていくと思われます。ライフワークバランスという言葉がありますが、この世界ではライフのほうが割合が大きくなっているのです。

現在、教育現場でも子供が自ら考え学んでいく「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指して手探り的に様々な取り組みが始まっています。自分の人生を自分でクリエイトしていく創造性豊かな子供が次世代を担っていくというのが理想的な姿と言えるでしょう。

知識はテクノロジーが補完してくれるなら、人に求められるのは対話などのコミュニケーション能力と、自分の考えが周囲の世界に影響を及ぼすプレゼン能力でしょう。さらに、新しい発見やアイディアを得るクリエイティティも必要になります。対話はお互いの知性や教養が高いほど有意義で幸福感が増します。記憶科目はパソコンで行えば十分になるので、それ以外の豊かさを求めていく教育に転換していくことが求められていくと思います。

まだ解明されていない謎や、解決していない紛争、エネルギー問題、宇宙開発などに果敢に挑んでいく超優秀な人材もそんな中から現れるのだろうと期待しています。そこまで行かない市井の人であっても、毎日を楽しく、心豊かに暮らす術を持てば困ることはないでしょう。それを助けるための勉強や、教育が求められています。

さて、教育が進むと、その後の「親離れ」があるわけですが、次回はそれについて考えていきます。

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