見出し画像

松本かつぢと戦前の少女マンガ(序文)

戦前に竹久夢二とそのフォロワーたちによって少女雑誌を彩った抒情画だが、大正期には少年誌でも活躍して人気を博した高畠華宵が登場、さらに都会ではモダンガールが話題になり昭和前期になると中原淳一や松本かつぢといった新世代が活躍し始めた。この二人が活躍した『少女の友』では、彼らの描く絵を『叙情画』と表記し、従来の抒情画とは一線を画すものとしていたように思われる。そればかりではなく、彼ら以前の挿絵画家たちの中にも詩を描いてそれが時に広く歌われることがあったが、中原は服飾デザイナーとして読者の少女たちに美しいライフスタイルを提案し、松本は少女たちの生活そのものを漫画という形式で提示したのである。本稿では、その関心を松本かつぢのマンガ作品に焦点を合わせて、その歩みをたどっていこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?