歓送迎会の幹事を初めて託された、すべての仕事人へエールを送りたい!

はじめに

歓送迎会、まるでそれは抜き打ちテストのように、意図しないタイミングで突然やってきます。

同じ部署や局に所属する上司の急な異動、出向、退社などなど。新入社員の方は、入社後の歓迎会をいったん終えると、 主賓から幹事へと立場がガラッと変わり、秋の訪れとともに「幹事の任務を一手に引き受ける」 なんていうケースが多いのではないでしょうか。

「お店も詳しくないし、そもそも社会人の飲み会の作法がわからないし、どうしよう」

はじめは戸惑うと思いますし、その機会がきてしまえば誰もが通る道です。 自分自身、歓送迎会の幹事をこれまで何回か経験してきました。

まず、書き手として自分の立場を明らかにしておきますと(おまえ誰だよ!ですよね)、幹事の役回りがいくつかあり、数をこなすそのうちに 「あれ?幹事やることって奥が深くておもしろいかも」と ちょっぴり興味を持った、その程度です。ふつうの者です。社会人歴は2019年時点で7年目。

その、ふつうの人間として「幹事をしておいてよかったな」と思っています。 幹事をおもしろがってこなせるようになると、経験から見えてくることがあります。 もしかしたら普段の生活や仕事に活きることもあるのかもしれません。

ただ、はじめは「まずやってみながら」ということを繰り返していたと思いますし、 「こうするべきだったなあ」とか、うまくいかなかったことも、たくさんありました。

実際のところ、歓送迎会において、二度と同じ会が存在しないように、 「この方法でぜったいにうまくいく!」というマニュアルは存在しません。 最近「どういうお店を選べばよいか、どのように幹事をすればよいですか」と、 自分より若い方から質問をもらうことがあります。

一から十までお答えすることは、その方のためになるかわからず、 ちょっと⻭切れのわるい回答をしてしまっていました(ごめんなさい!)。

というのも、先述の通り幹事には「これ!」という正解がそもそもないのです。

じゃあ何も伝えないというのも、「ちがうなあ」と思っていまして、 「こういうふうに考えてものごとを決めていた」という、 心がまえだけでもお伝えすることで、ちょっとはお役に立てることがあるのかなと。 そんなふうに考えるようにもなってきました。(当時、Google検索で満足できる情報をなかなか得られなかったこともありまして。)

逆説に聞こえるかもしれませんが、いろんなパターンの歓送迎会があるからこそ、 幹事としての心がまえを考えてもらえたらなと思います。

そんな矢先、知り合いから「なら、まとまった文章にしてみてよ」と提案を受けまして 手前味噌で恐縮ですが、そんな想いのもと言葉にしてみます。(歓送迎会を初めて託されたような方に向けて書いています。)

いわゆる教科書を期待される方にとっては、役に立たないかもしれません。 個人の願いとしましては、実例をそのまま参考にしてもらうというよりも、 それの裏側にある、ナレッジのようなものを感じてもらえればうれしいです。

それではさっそく、上記の目次に沿って記していきます!恐縮ながら1万字をこえています。

第1章 心がまえ

「自分はこのように考えていた」ということをお伝えするために、 会社の歓送迎会を実例として、これから考えていきます。

ではまず、場面を想像してから考えてみてください。 今回、部の歓送迎会の幹事をあなたが担当することになったとします。 そもそも幹事が背負う役割とは、どんなことだと思いますか?

個人としての考えではありますが、ひとことで表すと、「参加者の全員にきもちよく、その会を過ごしてもらうこと」です。

基本というか当たり前のことなのですが、大事なのでじっくりいきます。 日程を調整することも、いいお店を予約することも、すべてここに集約されると考えています。

そして上記の役割を果たすために大事な要素が「想像力」です。 いきなり「想像力」といわれても抽象的でピンとこないと思いますので例を出しますね。 ぼくはテレビが好きなので、お笑い芸人の言葉から拝借します。 以前、あるテレビ番組で千原ジュニアさんは、このようなことをおっしゃっていました。

「その日すべったとしたらお客さん本位で考えられていない。それは、想像が足りてない」と。

千原ジュニアさんが考える、後輩の芸人に対しての考え・指摘です。 たとえば若手の方がゴールデン番組の初めてのゲスト出演をされる際、 爪痕をなんとか残そうと「これだけはやるぞ」と、あらかじめ決め込むことが多いようです。 そこでお客さんをないがしろにして渾身のギャグを披露しても、たしかにウケないでしょう。

これは幹事にもあてはまると考えています。 つまり、参加者を向こう見ずで、又聞きレベルの情報のそのままに行動して、 その会がうまくいくことは、なかなかむずかしいでしょう。 逆に参加者本位で行動すれば、形式ばったルールなどは考える必要もないのです。

それでは想像力=参加者本位で考えることを実例ベースに具体的におとしこんでいきます。

第2章 日程

何のための歓送迎会なのか、ここをはっきりさせておきましょう。 目的(=その会の位置づけ)と主賓、この二つの要素が定まったところで、日程を決めていきます。 ちなみに、どういう手順でどのように日程を決めるのかという質問は、意外にも多いです。

まず、主賓の日程からおさえることが大前提です。 送迎会など場合によっては、主賓の空いている候補の日程が限られていることがあります。 歓送迎会の実施が決まり次第、すみやかに確認を取りましょう。

もし、主賓のスケジュールに余裕があったとしましょう。 部内の皆さんの都合を調整しながら決めてゆきます。 部⻑以下、個別に確認する方法もありますが、こちらはケースバイケース。

たとえば部署の人数がそこまで多くなく、仕事の繁忙期なども避けられているのであれば、 部会のような全員が集まる場で候補日を提示し、その場で確定も可能です。

むずかしいと思われる場合は、優先順位を付けて個別に候補日の可否を確認しましょう。 人数が多く、全体として忙しい場合は、全員参加ではなく人数の最大公約数をねらいます。 もちろん全員参加いただければベストですが、必ずしも理想のかたちにはなりません。

たとえば主賓の方と部⻑と、幹事あなたが可能な候補日2〜3つを全体にぶつけます。 そこで参加可能な人数がいちばん多い日に決めてしまうのも一つの方法です。 どこかで割り切らなければ、いつになっても日程は決まりません。

ずるずると伸びてしまうと、その会自体の目的があやふやになってしまうこともあります。 たとえば期末の慰労会なのに、期をまたいでしまうと、会そのものがぼやけますよね。 「あれ、これって何の会だっけ?」となってしまいます(これもありがち)。 その点で、歓送迎会の開催日決めにあたって、デッドラインを引くことをオススメします。

また、どのように日程を決めるのかについて、ここでツールにふれておきます。 日程調整ウェブサービスとして代表的なものに「調整さん」「伝助」などがあります。 一定以上の参加者の見込みがあり、直接確認が取れない場合などに便利なツールです。自分自身、私用では何回も利用をしています。

しかし、部の歓送迎会で上記のツールの使用は、なるべく控えています。 理由としては、日程確定までに結果として時間がかかることがあるためです。

メールに URL のリンクを貼ってポンっと送るだけでは、チェックを逃してしまう方もいますし、 ふだん、ウェブのツールに慣れていない方にとって、入力は意外と億劫です。 未入力の方が若干名であれば個別に確認すれば問題ありませんが、 それが何人もいて、またメールでリマインドを送っていると結果、非効率になっている場合もあります。

例外としては、部の全体で顔を見合わせる機会が少なく、直接の確認ができないときです。 もちろん、スケジュール調整ツールにどなたも抵抗がないのであればぜひ活用してください。

あと一点、上記のようなツールの使用の際に気をつけておきたいのが候補日の数です。 参加対象者の方からスケジュールの仮抑えをいくつもするのは多少なりとも負担を与えます。 時折、大量の候補日が提示されていますが、候補が多すぎると予定確保の気持ちが「なんとなく」になります。

ひとまず、「参加できる」にする方が増えると後日、 日程が確定してから「あっ、その日はやっぱり NG」という事態にもなりかねません。 入力する方の立場で候補日の数は、ぜひ検討してみてくださいね。

第3章 お店選び・予約

無事に日程が決まったとしましょう。それではお店を選び、予約する段階にきました。 いくつか要素がありますので「お店選び」と「予約」、2つに分けて記していきます。

その前にまずは、実施日までの逆算をしましょう。日程が先に固まったところでお店選びに移っていきますが、 じっくりお店を選べるのかは実施日によって変わってきます。

たとえば「来週には本番!」であれば時期が短いので早急にお店を予約する必要があります。 また、3月であれば年度末の会社が多く、慰労会などのシーズンでお店が混みがちです。 金曜日ですと他の曜日よりも予約が入りやすいですし、月末の方が混み合っていますよね。 「いつやるか」が、お店の選定に関わってくることを、まずおさえておきましょう。

実際、イレギュラーでぎりぎりの時期で歓送迎会の実施が決まってしまい、 使い勝手のよいお店に片っ端から電話をかけることもありました。 たとえば日程の候補が二つにしぼられていて「ここ!」というお店があるのであれば、 連絡をして両日の空きを先に確認しておく、というのも手です。

経験を重ねていけば「テッパン」のお店も増えていきますし、 「御贔屓」のお店が非常時に融通を利かせてくれるかもしれません。 後述しますが、お店との関係性づくりも幹事にとって大事にしておきたいところです。

-第3章 第1節 お店を選ぼう

では、いきます。 仮に3週間後に歓送迎会の実施が決まったとしましょう。 だいたい2週間前ぐらいにはお店を確定できるようにしておくと安心です。

さあ、お店を選んでいきましょう。 ...と、さっそくグルメサイトで探したいところですが、 どういう基準でお店を選ぶかを5つの要素に分けて、明確にしておきますね。

・その1「場所」
・その2「予算」
・その3「貸切」
・その4「お店のジャンル」
・その5「グルメサイト」

-要素その1 「場所」

会社の最寄り駅の徒歩圏内で探すのが一般的です。 参加者の皆さんが行きやすく、そして帰りやすくすることを考えると、 移動は最小限におさえておきたいところです。 ただし、こればっかりはその会社やその部署によってさまざまです。

近くに飲食店がまったくなければ、一定の移動はどうしても必要になってきますし、 ある会社では環境を変えるため毎回、歓送迎会は各自タクシー移動、なんてこともあります。 過去にあなたの部署では、どんな場所、お店で実施されていたか把握しておきましょう。

-要素その2 「予算」

その会によって予算は変わってきます。 慰労会という名目で会社から一部補助が出れば、ちょっと奮発しても良いかもしれません。

今回は、参加者負担の歓送迎会でひとりあたりの予算を 5,000 円と仮定をします。 もちろん、ひとりあたりの予算の考え方もそれぞれですので、過去実績を参考にしましょう。

予算の相場はその環境下でしか知り得ません。遠慮なく質問することをオススメします。

-要素その3 「貸切」

参加人数によって左右されますが、 個人としてお店の予約でこだわっていたことは「貸切」です。

そんなに開催頻度が多くない歓送迎会、 ましては、ひとりあたりの金額に傾斜をかけることで、 場合によっては、諸先輩方にはちょっと大きい負担もいただくわけです。

参加も任意とはいえ、せっかく全体で予定を調整して飲食をともにする機会、 みなさんで気兼ねなく、くつろいでもらえる環境で時間を過ごしたいですよね。

他のお客さんを気にせずにおしゃべりできるカンタンな方法は貸切です。 貸切をしようとすると、たとえ一組でも、一席だけでも先約をとられては成立しませんが、 貸切が理想、完全個室をmustとしていました。

-要素その4  「お店のジャンル」

予算感が見えてきたところでお店のジャンルを考えていきます。 仮に「場所を赤坂、ひとりあたりの予算を 5,000 円、人数を 20 名」とします。

さあジャンルを和洋中華いろいろあるなかで選んでいくわけですが、 上記の条件であれば、貸切可能なお店のなかで選択肢はいくつかあるはずです。 ジャンルを絞るにあたって有効なのは、主賓からリクエストをもらうことです。

たとえば肉が美味しいお店など、キーワードだけでももらえれば、選びやすくなりますし、 なにより主賓のための歓送迎会という目的をしっかりおさえることができます。 あなたが目星を付けたお店が具体でいくつかあるのなら、そこから選んでもらうのも手です。

もう一つの観点として、人は前例のないものに抵抗し、一方で新鮮さを求める傾向があります。 「おい、なんてあまのじゃくなんだ!」そう思うことはありませんか? ちょっと例を挙げた方がわかりやすいですね。

たとえばですが、予算もろもろの条件を満たそうとするとイタリアンは便利です。 フレンチよりも単価がお手頃ですし、コースの料理のボリュームもだいたいが申し分ない。 女性の比率が多ければ、和のお酒が多いお店よりもイタリアンが好まれそうですよね。

イタリアンであれば座敷で靴をぬぐような必要もありませんし 「掘りこたつで背もたれがないよ」なんてことはそうありません。 雰囲気のよいお店が多く、赤坂ですと 20 人程度の定員で貸切メインがお店も少なくない。

というわけで、

歓送迎会が毎回イタリアンだと「またか」と思いませんか? 都度ちがうお店だとしても同じ系統ですと、印象として既視感が出てしまうものです。

かといって、 新規オープンで何の評判もない、目新しいお店をおさえたとして、 あなたが参加者の立場なら、それはそれで、ちょっと不安に感じませんか?

だいたい、こんなものです。しかしです、これだったらどうでしょう。

「焼き肉の有名店の金舌が赤坂に新しく多国籍料理店をオープン、 食べログの口コミはまだなく、今月号の雑誌 dancyu で紹介されたのみ、まだ見つかってない予感!」

そのふれこみを知って、こんなきもちになるといいですよね。 「行ったことがない新しいお店だけれど、まちがいはなさそう」(ここ、大事です)

人は初めてのワクワクを感じたいのだけど、失敗はしたくないものです。 新鮮かつ安心感があると参加者の方は期待してくれます。

たとえば下見をした現場のレポートを添えて、お店の詳細連絡をすればバッチリではないでしょうか。 「頭よりも足を使おうよ!」という方のきもちもグッと引き寄せられるかもしれません。

-要素その5 「グルメサイト」

自分の場合、基本として使用しているグルメサイトは2つのみです。 「食べログ」と「Retty」です。 食べログは皆さんご存知でしょうから、ここでRettyの魅力についてふれておきます。

Rettyを一言で表すと、

食べログの口コミと Facebook の実名性をかけ合わせたようなサービスです。 投稿をどんどんする人もいれば、その投稿を参考にお店探しをする人もいます。

はじめは試し程度に使ってみたのですが、Rettyはお店を探す観点としても 使えば使うほど精度が上がっていくことがわかりました。

まず、Rettyには Twitter のようなユーザーをフォローすることができます。 お店を探す過程でおすすめしているユーザーが信頼できそうであればフォローします。 たとえば赤坂周辺のお店をあなたが毎回探すのであれば、 赤坂エリアで実績の多いユーザーをピックアップしていきます。

すると、あなたが「赤坂×ビストロ」で仮に検索をすると、 自分がフォローしたユーザーがとくにおすすめしたお店が上位にあがってきます。 さらに検索をかけたお店の口コミの上位にも、フォローしたユーザーが優先的に表示されます。

まさにまちがいないお店しか表示されなくなるわけですし、 比較してみると、食べログだと口コミが少なく、まだ評価の高くないお店が出てくることも。 むしろそこはチャンス!いわゆる見つかっていない名店ってこともあり得るのです。

あとは足をつかって、都筑響一さんのように「自分の足と舌」で お店を開拓するのももちろん大切ですし、楽しいです。 そのエリアのお店のことをウェブ上でわかってくると、リアルで見つけるとうれしくなるし、 「ここ店構えよさそうだけど知らないなあ、ちょっと調べてみよう!」とかなるわけです。 街を歩くことも、おもしろくなってきます。

以上、お店選びの5つの要素でした!

-第3章 お店 第2節 予約をしよう

それではお店の目星を付けたところで、さあ予約しましょう!ここでは初めて利用するお店という前提で考えていきます。

予約といってもウェブや電話いくつかツールの手段がありますが、 歓送迎会の場合は貸切をはじめたとしたいくつか希望があるわけですから、 まずは電話で開催日の大枠の時間を伝えて、お店の空きの状況を確認します。

日時を伝えて、運よくめぼしいお店が空いていたとして、 仮予約の可否と、直接お店にうかがって具体的な内容をつめられるかお話しましょう。

だいたい仮予約ですと3日〜1週間ほどの期間が一般的ではないでしょうか。 仮抑えができたらお店にアポをとって直接お話をしに向かいます。 あ、予約の具体をつめる前に一度ランチなどで下見しておくと 大枠の雰囲気がつかめますし、お店の方と話しやすくなるのでオススメです。

初めて利用するお店であれば、必ず下見をして、直接お店で話をしていました。 効率化をするのであれば、ネットでさくっと予約をして当日を迎えることも可能です。 しかし、繰り返しになりますが、初めてのお店です。 参加者にきもちよく過ごしていただくためには確認したいことがいくつもあります。

あなたが幹事だとして、どういうところを確認しておきたいですか? 自分なら、ざっとこういうことをおさえておきます。

・全体のレイアウト
・荷物の置き場
・喫煙場所
・飲み物まわり
・食事まわり
・支払い
・時間
・サプライズ・プレゼント・写真

-確認その1 「全体のレイアウト」

まずはお店のレイアウトをみておく必要があります。たとえば参加予定 20 人で、食べログでの情報が上限 20 人のお店だったとします。

「ジャスト!」と思っていても、場合によっては、 カウンターの席を足した上での 20 人キャパの場合もありますし、 意外とお店のつくりが L 字で思ったよりも一体感が出ないようなこともあります。

では、半立食の方がいいのか、途中で席替えをする時間をつくるのか。 天井の高さがどれくらいであるとか、そもそも自分のイメージと相違はないのか。

たとえば赤坂のピザがとっても美味しいイタリアンの「エッセドゥセ」B1F は L 字に近いつく り。「B1F よりも 1F の方がいいかも!」という考えは実際に下見をしなければ出てきません。 基本はウェブサイトの写真などでイメージはできますが、みてはじめてわかることがあります。

自分の狙ったお店がたとえばテーブル席でレイアウトにパターンが考えられるのであれば、 当日、どういうレイアウトにしたいかを事前に伝えておくといいでしょう。

-確認その2 「荷物の置き場」

お店に参加者が着いたことを想像してみましょう。 たとえば冬であれば皆さんコートを着ていて荷物がかさばりますよね。

人数が多ければそれだけ荷物も増えるわけです。 お店の方と荷物はどこにまとめるかつめておきましょう。

幹事の当日の動きとしては、遅れる参加者の方のケアをどうしても優先せざるを得ません。 はじめに到着した方たちはおまかせになりがちです。

お店に入ってから着席までの導線も事前に把握しておきたいところです。 ちなみに出発を二つに分けるのであれば、前半グループを先導してもらう方を指定して、 誘導のお願いをし、荷物のまとめ方を共有しておきましょう。

-確認その3 「喫煙場所」

参加者にタバコを吸う方がどれだけいるか確認しておきましょう。何名か喫煙者がいる場合は、お店に喫煙可否と可能であればどこで吸えるのか聞きます。 いまはお店の外に喫煙スペースがある場合が多いですね。

ほとんどの方が喫煙者であれば、そもそも喫煙可否がお店選びの条件になってきますし、 可能なら各テーブルに灰皿を置いてもらうなど、要望は伝えておきましょう。

余談ですが、喫煙者の方は、タバコの吸いやすい端の席を好むことが多いです。 席をあらかじめ指定するような会では、喫煙の有無もふまえて考慮してあげるとよいでしょう。

-確認その4 「飲み物まわり」

ここではアラカルトではなく飲み放題という前提で考えていきます。 お店によっては、飲み放題のドリンクとそれ以外のものがありますので把握しておきます。 オプションで分かれているお店もありますのでどちらが良いのか判断しておき、 いっそのこと、飲み放題対象外のドリンクがあればメニューごと下げてもらうなど工夫しましょう。

また、飲み放題と密接に関わってくるのが時間です。2 時間の飲み放題として、ラストオーダーは 90 分なのか、120 分ぎりぎりまでいけるのか、 ラストオーダーのアナウンスは幹事が 10 分前にすべきなのか、お店の方にお任せできるのか、 お店次第ですので確認しておきましょう。

もう一つ、つめておきたいのがはじめの一杯目、つまり乾杯です。 人数がそろって着席が落ちついたところですぐに乾杯にうつりたいですよね。 しかし各自で注文をしているとドリンクが揃うまでに時間がかかってしまいます。

オススメなのは最初の一杯だけお酒を幹事の方で指定してしまう方法です。 たとえば「歓送迎会で主賓のめでたい席なので、 お店のご厚意で最初の一杯はシャンパンでいきましょう!」とします。

お酒を召し上がらない方だけお水などにしておいて2杯目から選択するようにすれば スムーズに乾杯できますし、参加者の皆さんの気分も上がりますよね。 交渉すると、場合によっては飲み放題以外のお酒で特別に乾杯というサービスもあるかも?

その意味で、対面で直接お店とお話をすることは、やはり大切です。 その会が幹事のあなたにとってどれだけきもちが入っているのかはすぐに伝わりますし、 はじめての利用でもきっと、お店の方はきもちに応えてくれようとしてくれるはずです。

補足ですが、たとえばワインに魅力があるお店で、参加者にワイン好きの方がいらっしゃれば、 飲み放題の種類、またハウスワインの銘柄を聞いておくといいでしょう。 本当に好きな方で、自分のワインを持ち込みたいとリクエストをもらうことがありました。 (飲み放題であれば、基本持ち込み料金はかからないはず。「ぜひ!」と言いましょう。)

-確認その5 「食事まわり」

料理も基本としてはコースにすることをオススメします。 主賓をはじめとして参加者の方に苦手な食材があればお店に伝えておくといいですね。 意外と大事だなあと感じているのが、料理の出てくるスピード感です。

まれに、仮に7品のコース料理だとして、どんどん料理が出てくるようなお店があります。 そうすると品数や量についてはとくに問題はないはずなのに皆さんが食べきってしまうと、 後半ドリンクだけで「ちょっと料理が少ないかなあ」という印象になってしまいます。

基本としてはお店におまかせいただいてかまいませんが、 念には念をというときには料理の時間配分も要望をお店にお伝えすることをオススメします。 最低限、当日のコース料理はすべて把握して、いま何品目なのか、目を光らせておきましょう。

-確認その6 「支払い」

お金に関わる部分ですので慎重すぎるくらいにつめておきましょう。 ここでは、ひとりあたり 5,000 円で 20 名が参加予定で利用形態は貸切としておきます。 5,000 円×20 名の 10 万円ということになりますが、税抜きか税込みなのか要確認です。

また、カードの支払いとなると消費税がかかる、現金だと消費税分はサービスしてくれるなど、 お店によって考え方がありますのでしっかり把握しておきます。

貸切の場合、つきものなのが MG(最低保証)です。

MG が 10 万円+税であれば、当日のキャンセルが出たとしても合計額は (税率8%なら)108,000 円です。 最低保証がある場合は、参加可否の確認がとても重要になってきます。 当日キャンセルが出た場合、どのように考えるか事前につめておきましょう。

あわせてお店とつめておきたいのが人数の最終確定の時期です。 お店側は料理の仕込みがありますので、期日までに確定をするように心がけます。 参加者へのリマインドにも関わってきますが、こんなイメージ。

たとえば「3日前にお店側に最終確定の連絡をします。 それ以降のキャンセルは参加費 5,000 円をどうしてもいただかなくてはなりません。

出欠に変更がある場合はたいへんお手数ですが、 たとえば、「必ず3日前の『8/10(木)中』までにご連絡ください!」と、 ねちっこくアナウンスをすることです。

どうしても仕事の都合で当日参加できないという方もなかには出てきます。 しっかりアナウンスをしていけば理解いただけると思いますし、 そもそも参加が危ういのであれば事前に全体人数から引いておくなど手立ても打てます。

ちょっとした抜けどころがあるだけでトラブルに発展しかねません、 繰り返しますが、お金に関わることなので、慎重すぎるくらいにつめておきましょう。

-確認その7 「時間」

仮に 19 時〜 2時間飲み放題のコース料理で予約をするとします。 ここで開始と完全撤収いわゆる完徹の時間はあらかじめおさえておくといいでしょう。

たとえば前や後の時間に宴会が入っていないか?などです。後ろに予約が入っていると、たとえば 2.5 時間、21 時 30 分きっかりにお店を出なくてはならない場合があります。

主賓から最後のあいさつをもらったり、集合写真を撮る予定があったりする際は、 その時間を織り込んだ上で、全体のスケジュールを組む必要があります。 そうするとラストオーダーが終わったところで早めに写真を撮るなど工夫しましょう。

細かい部分ですが、全員の着席の後、乾杯が始まったのが 19 時 15 分だとして、 飲み放題の起点は 19 時なのか、19 時 15 分でよいのか。 それによってラストオーダーの案内にも影響が出てくるので、 事前に確認しておくことをオススメします。

-確認その8 「サプライズ・プレゼント・写真」

たとえば主賓にサプライズでプレゼントやケーキなどを用意する場合、 お店の方と綿密に打ち合わせをしておく必要があります。プレゼントを用意したとして、いつお店に届け、どこで保管いただくのか。 そしてどのタイミングで、誰がどこからそのプレゼントを渡すのか。

そのときにお店にはどんな BGM がかかると良いのか。BGM の希望は出せるのか。 これだけでもつめることはたくさんありますよね。

また先述しましたが集合写真を撮る場合、 当日のレイアウトのなかで、どちらを正面に撮るとよいか聞いておくといいでしょう。 お店によっては店内ではなくお店の外にいいスポットがあります、などさまざま。

いまはスマートフォンでキレイな写真が撮れますが、 必要に応じてカメラを誰が用意するか事前につめておきます。

以上、ここまで確認ができればまず問題ないでしょう!

第4章 集客

お店が無事に2週間前に決まりました。詳細もお店の方とつめることができました。 あとは参加者の皆さんにどれだけ時間通りにきていただけるかです。 バラバラと参加するよりも、開始から皆さんそろった状態で乾杯できるときもちいいですよね。

当たり前ですが、時間通りに集ってもらうためには告知が必要です。 幹事はリマインドの⻤になりましょう。 ただし、やみくもにリマインドメールを送っていてもしょうがないです。 リマインドメールの目安としては、こんなかんじでしょうか。

・日程確定メール
・2週間前のお店確定メール
・1週間前&3日前のリマインド
・当日朝&直前

ここまでやっておけば参加者の方々もあなたの心意気を感じてくれるはずです。 リマインドに情報ネタがほしければ、下見でいったときの料理の写真と感想を付けて 参加者の皆さんの期待を煽るっていうのもいいでしょう。

「当日のコースの中に含まれているラザニアとあとワインです、とっても美味しいです!」 こういうシンプルな情報だけでも、もらったらうれしいものです。

そして、当日を迎えました。リマインドメールも送っています。 それでもイレギュラーで仕事が延びて参加が遅れてしまう方が出てきます。 あと「この人、たぶん遅れちゃうだろうな」って方、なんとなく想像がつきますよね?

自分が心がけていたのは、遅れる方のためにお店までの地図を印刷して 直接わたすことです。ずっと席をはずして連絡がとれない場合は、 デスクのキーボードの上に何ならメッセージも付けて地図をドンっと置いておきます。

どうしても遅れる方が出てきます。「しょうがない!」と割り切りましょう。 ただ見越した上で、遅れる方と、その方の遅れを最小限に抑えることに努力をしていました。

第5章 段取り

さあ当日です、あとはお店に参加者をお連れして段取り通りに進めていくことです。 一般的な歓送迎会の流れとしては、だいたいは下記のようなイメージになりますでしょうか。

・乾杯の挨拶
・ご歓談
・主賓の挨拶
・プレゼント等
・締めの言葉
・写真撮影

当日までにどなたに乾杯の挨拶や締めの言葉をいただくかを決めて、 事前にお願いをしておきます。人によっては準備をしておきたい方もいます。 「なんとなく」で事前に伝えずにお願いすると、いわゆる「めちゃブリ」になってしまいます。

また場合によっては人数が多く、限られた時間のなかで、やるべきことが盛りだくさんな会があります。 その際は、段取りを自分が把握するために、台本を用意することをオススメします。

ここでおさえておきたいことは、 自分や関係者が段取りを把握するために台本をこしらえるのであって、 台本をつくることが目的になっては、あまり意味がありません。

簡単な香盤表のようなもので事足りるのであればそれに越したことはないです。 ただ、たしかに台本をつくる過程で内容が整理されて自分が安心する効果もあります。 必要に応じて、段取りを可視化するようにしてみてくださいね。

第6章 二次会の手配

ここでは、「行ける方は全体で二次会にいく」というスタイルを想定しています。 二次会についていろんな考え方がありますが、 個人としては二次会のアテンドまでが当日の幹事の役割であると考えています。

たとえば、さいあく幹事の自分がどうしても事情があって二次会に参加できない場合は、 お店を決めて、その場所まで案内し、あとの会計などはどなたかに託すことです。

もちろん歓送迎会において、だいたいの方が一次会で帰宅する文化であるとか、 二次会は各々好き自由に行くようなかんじであれば、その必要はありません。

二次会の手配のタイミングは、一次会のなかで完結させることをオススメします。 一次会を出てからそのまま次の案内をしたいですよね。 その観点でも、一次会の会計を早めに済ませることは必須です。 全体金額が決まっているコースにするメリットは、ここでも出てきます。

すでに金額が確定した時点で、会の途中でかまわないのでこっそり会計を済ませましょう。 カードが一番ラクですが、事前徴収で現金支払いであればもちろんかまいません。 避けておきたいのが、当日その場で参加者からお金を集めることです。 会計に時間をかなり要しますし、酔ってくると誰が会費を支払ったか不明確になるおそれもあります。

さてスムーズに会計を終えたとして、二次会のお店をどうおさえるかです。 むずかしいのが、たとえば 20 名いたとして二次会に何名が参加するかが見えないこと。 そのとき次第で全員になることもあれば、人数が半分弱になることもあります。

ここは自分自身も正直苦労をしましたが、 二次会までスムーズに参加者を連れて行くのが腕の見せ所です。 すこしお酒が入ってきもちよい状態で二次会の参加者を次のお店まで連れて行くために、 一つの方法として自分は事前に根回しをしていました。

かんたんにいうと、マックスとミニマムの人数を想定して二つのお店をおさえておくことです。 もちろん、人数によってはお店を変える場合があることをお伝えしておかなければなりません(連絡しないドタキャンだけはくれぐれもないように)。

ただし、二次会も貸切が理想ですが、いくつかリスクをともないます。 その意味では、二次会はキャパの大きい居酒屋さんでサイズちがいで二つの個室をおさえるのも手です。

残念ながら、どちらもお店をおさえられなかったとします。 そんなときにオススメなのが Google MAP の活用です。

方法としては、Google MAP で現在地から近くの居酒屋・飲み屋を検索して表示させます(現在営業中で絞りつつ)。 一次会のお店の近くにあって、営業時間にまだゆとりのあるお店に片っ端から電話します。 着く時間と人数をお店に伝えて空きを確認してください。

この際、個室でなくてもかまいません。 一次会のお店を出てから、どうするかで道に留まるよりかは、とにかく次のお店です。(ちなみに使い勝手のよいお店をお気に入りしておくと、現在地に近いお店が星マークで表示されるので、めちゃ便利です。)

画像1

万が一、一次会が終わってもお店が見つからなければ 「先輩に遠慮なくどこかお店を聞く、 もしくは足を使って近辺のお店に直接聞いて回ること」です!なんとかなります、がんばって乗り切りましょう。

ちなみに余談ですが、ヒップホップグループのライムスターの宇多丸さんいわく、 人生でもっとも幸せな瞬間の一つが「はしご」だそうです。 「もう1軒いきますか!」という余裕のある、ほろ酔い状態、たしかにいいですよね。

第7章 集金

無事に二次会まで終えて解散できました!あとは翌日にちょっと早くきて、写真をとっていれば全体に御礼と写真をメールで共有します、 そして集金です、これが終わるまでが幹事のお仕事です。

金額の傾斜のかけ方にもいろんな考え方がありますので、 ここでもやはり過去の実例にならうのが、まちがいないと思います。 傾斜のあくまで一つの例ですが、部⻑、管理職、一般社員で3段階にするなどです。

確定後、さしつかえなければ全体に傾斜ふくめて金額を公開してしまいましょう。 金額の透明性をみせて、あとは集金です。 翌日メールをしても、どうしても忘れてしまう方はいますので、その際は直接、集金のご協力のお願いをしましょう。ここまであなたががんばって幹事をやっていたことは、 参加者のみなさんに伝わっているはずです。

「ありがとう」と、感謝されるとうれしいものですよね。 集金まで、きもちよく終えられるようにしましょう。いやあ、お疲れさまでした!

おわりに

最後まで読んでいただいてありがとうございます。 ⻑くなってしまいました。

お店まわりのことになるといかんせん「〜しましょう」というような言い回しになってしまったところもあります。 それが正解というわけではなくて、あくまで一つの方法論です。

入社後、幹事として赤坂でお店探しを始めたときは、新しい発見の連続でした。 料亭と焼き肉、韓国料理屋さんばかりの街だと思っていましたが、じつは色々あるんです。 どこの街にも知れば知るほど、いいお店はあるものですね。

たまたま会社の近くの赤坂をきっかけに、いろんな街の美味しいお店に興味がわきました。 食べログのレビュワーさんなどとはレベルはまったくちがいますが 「ここにあるこういうお店は美味しかった」というように、 自分のなかで美味しかったお店といきたいお店を整理できるようになります。街の見方、楽しみ方が増えたことも事実です。なにより街歩きが楽しくなります。

今後、接待のようなカチっとした飲みの席の機会も増えてくると思います。そのときに幹事の心がまえがあると、気配りの要領もつかみやすくなり、気後れもしなくなります。 第一、参加する方たちのことを想像してなにか企画することは、いろいろなことに応用が利きます。

極めて基本的な要素が多いですが、そこをおさえることに意義があるのだと思います。幹事の心がまえを読んでいただいたことを通じて、 あなたの考え方や行動にすこしでもプラスになることがあれば幸いです。

ありがとうございました、以上です!

最後までお読みいただきありがとうございます...!本に関することを発信しております。