見出し画像

体と薬と健康と・・・第11話 腎臓

健康コラム『読み物サプリ』。
前回、「肝臓」のお話をさせていただきましたが、
今回は「腎臓(じんぞう)」のお話です。


いきなりですが、ここでクイズ!
Question:腎臓のあるところを手で押さえられますか?

肝臓のお話の時にもやりましたね(笑)。
「腎臓」は、横隔膜の下、背骨の左右両側に位置しています。
もう少し平たく言うと、
身体の腰より、やや高い位置の背中側に、背骨を挟んで左右に1個づつある感じです。

手を後ろに回して、わき腹と背骨の中間あたりの場所がちょうどいいかも。

左右に1個づつあるのですが、
面白いのは、左右同じ高さの位置にあるのではなく
右の腎臓は、肝臓に押し下げられて、左の腎臓よりも少し低い位置にあるんですよ。
豆知識としておさえておきましょう。

もう一問。
Question:「腎臓」は、どんな形をしているでしょう?

知っている方も多いと思いますが、「そら豆」のような形をしています。
大きさは、直径で約10㎝、幅は約5㎝、厚さは約3㎝くらいで
大人の腎臓一つの重さは約120g~150g
だいたいお茶碗の、ごはん1杯分くらいの重さです。

腎臓のはたらき

では次に「腎臓」のはたらきについて簡単にご紹介します。

「腎臓」を簡単に説明すると、
血液をきれいにするために細かい血管が集まった”ろ過装置”なのです。
そのため、腎臓には、心臓から拍出される血液の約1/5~1/4が流れ込んできています。
心臓から1分間に拍出される血液量が、約5リットルですから、
腎臓には1分間に、約1リットル~1.2リットルの血液が流れ込んできていることになります。
すごいですねっ!( ゚Д゚)

話を元にもどします。
腎臓では、流れ込んでくる血液から、
身体に必要なものと、不要な老廃物などを
仕分け(ろ過)して、「尿」を作る働きを担っています。
また、水分および電解質(主にナトリウム)の排出の調節が行われていて、血液の量と血液の組成を維持して”血圧を一定に保つ”重要な役割も担っています。
それに加えて、骨髄で「赤血球」の生産を促進させるホルモン、
「エストロポエチン」が分泌されていたり、
食品から摂取・体内で生合成された「ビタミンD」を効力を発揮しやすい形の「活性型ビタミンD」に転換させ、骨の形成や維持する作用を発揮させたりもしています。

さくっとまとめると、

  • 流れ込んでくる血液から「尿」をつくる

  • 血液の量や組成を維持して「血圧」を一定に保つ

  • 赤血球の生産を促進させるホルモン「エストロポエチン」を分泌する

  • ビタミンDを「活性型ビタミンD」に転換させる

このような重要な働きを担っているのです。
「肝臓」もすごかったですけど、「腎臓」もスゴイですねぇ。

毎日、お風呂に入った際に
背中の「腎臓」のあたりをマッサージしながら”感謝”しましょう!☺

副腎(ふくじん)のおはなし

ではもう一つ。
「腎臓」には「副腎」という組織が附随しているので、
こちらにも触れておきたいと思います。

「副腎」は左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、
「皮質(副腎皮質:ふくじんひしつ)」
「髄質(副腎髄質:ふくじんずいしつ)」の2層構造になっています。
イメージは餃子!
「餃子」が副腎で、「餃子の皮」が副腎皮質、「餃子の中身」が副腎髄質です。
では、それぞれどんな働きをしているのでしょうか?

副腎皮質のはたらき

副腎皮質からは、「コルチゾール」というホルモンと、「アルドステロン」というホルモンが分泌されています。
何だか難しそうなイメージがありますが、
身体にとって、と~っても重要な働きをしているホルモンなので、この際に知っておきましょう。

コルチゾールは、
ストレスから身体を守り、糖の利用の調節や、血圧を正常に保つなど、生きていくのに絶対に必要なホルモンです。
起床の2時間ほど前から増加するホルモンで、
起きてからすぐに動けるよう、血糖値と血圧を高めて活動の準備をしているそうです。
面白いことに、
起きる時刻を決めて目覚まし時計をセットするだけで、起床の約2時間前から増加することもわかってるそうですよ。

そしてもう一つ!
このコルチゾールは「ステロイドホルモン」です。
皆さん、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
医薬品に用いられる「ステロイド性抗炎症成分」は、
化学的に合成された「副腎皮質ホルモンの誘導体」です。

そして、アルドステロン
塩分、水分、カリウムのバランスを保つのに重要な役割を担っています。
このアルドステロンが過剰に分泌されるようになると、
高血圧、むくみ(浮腫)、カリウム喪失などを生じる、「アルドステロン症」という症状が出てきますよ。

副腎髄質のはたらき

一方、副腎髄質からは、2種類のホルモンが分泌されています。

1つは戦うべきか(闘争)、逃げるべきか(逃走)といった緊急事態の際、
短時間のうちに、身体と脳を恐怖や不安などの外からの
ストレスに対応する
ようにはたらく「ノルアドレナリン」です。
主に、神経伝達物質としてはたらきます。

もう1つは、
作用としてはノルアドレナリンとほぼ同じですが、
「アドレナリン」といって、主にホルモンとして血液中に分泌され
身体を臨戦態勢にするために筋肉や内臓に対して作用するものです。
よくスポーツなどで最大限の力を発揮しているときに
「やばい!アドレナリン・マックスや!!」などというのはそのためです。

ちょっと雑学✍
「アドレナリン」は、ラテン語をベースに日本人が命名し、
「エピネフリン」は、ギリシャ語をベースにアメリカ人が命名したそうです。そのため、アメリカでは「エピネフリン」が使われています。
いずれも「副腎のホルモン」という意味です。

押さえておきたい腎臓病の初期症状

では最後に、「腎臓病」の初期症状をお話ししておきたいと思います。
血液をろ過している腎臓に障害が起こると、
腎臓の中の「糸球体」に障害が起こり、網の目のように張り巡らされた部分が詰まってしまいます。
その結果、血液を十分にろ過できなくなって、
老廃物や余分な水分、塩分を体外に排泄できなくなり、
足・手・顔などがパンパンに腫れてしまう「むくみ(浮腫)」があらわれるようになります。

また、「慢性腎炎」の多くは、
「尿検査(タンパク尿)」や「血液検査(血清クレアチン)」で早期発見できます。時々、尿検査や血液検査をしてみましょう。

「腎臓」は、「肝臓」と同じようにとても重要な臓器の一つです。
少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。


ということで今回は腎臓のお話でした。
参考にしてみてください。

次回の読み物サプリもお楽しみに✨
▼執筆した薬剤師はコチラ


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後までお読みいただき感謝!Twitterではnoteの更新やレデイの最新情報をお知らせしています。