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カフェ4分33秒 #毎週ショートショートnote

僕はいつまで待ったらいいのだろう?
待ち合わせ時刻通りに来ない彼女に振り回されてばかりいる。
初デートの時、彼女は30分も遅刻してきた。
 
 
カラン、カラン。
カフェのドア・ベルが鳴ると、つい「来たか?!」と反応してしまうが、またしても違う人だった。
デートを重ねるたびに彼女の遅刻時間は短くなるものの、待たされるとわかっていながら僕はどうしても先に来てしまう。
前回の遅刻時間は15分程度だったかな。
「タイムマネージメントが下手で、いつも10分くらい間に合わないの」
彼女はそう主張するが、遅刻時間はそれよりも長かった。
僕はお気に入りの本を鞄から取り出し、テーブルにある冷めたホットコーヒーを飲むと、幾分落ち着いた。
 
 
カラン、カラン。
「お待たせ~!ごめんね!遅れて。でも見て見て!!今日は4分33秒の遅刻で済んだよ。」
彼女は得意気に、待ち合わせ時刻からの差をスマホ画面で僕に見せた。
僕は待ち合わせ時刻より30分早くから待っていた。

完:410字


たらはかにさんの毎週ショートショート企画に参加させて頂きました。
創作作品にマイペースで挑戦しております。温かく見守って(読んで)頂けますと幸いです。
前回の「告白水平線」では、温かいコメントと予想外に多くのスキを頂けて、とっても嬉しかったです。閲覧にお越しくださった方、コメント、スキ下さった方、本当にありがとうございました。

今回は、タイムマネージメントが苦手な私といつも待ち合わせ時刻よりも早く行くのが常の夫が待ち合わせでデートしたらどうなるか、という設定でカフェでの待ち合わせを創作作品にしてみました。実際結婚して一緒に生活していると、家から一緒に出掛けることが多いので、外で待ち合わせてデートするみたいなことはほとんどありません。コーヒーを飲めない夫がイライラしながらコーヒーを飲んで待つのもあり得ない、完全創作だからこその世界です。


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