鈴木誠之

静岡新聞社社会部長兼論説委員兼編集委員。「紙媒体にこだわることが今、逆にイノベーション…

鈴木誠之

静岡新聞社社会部長兼論説委員兼編集委員。「紙媒体にこだわることが今、逆にイノベーション」という信念で、ネットやIT技術と融合した次世代の新聞を研究中。共著:「残土の闇~警告・伊豆山」(22年度新聞協会賞)「沈黙の駿河湾~東海地震説40年」「(正・続)浜岡原発の選択」

最近の記事

日本語の思考回路のままで実践的な英語をマスターできるようになり、しかも継続するGPTs英語学習法

生成AIの普及で新局面に入った一つが英語学習ではないでしょうか。円安もとどまるところを知らず、日本の将来に漠然と不安が募る今、英語学習熱はこれまでになく高まっていく気がします。一方で英語学習の方法は選択肢が豊富で、何をやっていいか分からない方も多いでしょう。私の部署でも部員の多くが英語を勉強したいと希望しています。そこで、仕事が忙しくても続けやすく、それでいて効率の良い英語学習用のGPTsを作りましたので、ご紹介します。自分的にはこのやり方が英語学習の決定版じゃないかと思っ

    • 「南海トラフ地震と直接関係がありそうか否か」を暫定的に調べる方法。

       4月17日午後11時14分ごろ、豊後水道の深さ39㎞でマグニチュード(M)6.6の地震が発生しました。愛媛県愛南町と高知県宿毛市で最大震度6弱を観測しました。まずは地震の被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。  南海トラフ地震との関連性がいつも以上に話題になりました。発生場所が特に南海トラフの震源域に近かったからです。そして、今回も専門家からよく聞かれたのが「南海トラフ地震とは直接関係ない」というコメントです。直接関係があるとか、ないとか、どういうことでしょうか。 南

      • 国会会議録検索システムがもっと便利になる。記者でもAPIを使い倒せる方法。

        第1回国会(昭和22年5月)からの本会議・委員会の会議録を検索できる国会会議録検索システムは、新聞記者、報道記者なら必須でしょう。普段一つ一つ検索語を試していくことが多いと思いますが、検索語についてどの議員が特に関心があるか、言及される頻度が時系列でどう変わっているかなどを俯瞰的に見たいことがあるかと思います。そんなときはAPIが便利です。政府のデジタル化は全体的に遅れていると思わざるを得ませんが、国会会議録検索システムはかなりセンスの良いDXが行われている印象を受けます。

        • 家計調査のデータはどこにあるのか? ぎょうざ、ラーメン、ハンバーグ…、支出額日本一はこうやれば楽に探せる。

          浜松市がぎょうざ購入額の日本一を3年ぶりに奪還したというニュースがありました。もはや恒例行事ですが、ニュースを見ていて例年と少し違うと感じたことがありました。それは、ぎょうざに限らず他の品目の日本一に触れるニュースが増えたこと。自分たちの街は実はこれの購入額が日本一でした、みたいなニュースを今年よく見聞きしました。これは報道各社に生データに関心を持つ記者が増えたということが背景にあるのではないでしょうか。やはり2024年はメディアにとってもデータサイエンス的な何かブレークスル

        日本語の思考回路のままで実践的な英語をマスターできるようになり、しかも継続するGPTs英語学習法

        • 「南海トラフ地震と直接関係がありそうか否か」を暫定的に調べる方法。

        • 国会会議録検索システムがもっと便利になる。記者でもAPIを使い倒せる方法。

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          2024年のジャーナリズム展望(記者にAdobeとBlenderは必要か)

          令和6年能登半島地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 今回も震災報道の功罪が浮き彫りになっていますが、改めるべきは改め、被災地に寄り添った報道ができるよう業界を挙げて取り組んでいきたいと思います。AIなどがさらに普及する2024年はジャーナリズムにとってもさらなる変貌の年になると思われます。能登半島地震や自民党の裏金問題の報道など年初から大きな課題を次々突き付けられているように感じます。 「データ・ビジュアリゼーション」から「ビジュアル・インベスティゲーショ

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          地方新聞社でも可能性が広がるChatGPTのAPIを活用した簡単なウェブアプリの実装について

          はじめに4月23日のツイートで、「AI社会部長」というジョーク半分、本気半分な簡単なウェブアプリを実装した社会部ポータルサイトを紹介しました。ざっくりこんな感じで作りましたという方法を書いておきます。 AI社会部長とは ボタンを押すと、ChatGPTが社会部員を励ます熱い一言を発してくれます。非常に単純なものです。あらかじめ決められた候補文のリストからランダムに選んで出力するのではなく、AIがその都度セリフを生成してくれるので、新鮮味や意外性があります。AIを使うことで、

          地方新聞社でも可能性が広がるChatGPTのAPIを活用した簡単なウェブアプリの実装について

          新聞社の管理職がChatGPTやデータサイエンスを学ぶ意義とは(その2)~KHCoderでテキストマイニング

          ChatGPTなどAIの話題が続いていますが、機械学習を活用した他の技術も決して色あせてはいません。むしろ一層活躍の場を広げていくことが期待されます。今回はテキストマイニングのための優れた老舗フリーウェア「KH Coder(KHコーダー)」をご紹介します。定例会見や一般質問のテキスト分析をはじめ、どの記者がどんな記事を書いているかの分析もでき、さまざまな業種で活用できます。 KHCoderとはKHCoderは立命館大の樋口耕一教授らによるフリーウェアで、誰でも無料で使えます

          新聞社の管理職がChatGPTやデータサイエンスを学ぶ意義とは(その2)~KHCoderでテキストマイニング

          新聞社の管理職がChatGPTやデータサイエンスを学ぶ意義とは

          はじめにDXの障壁は管理職? 新聞社もDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しいですが、なかなかうまくいっていないかもしれません。今までなかったどうでもいい仕事(いわゆるbullshit jobs)が増えている印象すら抱いている向きも少なくないでしょう。個人的には管理職の理解不足が大きな障壁になっていると感じています。現場の記者がいろいろ試してみたいと思っても、管理職がやらせてくれない、無関心、やるなら勝手にやれ―。口ではハッキリ言われないまでも、なんとなく社

          新聞社の管理職がChatGPTやデータサイエンスを学ぶ意義とは

          新聞記者の取材動線をAI(ChatGPT)に作ってもらうとどうなるか(GPT-4、GPT-3.5)

          1.AIは取材動線を作れるか複数の警察署に何度も顔を出しつつ、複数の日ネタの取材もこなし、さらには夕方から原稿も書いて…と、新聞記者にとって動線の効率化は欠かせないと思います。今回は、ChatGPTが最適な取材動線を提案してくれることをご紹介します。GPT-4とGPT-3.5で試してみました。 a.前提条件その1(本社と警察署2か所) 本社は静岡市駿河区にあると仮定します。静岡市葵区には静岡中央署、静岡市駿河区には静岡南署という警察署があり、どちらも1日のうちで最低2回は

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          AIでどれほどの新聞記事が書けるかを試していたら、たどり着いた結論

          ChatGPTの勢いが止まりません。公開からわずか5日で100万ユーザー、2カ月待たずに1億人超という凄まじさ。100万ユーザー獲得にはネトフリで3年半、インスタでも2カ月半というから、凄さが分かります。AIに新聞記事が書けるか、というのは既に愚問かもしれませんが、部員と楽しみながらいろいろ試しています。そこでたどり着いた一つの結論がありました。 プレスリリースを基に記事を生成する静岡おでん祭 まず、一覧性がいいのでOpenAIのPlaygroundから試してみました。使

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          フルブライト奨学金ジャーナリストプログラムとMITのフェローシップを受験してみた話

          1.このnoteを書く理由 まず、結論から言うとフルブライト奨学金は合格してません(涙)。合格体験記をお求めの方には期待外れとなります。ご承知おきください。時期的にはMITの最終面接で「ダイヤモンドプリンセス号が云々」と話すくらいの頃です。情報自体はそれほど古くないですが、コロナ前後の傾向変化はカバーしていませんので併せてご斟酌ください。 有名なフルブライト奨学金には毎年1~3人の記者が給付型奨学金を得て、米国で最長9カ月間、好きなテーマを研究できる「ジャーナリストプログ

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          新聞の一面コラムの一部を人工知能(AI)に書いてもらってみた話

          1.このnoteを書く理由 新聞の一面コラムといえば朝日新聞さんの「天声人語」、読売新聞さんの「編集手帳」、毎日新聞さんの「余禄」等があります。静岡新聞は「大自在」。1月25日付朝刊のコラムでAIを使いました。生成条件などの詳細を補足すべきと思うのですが、コラム内では十分に説明できませんでした。  条件を付記しないのは不親切だと引っかかっていたので、2年前にアカウントだけ作っていたnoteで補足します。AIに関心はあるけどまだよく分からないという方(特に新聞記者の方々)の、

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