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[短編]二つの人生

僕は別に特別な人間じゃありません。

俺は本当にしょうもない人間だ。

言うならば凡作です。

言うならば失敗作です。

学生時代もちゃんとしてませんでした。

学生時代の思い出は殆どありません。

例えば放課後いっつも友達と遊び散らかしてたし、

友達と言える人間は何処にもいませんでした。

それに先生には色々怒られた。

ある日、先生からは何にも言われなくなった。

でも、今ではそれにも全部意図があったと分かる。

正直、今でもなんで怒られたか全然分からない。

それは親も同じです。

親は最初からいませんでした。

親はいつも僕を大事に思っていて

親はいつも金を大事に思っていて

他の事は二の次でした。

俺の事は四の次でした。

親はいつもお前はいつか凄い人間なれると言ってくれて

親はいつもお前はその内酷い人間になるぞと言っていて

自分で言うのも何だけどおおよそ、その通りになりました。

自分で言うのも癪だけどおおよそ、その通りになりました。

親にとっての僕は誇りらしい。

親にとっても俺は埃らしい。

生きてるだけで人間は美しい。

生きてるだけで人間は朽ちていく。

努力をすれば人間は報われる。

努力なんて出来るだけで幸せなんだ。

才能なんて微々たる物。

才能がなければ致命的。

結局、成功してる人はみんな頑張った人で

結局、成功してる奴はみんな運が良い奴で

そこに差はない。

そこには差しかない。

この世に天才はいない、秀才だけ。

この世に秀才はいない、天才だけ。

だから諦めないで頑張って。

だから諦めるのが当たり前。

選択肢は後から幾らでも増えていく。

選択肢なんて最初から決まっている。

……なんだこの文章。

……なんだこの文章。

きっとこの人は

きっとこいつは

人生について何にもわかってない可哀想な人なんだな。

人生の事を何にもわかってない幸せな奴なんだな。




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