妹が遊びに来た話②-おもちゃ病院ドクターの日記 #10
今日は妹が遊びに来たのだが、例のよってまたホラー話になったので書いておく。
無事に私を「おもちゃ病院ドクター」と認識した妹だが、
今度は壊れたラジコンを持ってきた。「これ、直る?」
「あぁ、あれか」と思いながら受け取った。というのも、どうやったら直るかを数日前から妹に連絡をもらっていたのだった。
まずはLINEで
1.放電
2.充電時間の短縮
3.再起動
などのやり方を細かく指示し試してもらっていた。
「何をやっても動かなかったよ」と妹。
ふうん、そうなんだ。とラジコンを手に取り、試しに電源を入れてみた。
動いた。
なにか嫌な予感がし妹を見ると、やはりというか、まるでわが子を誘拐した容疑者を探す目をして
「○○ちゃん、なにしたの。」と聞いてきた。
なにもしていない。
「電源を入れただけだよ」
電源が入ったことでラジコンからは音が鳴る。最近のおもちゃはどれもそうなのだが、電源が入ったことを知らせるセリフや音が鳴るようになっているようだ。
とにかくまぁ、妹の疑いは止まらない。
「なにしたの」
だからなにもしていない。
困った私は「こういうことって初めてでなくて……よくあるんだよ」と何気なく話した。
実際、少しほかっておいたら直ったという話はよく聞く。この「すこしほかっておいたら」というのは「人を1人呼ぶくらいの時間」なのだが、大抵呼ばれたとたんに直っているということがよくある。
実際『店舗に持っていったら直った』や『修理業者を呼んだら直った』という話はよく聞く。
「よくあるの?!」と妹。
「うん、よくあるんだよ」と私。
「○○ちゃん、どういうこと?」と妹。
どういうこと、とは?首をかしげる私。
「人間なの?!」
とうとう人外疑惑まで出始めた。
「失礼な」と私。別に不思議な力で改造し直すなどという人外のことはやっていない。とりあえず否定しておかなければ話がややこしくなりそうだ。
「家で○○ちゃんの言うとおりいろいろ試したけど本当にダメだったんだって」
どうやら直そうとして苦労したらしい。
妹は訝しげに「ちょっと電源切ってみて」と言う。言われた通り電源を切り、「ちょっと電源入れてみて」と言われたので電源を入れるというのを数回繰り返し、「ちょっと貸して」と手を差し出すのでラジコンを渡す。
「私が電源入れてつくかどうか試してみる!」と揚々と電源を入れた。
動いた。
「え、なんで」と妹。
なんでと言われましても。
しかし直ったものは修理できない。知り合いからも『電源を入れて治ったものをわざわざ分解して調べる必要はない』とお教えいただいている。
実際動くものをテスターで調べても正常値が出るだけであまり意味はないらしい。
終ぞ妹の視線は帰るまで変わらなかった。
お読みいただきありがとうございます。 引き続きおもちゃ修理がんばります!