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「みんなで遊ぶ」おもちゃ病院 -おもちゃ病院ドクターの日記#12

お客さんが誰も来ない。そんな日もある。

おもちゃ病院への来院がない場合に備え、壊れたおもちゃを1つカバンに入れて出向くことがある。

ひとりで修理したい場合はほっといてくれるが、本人が望めば周りのドクター達がいくらでも助けてくれる。
今回はそんな1日だった。

例えばおもちゃ病院ではこんな具合に修理が進む。

 机に修理するおもちゃを置いてから、工具をカバンから出し並べると、『これはなんだ?』とドクター1が通りすがりに立寄り、視線で問いかけるので「自宅から持ってきたおもちゃです」と伝える。
ほうほうとうなづき、「まあ頑張ってください」とニッと笑うとまた去っていく。

分解中にわからないことがあるとドクター2におもちゃを見せ「ここから分解できない」と見せると隠しネジの位置を教えてくれてる。

また机に戻り修理を進めていくとまたわからないことが出てくる。
そのままドクター1に見せ助言を求めると「ここがこうだと思う」と教えてくれる。

また机に戻り修理を進める。
前の机に座っているドクター3が「おお、頑張ってるな」と話しかけてくれるので修理状況を軽く相談。
それを見たドクター4が「どんな感じだ?」とドクター3と相談し、また教えてくれる。
分解し基盤を出してからハンダ付けをし、引っ付ける線が多くなりどうしようもできないでいるとドクター4が「どれ、持ってあげよう」と手伝ってくれる。

修理が順調に進み試運転を始めるとドクター5が「おお、なんか動いている音がするぞ、どこだろう」と探しに来て「順調かね?」とおもちゃの動きを見てくれる。
「そのおもちゃはこう動くから、それだとたぶん歯車がおかしいね」と教えてくれる。

机に戻るとドクター5との会話を聞いていたドクター3と4が相談し「たぶんどこそこの歯車だろう」と話し合っている。
ほうほうとうなづき分解しようとすると止められ「この部分だけを外せば良いよ」と教えてくれる。
「ここがこうなるのが正解なんだ」と教えてくれるのでそのとおりに調整しまたネジをはめ込んで動かす。
「ちゃんと動くようになったな」とドクター3と4は自分の机に帰っていくと、今度はドクター1がどれどれと見に来て『ああ、さっきのあれか』とニッと笑って去っていく。

時間があまれば他のドクターのおもちゃ修理を見学し、遊んでもらったりもする。
とまあ毎日こんな感じで進む。


壊れたおもちゃを直すという遊びを「ジャンク修理」という。

一人で遊んでいた「ジャンク修理」は、ひたすら一人で考え、試し、わからないことがあればインターネットで情報を探し歩く。そんな遊びだった。
文字にすると何が楽しいんだと思われがちなのだが、ネジをゆるませるのも、分解して構造を観察するのもそれなりに楽しいものなのだ。

ただ、一人でジャンク修理をやっている時は『もし隣に仲間がいればもっと楽しいだろう』と何度か考えた。

『ああでもない、こうでもないと議論したり、一緒に実験できればどんなに楽しいだろう』と思っていた。
残念ながらジャンク修理が趣味なんて人は家族の中にも同学年の中にもいなかったので、インターネットで調べながら独学で遊んでいた。

でも実際に集まって修理するのはやはり違う。解決までの時間も、ワイワイとやるのも楽しい。

だから、誰かそんな人がいれば一緒におもちゃドクターをやってくれないかなと思うのだが、まだまだ「おもちゃ病院」というものは知られていないらしい。子供が居ないのであれば知る機会すら無いのかもしれない。
もしおもちゃドクターになりたそうな方がいれば、ぜひ「おもちゃ病院」という遊びを教えてあげてほしい。






お読みいただきありがとうございます。 引き続きおもちゃ修理がんばります!