イワヤの猫さん、時間制限のある修理-おもちゃ病院日記

 修理に2時間かかった。

今日は放課後等デイサービスで開催されたおもちゃ病院で、私はおもちゃドクターとして参加している。

 「これを直してあげて」と受付の人から預けられたおもちゃは、子どもたちが遊んでいる間に修理され帰る頃には修理が終わり受け取りを完了する…かもしれない。
今日はそんなタイムスケジュールで動いている。

これが何を引き起こすかというと、おもちゃドクター達の修理タイムトライアルだ。
私も1台のおもちゃ(患者)を渡され『できれば帰るまでに修理が終わっているといいな』という無邪気な子供の声を背後に聞きながらタイムトライアルが始まった。
しかも、今回は受け取った患者が悪かった。
イワヤというメーカーの猫のおもちゃだ。(ちなみにイワヤは素晴らしいメーカーなのでイワヤは悪くない)
イワヤのねこちゃんは、ぬいぐるみのような布に包まれた最高難度のギミックで作られたプラスチックの塊だ。
何が最高難度かというと、無理をすれば割れ、無理やり動かせば折れるというポリプロピレン製でできた歯車の塊なのだ。

ちなみにポリプロピレンは接着剤では固まらず手のかかる別の方法でしか修理ができない。

つまり、壊れても壊れてなくても、解体も組みたても難しい上に部品に強度がないという難易度が高めの患者なのだ。
とにかくこのイワヤ、かつぎこまれる頻度も高く、再入院も多い。
故にこれを犬猿するドクターさえいる。

今回お客さんが2時間という料金を払って施設で遊んでいる。つまり私にはお客さんが遊んでいる間の2時間という時間が与えられたのだ。
そして、2時間で『できれば』治すという使命も与えられた。思わず苦笑いが出る。

とにかくまあ2時間から数分遅れたがなんとか治すことはできた。

いや、しかしタイムトライアルでなにかに追われながら治す厳しさと言ったら💧
随分と必死な顔で修理していたらしく後になって同僚から笑われた。その人も自身に当てられた患者に必死だったはずなのに。つまり修理中も私を心配してくれて様子を見てくれていたということなのだ。そういうことで私も一緒になって笑っていた。

わはは。いやぁ、つい必死になってしまいましたよ。わはは。

お読みいただきありがとうございます。 引き続きおもちゃ修理がんばります!