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第3話(4,000字まで)

亡くなった子供のおもちゃ

ある日、のおもちゃ病院。古いおなじキャラクターの絵がはいったおもちゃが持ち込まれる。
ドクターひとりひとりに渡されるおもちゃ。
 
カバーをあけると部品が古い。
そして、ものすごく遊んだ跡がある。
「なつかしいなぁ」笑顔で治すドクターたち。
その光景を依頼主はぼんやりとみている。
『本当は一緒に来たかったけれど』と空のままの隣の椅子を見る。
ドクターが修理するそばで見学の小さな子供たちが「これなに?」と近寄っておもちゃを指さす
「みるだけだよ」というドクターに笑顔で頷く子供たち。
部品の螺子を順番に外し、中の配線を確認、接続部とスイッチ部の清掃と
各部品をテスターで確認。全体を確認してから、基板裏を確認。
最後に動作確認。

最終確認時の音がおもちゃから鳴る。
その音を聞いて昔の思い出がよみがえる。
おもちゃを持ったまま、『おかあさん』と見上げた我が子を思い出す。
ドクター達から見れば、依頼者がおもちゃが動いたのをみて泣いたと思ったようだ。
 
おもちゃが治り、それぞれ受け持っていたドクターが受付に持ち込む。
そのひとつひとつを手に取り、「ありがとうございました」と頭を下げる。
 
家に帰り、仏壇におもちゃを供える。
「今日ね。サチと同い年の子がおもちゃが修理されるのを一緒に見守ってくれていたのよ」
『そうなんだ、ありがとうねおかあさん』
すぐそばに娘がいる気がした。
 
 

お読みいただきありがとうございます。 引き続きおもちゃ修理がんばります!