『ポエティカル行路』 2023.11.30

2023.11.30

1.(中川を辿り亀有まで)

自分という軸の芯の部分へ立ち戻るようなこと、歩くとは僕にとってそのようなものである。

世界をそこから見渡す見晴らしの良い場所、それが自分という軸の芯の部分なのだと思う。

僕が語る言葉もそこから出るものであればいい。そう思う。

そこには世界と僕との間の不思議な循環がある。

春日通りを後楽園に向かって歩く。
白山通りに流れ、水道橋駅へ。

JR線で新小岩に到着。
今日はここから中川を辿って亀有の方まで歩くつもりでいる。

北口に出て、平和橋通りを北上。早く川に会いたい気分でいる。

中川に辿り着く前にモンチッチ公園へぶらり立ち寄る。なるほど、モンチッチがいる。

上平井橋を渡って、うねうねと流れる中川に沿って歩き始める。

この辺りも未だ海の匂いがする。

川辺のぼけっとしたつまらなさを味わいつつ歩く。

空が青いと水の上も青く光って、パールのような美しさが流れる。

川と街、両方眺めつつ歩く楽しさ。風景の中にいる人たち、関わりの軽さと気楽さ。

川面から魚が跳ね、時々葉がぽろっと木から落ちる。

ベランダにBlue Heartsのバスタオルが干されていたり、とぎれとぎれの印象を集め、ささやかな川の流れとして一文一文綴ってつないでいく。

紅葉した木の上の方に黄色い実がなっていた。あれはカリンの実だろうか。

遅れてふっとエコーのように印象が心に響いてきたり、mindに語りかけてきたりする。

この辺り、植樹されている木や灌木にヴァリエーションがあっていい。

青砥橋の下をくぐって、もうそれほど亀有も遠くない。

川辺の家々を眺めつつゆるやかな歩行。

すすきの葉がかさかさと風に揺れる音を聴いて中川橋に到着。

亀有の街へと入っていく。

一本の道をまっすぐに歩いていて、同じ人と二度すれ違うと不思議な気分になるが、そういうことは起こりうる。

亀有の街をしばらくふらふらする。

2.(柴又まで足を伸ばす)

そんなに遠くないので、柴又にも遊びに行くことにする。

環七通りを南下。

いろいろ想いつつ歩いているともう柴又。通りに演歌を歌うおばさんの声が響いている。さすが柴又。

こち亀も寅さんもあまり思い入れがないので、旅のモチベーションにはならないけど、下町の空気に触れることが出来てうれしい。

映画セットの中に紛れ込んでしまったみたい。

子供がたくさん遠足で来ている。

揚げ団子を一つ買い、歩きながら食べる。

昨日読んだ田中小実昌さんのessayにバスの旅が書かれていたことを思い出しつつ、小岩行きのバスをつかまえて帰路に向かう。


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