『ポエティカル行路』 2023.12.06

2023.12.06(神田川に沿って歩く)

井の頭公園が今日のスタート地点。

水音を聴きながら、枯葉と土の道を神田川に沿って歩き始める。

素晴らしい天候に恵まれる。

始まりはとても素朴な自然の川が、500メートルを進むと石壁やコンクリートに囲い込まれる。川を見降ろすスタイルのよく知られた神田川の雰囲気はかなり早い段階で出来上がってしまう。

それでも街と川の語り合いは続いていることも感じられ、川の流れをところどころ狭くしたり、広げたり、くねらせてみたり、川を閉じ込めて人が川の流れで遊んでいるようなところもある。

盆栽とか、そういったものとも神田川は通じるところがある。

うん。やはり盆栽的な感性が場に生じている。

人の手が川に加わって、歴史とともに変化してきたような場。この川は東京の街を理解する大切な鍵となりそうな予感。Amazonで神田川の歴史に関する本を一冊ポチり、手に入れる。

高井戸駅。

駅の存在がふと歩行の流れを切る。

今日はかなりゆったりゆっくり歩いている。
時々上から川面をのぞき込んだりしながら。

この川は考え事をしながら歩くのに向いているように思う。

コンクリートで囲われてしまってはいるが、神田川沿いはとても歩きやすく作られている。触れられないけど、ある種の身近さがそこにある。

白鷺が魚を捕まえ飛び去っていく。

すいかずら科のアベリアという植物が路傍に植樹されている。この植物は幼少期から身近にあった。

杉並区の神田川沿いには物語の妖精が潜んでいるようだ。風景に物語の可能性や気配が染み込んでいる。

幸福橋ががっつり工事中で可笑しかったので写真を数枚撮影。

楽しみ過ぎてテンポがだらだらしてきたので少し歩速をはやめる。

時折白鷺が目印のように静かに佇んでいる。

川沿いの道が途絶え、ふっと川が街の区画に消えると、建物と建物の隙間に隠れ、都市ならではの川との関係が生じる。

ここはもう中野区に入っているのか。
中野区は神田川をみんなの景色として街に統合することを少し諦めている気もする。

川沿いを歩くというチョイスがしばらくの間消される。

神田川という歌があったけれど、あれは神田川のどの辺りをうたっているのだろう。

柳橋で、やっと川沿いの小道が復活する。

新宿都庁ビルが見えてくる。

山手通りがズバンと川沿いの道を塞ぎ、しばらくまた迂回して川沿いに戻る。

都心に近づくとこういうことが増えてくる。

新宿区に入ると、もう川を見なくとも川と共に歩いているだけで良いと感じるようになる。

見ようと思えば、そこに流れていることを確かめられるけど、別にそうしなくても良い感じ。

新宿区だったり、中野区に入ったり。
川もふらふらしている。

夕暮れ時になると急に街が白んで冬っぽくなる。

高田馬場が近づき、名前を聞いたこともないような怪しげな大学や語学学校がちらほら。

駅前で川を見失う。
Googleマップの助けを借りて川沿いへ出る。

街の雰囲気を背負って人々も歩いている。
今日は江戸川橋まで歩こうと決める。


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