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ファンタジー小説/サンダーコレクター3

呪文かと思ったら、なにか歌みたいだった。

「吉川晃司だよ!知らないの?」

鼻歌かよ。壮大な感じだなと思ったのに。

「コレクターさんたちいつ来るか分かんないけど、新しい音好きだからいっぱい来るよ。 
出来れば、その模様が確認できる方が喜ばれるけどね。
あと、積極的に新しい子は取り上げられるからね。」

お、きたきた。

水溜まりから、ニャックのような形のものが飛び出てきた。
水面に浮いて、こちらを見ている。

「これがコレクターさんたちだよ。
コレクターさんたちは雷が好きなんだ。
新しい景色を体験できてて喜んでいるね。」

コレクターさんと呼ばれるものたちには、ニャックと同様に口が見当たらない。

くるくると舞ったり、ダンスをしてるように見える。
すると水溜まりの水がが跳ね上がって、文字として出てきた。

「これで会話するんだよー、読み上げてあげたり、返答返してあげて」

ニャックが言う。

今日からハンターになったの?
ご飯何食べたの?
何が好き?
僕は風に当たるのが好きなんだ。

文字がシャボン玉のように浮かんで、読み上げて答えると文字が弾けて、また水に戻り、水溜まりになる。

雨音とともに、コレクターさんたちが水溜まりの水面で舞うからぴちゃぴちゃと音を立てている。
どんどんと水溜まりが大きく深くなってきた。

そして文字として浮かび上がって、水溜まりに戻る時にもぴちゃん!と弾く音がする。
なんだかコレクターさんたちは、楽しそうだ。

ゴロゴロゴロ

雷の音がしてきた。
するとコレクターさんたちは一気に動き出した。
もう文字ですらなくて、記号のようなものがぐるぐると水溜まりの周りを囲み出した。

「これ、キラーコメントだよ。気をつけてね、触ると人間死んじゃうから。ちなみにこれは読まなくていい。といつか読みようがないよね、あはは。これは、これからの雷に、備えているんだよ」

水溜まりの周りを囲むように、キラーコメントがくるくると繋がり、下からまた新たなキラーコメントがすでにあるキラーコメントを押し上げ高さが出来てきた。
まるで井戸みたいだ。

その為、雨がそこに余計に溜まっていく。

コレクターさんたちは、その井戸の内部に両手を付けている

その時、ピカッと雷が光った。

すると、その光の一部が井戸に入り込んできた。

https://note.com/futohate/n/n7f9b6c5055a6








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