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感謝していることについて-私が”優しい”理由-


人に自分の印象を訊くと、ほとんどの人から「優しい」と言われる。優しさは自分の長所であって、人に対して優しく出来ること、それは強さの裏返しだと思って維持してきた。

思い返せば、そんな自分の優しい性格は小さな頃から変わっていない。家族や周りの人からは「心優しい(lale)ちゃんが好き」だとか「優しいから人の痛みが分かるんだよね」と言われ、そのままの私で居続けることを望まれてきた。

でも、高校を卒業し大人の現実世界に足を踏み入れると、優しいことをいつまでも長所だと思っていられないようになった。むしろ、自分は弱い人間であって優しさは短所なんだと思う事が増えた。人に騙されたり、傷つけられたり。

私たちは自分で生きていかねばならないシビアな世界で日々過ごしている。だから、強さを見せつける事、弱みを見せない事、勝ち抜き続ける事を考えるのは当然の事なのだと思う。そんな事に、それまでの私は一切気付かず、正しさと優しさこそ正義なのだと思って生き辛さを感じていた。


昨年夏、ようやく住み慣れてきたこの土地で、久々に自分と向き合う機会を得た。発端はよくある人間関係の悩みだった。ただそれは、私の優しさ所以に、相手に勘違いをさせた事が引き起こした問題だったと思う。

落ち込んで、実家にいる祖母に電話を掛けた。私が周囲から求められている役割はイエスマンなのか、雰囲気の為の置物なのか、とか。優しい態度でいると親切だった相手の気が段々と大きくなったり、悪気はなくナメられたりする、だとか。

私は育ての親とも言える存在の祖母に、電話口で必死に相談した。その時の祖母からのアドバイスを、私は一生忘れられない。

「あんたが人に優しく出来るのは、あんたに余裕があるからだよ。」


頭を金槌で叩かれたような衝撃だった。本当に、まさしくその通りだと思った。人の気持ちを考えられる事、気を遣えること、求められていることを察せる事…。私が当然のようにやってきたことは、私自身の心に余裕を持っていないと出来ないことだと実感した。


その出来事をきっかけに、私は幼少期からの自分を振り返った。共働きの両親が、お金の心配をさせまいと毎日働いて育ててくれた。激務に終われる母の代わりに祖母がいつもそばに居てくれたから、大きな寂しさを感じなかった。家族がいっぱいの愛情を注いでくれた。沢山の奇跡と周りの人の努力のおかげで、私は今の私にまで成長できたんだとつくづく思った。


その中でもやはり、金銭的なことへの感謝が大きかった。生活の地盤。高校を卒業するまでは全然シビアに感じていなかった、自分でお金を稼いで生きていくということ。それから直面した様々な社会経験。

「夢を見られるのはお金があるからだ」という、どこかの漫画でみたような言葉を思い出して凄く納得した。これまで育ててくれた親に対して、心の底から感謝の気持ちが沸いて出た。

それから「自分が親にならないと、親の気持ちなんて分からないんだよねぇ」と感慨深げに言っていた父の気持ちが少しだけ分かった気がした。この土地に嫁いで早3年。夫婦としての父母の気持ちは理解できるようになった。けれどこの先、自分に新しい家族が増えたらきっと、これまで気付かなかった想いや苦労をわんさか実感していくのだろう。そして、最大限の尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになりながら、私は自分の大切な人を守るために強くなるのだろうと思った。



私は人から「優しい」と言われる。このことを自分の短所だと感じたり、このせいで辛い経験も沢山してきた。でも、それでも私は、人に優しくできる自分でいたいと思う。

昨年夏の出来事をきっかけに、私は本当に強い人間になりたいと思うようになった。大切な人たちが大切に育ててくれたこの自分を大事にしたい。

その為に、安易な優しさは振りまかない。相手にとって厳しい事でも、相手のためになるならばきちんと伝える。嫌われることを恐れない。そういった本当の優しさこそ正義で、それが回り回って、自分自身を大切にすることに繋がるのだと思っている。

今の私があるのは、育ててくれた両親、家族、友達、近所の人、学校の先生…数えるとキリがない、これまで関わった全ての人おかげだ。そして、楽しかったこと、しんどかったこと、全ての経験のおかげだ。

沢山の事から出来上がった、”かけがえのない”私を大事に、

そしてこれからは大切な人たちを深く守って生きていくために、

これからも私は優しい自分であろうと思う。





( 追伸 )
今年で25歳。四半世紀を振り返って、色々あったこの数年間と、今の自分の気持ちを整理してみました。
嫌われる勇気を持って本当に強くなるには、変わりたいという強い気持ちと、変わろうとし続ける継続力が必要ですね。

今年は。がんばるぞ。

٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

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