そういうメルヘンじみた夢

例えば明日世界から私が消えてしまうとか、そういう消極的な消失願望をずっと抱き続けている。生死への執着でもなく、ただただ社会や他人に一喜一憂してしまうことを止めたくて、社会に不向きな自分にずっと疲れている。漠然とした「誰かの幸福」とか「世界平和」とか、そういう目に見えない、姿も形も知らないものをひたすらに祈り願い、「関わり合いすらもない何か」のために心を砕き続ける概念みたいなものになりたい。そうして初めから私という物質的なものが存在しなかったことにしてしまいたい。

私という存在が望まれてもいなかれば、望む形にもなれず、無くなったところで誰かの心や生活に何の影響も与えないのなら、それならせめて、綺麗で美しい、形のないものになりたい。「自分」も「肉体」も存在せず、ただずっと、誰かや何かを見守り続けて、少しでも豊かに生を終えられるように、そのためだけに在れるものになりたい。

もうずっと、何が悲しくて、何に疲れているのかも分からない。何が足りなくて、何を持っていたいのかも分からない。誰かに必要とされるには足りない自分を持て余して、そうして何かを食い荒らしながら生き延びることに、少しの抵抗を覚えているだけだ。

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