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誰も知らない朝。


古道具キミドリには「特別な朝」が存在する。
誰も来店しない、おそらく僕だけしか知らない時間と空間、珈琲とタバコを片手にひっそりと楽しむのがここ最近のマイブームだ。(店内で吸っている訳ではないので悪しからず。)

古道具キミドリは2棟の建物からなるお店、元々パン屋さんだった路面側の箱と元々酒屋だった酒蔵に家具を敷き詰め、クネクネとしたレイアウトで展開、販売を行なっている。酒蔵の中に家具。というのが何だか不思議な感じもするのだが、いざあれやこれやとモノで溢れかえるとでっかい玩具箱のような、見るもの全てにワクワクさせられる(自画自賛しているようで恥ずかしいが)。

そんな蔵側の天井は、おそらく何十年もの(下手したら何百年もの)の古材で梁が構成され、壁面から天井を見上げるだけでも圧巻の存在である。僕としても入り口前に固めた最高のレイアウトを見てほしいという思いはあるのだが、天井を見上げてしまったら、家具に対しての反応なんて瞬く間に消えてしまうほどだ。お店のどこかに感動して印象に残ってもらえることが非常に嬉しいので、実際のところはそんなに気にしていない。

僕が「特別な朝」を見つたのは偶然で、もしかしたら一生気付かなかったかもしれない。少し話が逸れるが、毎月第一日曜日になると、近くの一級河川の1つでもある旭川沿いでは「京橋朝市」というものが開催される。近隣のお店が早朝4時頃から河川敷に出店を出し、その場所でしか味わえない逸品料理を堪能することができるのだ。僕も毎月欠かさず行くように心掛けているのだが、心掛けているだけである。

純粋に起きれないので、奇跡的に目が覚めた時にだけ河川敷まで車を走らせ、朝からひつまぶしや牛串をなどを食らう。これだでも十分特別だ。
早朝から外出したはいいものの、数時間後には出勤しなければならないタイミングが比較的多いため、出勤時間には早すぎるのだか、すでにお店に着いてしまっている時がある。


「特別な朝」を見つけたのはこの時で、そういえば蔵側には大きな天窓があったなと思い出し滑車のついた大きな引き戸の鍵を開け、重い腰を無理矢理あげるようにギシギシと音を立てながら開く。

この日は快晴ではなく、曇りのち晴れ。
空は一面真っ白に覆われていたが、フワッとした明るい日だった。その淡い光が4箇所の天窓から木漏れ日のように土壁と家具を照らし、梁にできた影は立体感をまし、何とも幻想的というか、外からの音も一切なく、静まり返った心地よい空間。珈琲を片手に香り立つゆらゆらとした湯気が1/fのようなゆらぎを感じさせる。

ここにハマる音楽は一体何だろうな、
こうやってたまに気分転換しながら今日もまた楽しい1日がスタートする。







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