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「Lancer of the Year 2023」イベントレポート~ゲストトークセッション【前編】「進む中小企業のフリーランス活用」企業はなぜランサーに依頼するのか~

【「進む中小企業のフリーランス活用」企業はなぜランサーに依頼するのか】をテーマに展開されました。ご登壇いただいたのは株式会社ヌボー生花店 代表取締役社長 山﨑年起さま。モデレーターを本年度Lancer of the yearの受賞者である和田淳志さまとランサーズ 執行役員の後藤が務めました。

▼ゲストスピーカー
株式会社ヌボー生花店 代表取締役社長 山﨑年起 様
長野県で「新鮮で、高品質なお花・植物を提供する地域一番店の花屋」と愛される「ヌボー生花店」。東京の大手システム会社でシステムエンジニア(SE)として働いた後、2010年に2代目社長として入社。現在は長野市内に4店舗(1店舗はカフェ併設)を構える。
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▼モデレーター
和田淳志 様
コンサルタントからデザイナーまで幅広く活躍。「クライアントの成長の HUBになる」という目標を掲げ、ランサー同士でチームを組み、つながることでより高い付加価値を届けることで支持されている。
ランサーズアカウント
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今回、受賞者に着用いただいた胸章はヌボー生花店に作っていただいたものです。
コサージュに使用された花は「希望」という花言葉を持つガーベラ。
未来の希望を込めて、ご用意いただきました。

後藤)ランサーズはみなさんご存じの通り、仕事を受注したいフリーランスの方と、お仕事を発注したいクライアントの方をマッチングするプラットフォームを提供しています。

新しい働き方、自分らしい働き方を実現したいとなっても、お仕事を発注していただく企業様がいらっしゃらないとマッチングは実現しないわけです。

良い関係をどのように構築するのか、どういった思いで発注なさっているのかを今回ヌボー生花店の山﨑様にお話を伺います。現在フリーランスとして活動なさっている方や、今後フリーランスとして働いてみたいと思っていらっしゃる方が、発注する側の思いや背景、ニーズを理解いただいてこれからの活動に生かしていただきたいと思っています。

山﨑さん)長野県長野市にて生花店を経営しています。基本は店舗を構えてお客様にサービスを提供することが我々の仕事です。いろんなストレス社会になって、私はお花や植物の力が人にもたらす力を信じています。その力をより多くの方々の生活の中に浸透させていくことが様々な社会の課題解決につながっていくと信じています。そういったことを事業基盤に商売をさせていただいております。

弊社は、今従業員が約20名ちょっと、売り上げも2億5000万程と決して大きい会社ではございませんが、今日私が登壇させていただく中で、皆さんにお伝えしなきゃいけない目的は中小企業のリアルなぜこういうサービスを使うのか、変な言い方すると使わざるを得ないのかということも踏まえてリアリティのある話をさせていただくことが一番皆様の参考になるのかなと思っております。

発注側の声を聞くことはあまりない!と
コメントやツイートでも期待の声が多く見られました!

中小企業経営者の働き方改革を

山﨑さん)ちょっと話が飛んじゃうかもしれませんが、働き方改革というのは今世の中でいろいろ言われていて、私はまず中小企業の経営者が働き方改革しないと、どこの中小も変わらないと思ってるんですよ。特に小売業と飲食、宿泊ですね。日本の労働生産性が低いと言われてる中で、業種別の国が出してるデータでは最下位3つが飲食、宿泊、そして小売業。この3つの業種の労働生産性がグッと上がれば日本の労働生産性は確実に上がります。

今日受賞者が話しているような働き方の自由度の考え方が、そのまま経営者の参考になることは間違いないと思っています。うちの会社だとたかが20人ぐらいの会社ですが、市外で働いてる従業員が3名いて、外部人材も含めると5名います。うち1名は海外にいます。我々の企業でもそれができるということなんです。皆さんにも知っていただけると、仕事の提案の可能性も広がっていくんじゃないかなと思っております。

後藤)昨年、全国中小企業クラウド実践大賞の全国大会で「日本商工会議所会頭賞」を受賞なさったんですよね?具体的にどういった取り組みをされたのでしょうか?

山﨑さん)私の働き方改革と、女性社員がうちの場合は9割ですので女性の働き方の多様性を持たせたい、ということでいろんなクラウドツールを使わせていただいています。社内の業務を20個ぐらいクラウドと言われるものを活用して業務改革を行っているので、それを評価していただきました。

「何でも屋」の経営者。集中すべき業務は?

和田さん)なぜランサーズを利用するようになったのか、そのきっかけと実際に今どういった業務をご発注いただいているのかお伺いできますか。

山﨑さん)私の働き方改革だって話をしたと思うんですけど、中小企業の個人事業主さん、多分フリーランスの方もそうだと思うんですけど、大体「何でも屋」なんですよね、基本的に。

「何でも屋」の良い面と悪い面のどちらもあると思います。大体ほとんどの中小企業は社長がマネジメントしてるような状況で、そんな中で特に我々のような20人ぐらいの規模だと大体の経営者はほとんど24時間働いてるんじゃないかぐらいなマインドになっている人が非常に多いです。特に小売りや飲食、宿泊といった業種の方々だと、大体みなさん現場に出てます。もうプレイングマネージャーかつ、20名ぐらいのマネジメントしてるみたいな感じです。

変な言い方になるかもしれませんが、一番給料の高い経営者が、一番労働生産性の低い業務をやっているわけです。だから儲からない。5、6年ぐらい前までは私自身もそういう状態があって、全然会社が儲からず正直赤字な時期も長くて、いろいろ見直した結果、結局私が悪いんだなと。私が本当に集中しなきゃいけない業務に全く集中できてないと気がつきました。圧倒的に時間が足りないということで、それを見直すためにまずは私のやってる業務を3カ月くらいかけて、徹底的に付箋に書き出しました。

自分でも愕然とするわけです。こんな業務もやっているのかということにだんだん気がついていく。経営者さんによって全然違うと思うんですが、私の場合は集中すべき業務は「採用活動」と「お花の仕入れ」業務でした。会社にとって非常に重要なポイントにできる限り自身を集中させていきたいなと考えました。

集中するためには、それ以外の業務を従業員に振っていくか、やめるしかありません。困った事態に陥ったと思いましたね。大体儲かってない時というのは、従業員に振りたくても振れない状態の時なんです。そうなって初めて、テクノロジーやクラウドツールを活用するか、ランサーズのようなサービスを活用するかの選択肢が生まれるんだと思います。


「やらない」と決めた仕事の対応策4つ

やらない仕事は、↑3番目の「Lancers」のようなサービスが使えるようになってるのが今の世の中の変化。非常に大きな変化ですが、今のところ特に小売業やサービス業に関してはほぼ使えてないのが中小企業のリアルだと思います。

これは頭の中で現場に人がいないとダメだと思い込んでいることが最大の原因です。そこを解決するために皆さんからできることをご提案をさせていただきますが、私がやらないと決めた仕事に対する対応策っていうのは主に4つしかないです。

ただ、今の時代どこも人手不足に困っているので、1番目の選択肢はほぼ90%ぐらい取りづらくなってる現実もあるということは、皆さんにとっては非常に大きなチャンスだと思ってます。

これだけはちょっと強く言いたい、本当にこの半年~1年の間で人手不足は劇的に悪化しています。給与水準を上げなきゃいけないというのはありますが、上げられる会社と上げられない会社で今後二分化していくのではないでしょうか。うちの会社は割とうまくいってた方だと思っていますが、最近は危機感しかないですね。多分ほとんどの会社がオーバーワークです。結果的に2番目からの選択肢を上手く活用していくことが非常に重要になってくると思います。

労働生産性が高い会社がやっていること

山﨑さん)私がやったことは、いわゆる社長の仕事をできるだけランサーさんやテクノロジーを活用して減らしていきました。
そうすると私のパフォーマンスが上がってくるので会社の業績は良くなります。これをそのままマネジメント層に広げていけば多分うまくいくんじゃないかという仮説のもと、全く同じことをマネージャーにやってもらったんです。

3ヶ月ぐらいかけてやってること全部書き出して、1個1個仕分けしていって、ものによってはテクノロジーを活用したり。もう無理してやらないと決めたりしました。

結果、会社の労働生産性がグイッと上がって、業界内で労働生産性が非常に高い会社として色々なところから注目をいただいているという状況になっています。

これは私の会社の場合ですが、基本的には販促関係に関しては社内に専門人材を置くことはほぼ無理だと思っています。現在は、販促関係はランサーさんや地元の企業など、外部と連携しながらやっています。最近だとSNS周りもあまり強くないですし、外部人材を活用しています。

結局我々のサービスの利益の出所、全ての利益を生む瞬間というのはお客さんとの接点しかありません。お客さんとの接点の瞬間しか、利益を生み出せるところがないんです。

究極的には小売業で行き着く先は完全自動化・機械化していって、「便利でよりコスパの良いサービスを目指していく」か「人でしか生み出せないサービスで付加価値の高い商売やっていくか」の2つしか生き残れないと思うんです

今はとにかく接客に力を入れていくということで、接客以外の仕事は極力現場からは排除しています。うちにはリモートワークチームがあり、そのチームで現場で困った仕事は全部ヒアリングして吸収しています。

現場のことはできるだけシンプルにしていってとにかく目の前のお客さんに集中できる環境を作っています。

付加価値を生み出す仕組み。外部人材を活用しながら業務を回す

後藤)リモートワークで働いている社員もいらっしゃるとのことで、実際にランサーズを使うようになったことと、関連あったりされるんですか?

山﨑さん)どちらかと言うと、クラウドツールを利用するよりも、外部人材を活用した方が早かったんですよね。ランサーズを利用すると、何とでもなるなと。外部人材を活用しながら業務って回せるもんなんだなというのがだんだん分かってくるんです。

効率性よりも、我々はお客さんに対してサービスの付加価値を生み出さなきゃいけない。そこがクリエイティブなところです。そこは時間では決して労働生産性を測れないです。満足してくださるのか、継続して使ってくださるのかというところは、多分ランサーさんがお客さんとの関係性を築くのに困っていらっしゃることや、継続発注していただけるようにするかと全く一緒なんだと思います。

ある意味失敗を許容しなきゃいけないし、その時間を会社が計測しだしてしまうとおかしくなってしまうので、いかに時間を生み出してあげるかを考える必要があります。そうすると、余計な定型業務はできる限り周りでやってあげようっていう発想になりました。

企業には課題がたくさん!納品後が継続発注の肝

後藤)お話いただいた考え方は、まだまだ浸透してない部分も非常に多いと思っています。実際に山﨑さんがフリーランスの立場になってクライアントさんにこのエッセンスを少しでもお話すると場合どういう伝え方をされますか?

山﨑さん)ランサーズを利用して100件以上発注させていただいて、1個気づいたことがあります。受賞された方々の話を聞いてて思ったんですが、丁寧な仕事をされるとか複数提案をされることは非常に大事
発注する企業さんはおそらく何かしら課題感があって発注されます。うちもそうです。
企業さんには絶対その他の課題がいっぱいあるはずだって思ってほしいんです。絶対その単発で終わるべきではない。終わった後が一番重要じゃないかなと思っています。

今の私の話が参考になればいいんですけど、仮説から入っていって絶対この人たちはもっとたくさんの課題を持ってるはずだと思って、その後のアプローチをどうやったらクライアントの深層部分に入れるのかって考えていくと多分、継続発注は自動的に生まれてくると思います。

発注する際に見るポイント!

和田さん)依頼するフリーランスの探し方を教えてください。

山﨑さん)依頼先であるフリーランスの方の探し方ですが、うちの場合は大体100%やることが決まっていて発注するので、プロジェクト方式が圧倒的に多いです。お見積もりいただいて、提案文を結構見ています。

私が「この方にお願いするのは不安だな」と思うパターンが大きく3つぐらいありまして(あくまで私の場合はです)、
①文章が短い。→「やらせてください」ぐらいな感じの方とかいらっしゃるんですよね。これだとなかなか仕事取れないだろうなと思いながら見させていただいています。

長く色々書いてあるが、多分全部コピペだなと思う場合。
実績とかは分かるが、我々の依頼内容に対して、「私だったらこういう面で貢献できます」「どういう特徴を持っているのか」を伝えていただけると嬉しい。その場面によって専門性を求める時もあれば、スピードをとにかく求めてる時もある。丁寧さを求めたい仕事もあり、その時々なので、自分の得意分野を出すのが良いと思います。

③金額が安いと逆に怪しい。
→さすがにこれだと予算オーバーだからちょっと難しいなということもあるんですけど、安いと逆に引いちゃうんですよね。安くするんだったら理由を書いて欲しい。
「まだ初心者なんで、勉強がてらやらせてほしい、だからちょっと安く見積もりさせていただいてますけどそれでもよければ是非お願いします」のような。正直に書いてもらった方がこの仕事だったら、こっちもwin-winだしありがたいなということもあります。

私も小売業なので、商売でいろいろなお客さんとお付き合いがあります。ランサーの皆さんへのひとつの注意点としては、安さを求めるお客さんというのは徹底的に求めてきますので、トラブルも起きやすいです。

あまり強くは言えないですが、安い金額を求めて値段指定するお客さんの方がなぜか接客の時間がかかる。逆にちゃんとお金を出してくれる人ほどお任せしますと言ってくださる。提案をくださいというスタンスで来るわけです。そこの違いがあると思うので、自分がどこのターゲットを狙ってるのかというのをちゃんと考えていただくのがいいんじゃないかなと思いますね。

和田さん)確かに、私も値段の安い方が結局クリエイティブに時間がかかる経験があります。高い金額をいただいているほど、私に対する期待値も高いというのが分かるので、その期待を超えようという気持ちで頑張れます。

目的をすり合わせて本当にそのお客さんがやろうとしていることがベストな選択なのか他の選択肢もないのかということも含めて提案させていただいてます。

>>後編に続きます


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