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人情に圧されても謎の屋台飯を食べてはいけない〜ネパール女一人旅〜

あれはネパール南部のチトワンから首都カトマンズへ帰ってくる道のりのこと。

私はほぼ現地の人しか乗っていない高速バスで、文字通り押しつぶされそうになっていた。

もう少し具体的に言うと、私の前の座席がリクライニングし過ぎで、膝の上に置いた自分のリュックの重みも合わさって圧迫死しかけていました、、、。

乗車時、運転手さんが私が外国人観光客なのを哀れんで(人の出入りが少ない)一番後部の角の席に座らせてくれたところまでは良かったのですが、運悪くその1つ前の席の背もたれがぶっ壊れており、座っている人が少しでも背もたれに体重をかけると180度倒れていく状態だったのです。

長距離バスの車内

イス自体が故障していることに気づいたのすら発車から30分くらい経ってからで、初めは「日本とは違って遠慮もクソもないなこの国の人は」と思いながら圧迫感に耐え、イスの故障に気づいてからは「ハァ~~~全く気持ちよさそうに爆睡してるけどアンタの全体重が今この私に降り注いでますが???」と思いながら必死に体重&重力で私にのしかかってくる背もたれを押し返し、時折(申し訳ないですが)前の人を起こして姿勢を正すようにお願いしていました。

ちょっと運転ミスったら川に真っ逆さま

ただでさえ悪路で大揺れの長距離バスにこんなアンラッキーハプニングが重なり、正直ガン萎え状態でカトマンズへの道のりを耐えていたその時、救世主が現れたのです。

それは、とあるバス停でたまたま私の隣に座ってきた青年でした。

おろせばおそらく肩くらいまであるだろう髪を6本に編み込んでオールバックにしていた彼は、田舎のヤンチャ男みたいな感じで、正直隣に座られた瞬間の印象はあまり良くありませんでした。

乗車後彼はずっと私の2個隣(彼からすれば反対隣)の人とネパール語?で何やら話し込んでいたのですが、その人が下りたのをきっかけに私に話しかけてきました。

「Are you tourist from foreign country?」
至極どうでもいいポイントではありますが、ネパールの面白さが詰まった質問です。

というのも、ネパールには東南アジア・南アジア系のいわゆる「濃いめ」の顔をした人が多く住んでいますが、東北アジア系の「平たい」顔の一定数住んでいます。

チベット系寺院では特に"平たい族"多め

結果、私のような人間をローカルバスで目にしたとき、「まぁおそらく外国人だけど、わんちゃんチベット系のネパール人っていう可能性もあるな、、、一応英語で、Where are you fromじゃなくて外国人旅行客か確認しておくか、、、」という思考が働き、こんな声かけに至ったのだと推測されるのです。(あくまで私の推測の域を超えませんがwwww)

とまぁそんな分析はどうでも良くて、私が「日本から来た旅行客だよ~」と答えると青年は大歓喜。

「日本!!俺はアニメの大ファンなんだ!!!実はバスに乗ってきて最初に君を見たとき、禰󠄀豆子が現実に現れたのかと思ってビビってたんだよ!!!」

大分勢いのあるリアクションに若干引きはしましたが、髪型と身長と国籍だけに関して言えば禰󠄀豆子みがあることは自覚していますし(?)、なにより異国の地で日本に好意を持ってくれる人に出会えるのは嬉しい事なので、そのまま話し始めました。

彼は日本のアニメについて語りたくて仕方なかったようでした。
が、私は申し訳ないのですがアニメはほとんど見ないので、呪戦術廻戦がいかに面白いかを熱弁されても全然分からず、、、

ドラゴンボールとかブリーチなら小さい頃テレビで見てたから分かるかも!と言ってみたのですが、その作品自体ではなく『アニメがテレビで放送されている』という部分に食いつかれ、「日本ではアニメがテレビで見られるのか!信じられない!!俺たちはネットの違法アップ○ードがないと死んじまうよ!!」と返されてちょっと微妙な気持ちになり、、、

ちなみにホテルの部屋のテレビは滞在中、
一度も電源が入りませんでした

最終的にアニメのタイトル・キャラクター名が日本語版と英語版で全然違うという話で盛り上がり、日本語⇔英語の名前当てクイズで盛り上がりました。

そして大分打ち解けたところで、青年は私がやたら不自然な体勢で話していることに気づいてくれました。

私が「前の背もたれがぶっ壊れていて、潰されそうになりながら話していた」グチったところ、可哀そうにと私の前の座席をおさえ始めてくれたのです。
第一印象でいけ好かないやつだと思ってしまっていたことが申し訳ない、、、。

こうして救世主とすっかり仲良くなり、サービスエリアのような長距離バス休憩所が近づいてきました。

ちょうどその頃、私たちはネパールのご飯について話していました。

チトワンで食べたダルバード

ネパールに来てからモモ、ダルバード、チョウミンは食べたけどあとは何を食べるべきかな?と私が聞くと、彼は『チャットパット』なるものを勧めてくれました。曰く、『チャットパット』を食べてないなんてネパールに来てないのと同じだ!と。

ガイドブックですら聞いたことがない料理(?)をそんな風に勧められ、まんまと好奇心をかきたてられた私は、何それ!!食べてみたい!!!と大分良いリアクションを取ってしまいました。

で、休憩所に着くと「チャットパット売ってるか見に行こう!!」と声をかけてきた彼。

休憩所は売店と野外トイレがあるくらいで座ってゆっくりご飯を食べる場所があるようには見えなかったので、「え、『チャットパット』ってレストランで出てくる料理とかの名前じゃないの、、、?」と若干困惑しつつ、興味が勝ってついて行くことにしました。

そして「あったあった!!!」と言う彼が指さす先に合ったのは、、、

こんな感じのマジ屋台

マズい。これはマズいです。地元民である彼にとっては何てことない『軽食屋さん』でしょうが、私の理性が「ダメだ、、、あのお店には日本人のナメ腐った胃腸では勝てない、、、」と諭してきます。

そう、どう考えても衛生大国ジャパンからやってきた私には、あのお店から出てくるものをお腹を壊さずに消化しきる耐性がない。

いやでも、もし『チャットパット』なるものが完全に火を通すタイプの料理だったらイケるか、、、?う~んでも悪い油が食あたりの原因No.1とも言うからなぁ、、、揚げ物でも困るんだよなあ、、、どうする?食べるか?

なんて考えている間に、救世主くんが「いや~ここで君にチャットパットを食べさせられて本当に良かったよ!!!」と。

そう、優しい救世主くんは私とシェアする気満々で既にチャットパットを注文してくれてしまっていたのです、、、/(^o^)\

いや、うん。チャットパットを食べてみたい私の好奇心はめちゃくちゃ喜んでいる。彼に出会わなければこんな料理一生知らなかっただろうし、屋台のお姉ちゃんが手際よく何か謎のソースをぶっかけていく感じはすごく見ていて気持ちがいい。

が、何回、どう考えてもこのお店の料理を衛生的に耐えられる気がしない。頼む、、、せめて火が通った焼き物系の料理が出てきてくれ、、、と説に祈る私の前に現れたのは、、、


『チャットパット』

ウワ~~~~~~!!!!!!!当たりともハズレとも何とも言えない微妙なライン!!!!!

\セツメイシヨウ!!!!/
チャットパットとは、袋麺を叩き割ってベビースターラーメンのような状態にし、そこへポン菓子、青豆、ピーナッツ、みじん切りの玉ねぎ、青唐辛子、じゃがいも、パクチー、それに何かしらのタレとスパイスを混ぜたおやつである!!!

既製品だろう袋麺とポン菓子は衛生的にめちゃくちゃ信用できる!が、生玉ねぎと常温保管の謎ソースが心配すぎる!!!

何を隠そう私はメキシコでも(おそらくタコスが原因で)あたり、しっかり現地の病院にかかったことがあるのです、、、

生タマネギは危ないぞ、、、経験と理性が諭してきますが、買ってくれた彼に向かってお腹壊しそうだから食べませんなんて言えるわけもなく、この真ん中あたりに刺さった厚紙をスプーンのようにしてひとくち。

この紙を谷折りにして"スプーン"にします

普通にめっちゃ旨い!!!!

サクサクの麺/ポン菓子、ホクホクのじゃがいもと青豆、カリッとしたピーナッツとシャキシャキの玉ねぎが混ざり合って、食感がすごく楽しいです。

スパイシーな味付けも日本じゃ絶対食べれない感じで好き。

やべ〜普通にうめ〜〜〜もっと食べたい〜〜という感情が抑えきれず、せめてもの抵抗にとなるべく生玉ねぎは避けながら、結果しっかり食べてしまいました、、、

救世主くんもチャットパットを食べてる私をインスタのストーリーに載せて嬉しそうだし、私も美味しいもの食べれてハッピーだし、まぁ先のことは考えないようにしよう!!(^^)

休憩所からさらに2時間くらいでバスはカトマンズに辿り着き、私と救世主くんはそこで別れました。

翌日、全く元気に飛び起きた私は「勝った、、、?勝ったのか、、、?!?!」とルンルンで過ごした


のですが

2日目以降、、、

お世話になりました。ホテルのトイレ

幸い、病院にかからないといけないレベルではなかったので自力で回復させました(^ω^)

結論、どんなに人情に圧されても、直感でヤバいと思う屋台メシを食べてはいけません。

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