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クトゥルフ神話×刀剣乱舞の世界観創作(Larus提言)

概説

 このノートは「刀剣乱舞をクトゥルフ神話の世界観から解釈しよう」というコンセプトから、刀剣乱舞の世界観設定を再解釈し、世界観の設定を創作したものになります。この試みはLarus個人の発想のひとつとして、「ふーん」と話半分に見て頂ければと思います。
 個人の作ったメモ・雑記としての側面が多く、用語が多くて読みづらいかもしれません。適宜設定を見直し更新していく予定です。
 また、本設定は基本的に「ゲーム内で言及されているもの」を基にしています。煩雑化を防ぐためメディアミックスの設定は採用しておりません。その点はご留意いただければと存じます。

初回公開日:2023/10/22
最終更新日:2023/11/08
更新記録
 2023/10/24 設定の追記。表記揺れ修正
 2023/11/08 審神者、極、縁システムの記述を変更、安全装置(初の姿)の設定追加、参考欄の追加
 2023/11/13 刀剣男士の記述を修正
※設定が大きく変わる場合は、更新ではなく新規ノートを作成します。

※この創作設定から作成されたクトゥルフ神話TRPGの探索者作成ルールもあります。気になった方は以下の記事も見て頂ければ幸いです(第6版のみ)


刀剣男士

刀剣男士という概念

 刀剣男士とは「人」「神」「刀」の三要素の複合体であり、現在は時の政府の新しい人型量産兵器とされている。刀剣が生まれ物質として存在するとき、或いは物語として共通の概念を構成したとき、「逸話」や「想い」を積み重ね歴史を紡いでいくことによってそれは単一の概念を構成する。その後、信仰とも呼べる人の想いの集合は次第に現実世界から夢の世界、神の住む高次元の世界に昇華され、付喪神として形を作っていく。そして、概念として存在している刀の付喪神を依り代を媒介して霊力(マジック・ポイント)で編まれた精巧な人形に降霊したものを刀剣男士と呼んでいる。

刀剣男士を構成する要素

付喪神の降霊・刀剣男士の顕現

 特殊技術によって作られた依り代(本体)には、それぞれの付喪神を降ろすための呪術的な回路(呪文・道しるべ)が組み込まれている。なお回路は呪術・魔術に類するものであるため、詳しく視認できるようなものではない。
 刀剣に組み込まれた呪術的な回路に審神者の素質がある者が霊力を流し、回路を活性化させることで付喪神が座す高次元への門を開き降霊する。この回路にはいくつかのパターンがあり、これを霊基配列と呼ぶ。
 霊基配列には人間におけるDNAと似たような役割があり、霊基配列のパターンによって呼べる刀剣男士が決まる。依り代ができた時点で既に、その依り代から呼び出せる刀剣男士の種類は決まっている。
 降霊の際の具体的な手順を以下の図に示す。

付喪神の降霊のメカニズム

刀剣男士の実装(回路の調整)

 刀剣男士は、元となる付喪神が政府に協力するという意志を示した刀剣のみが実装を検討することができる。そして彼らの神格を元に、呼び出すための媒介となる霊基配列の原型を作成する。
 そして各本丸に実装される前に、純粋に神格を投影している霊基配列の原型に手を加え、三要素のバランスを調整・矯正する。この工程を経ることで霊基配列を回路に組み込むことができ、厳格な審査により、ある一定の基準を満たした刀剣男士のみが各国のサーバーへと実装される。
 これは専門知識の乏しい一般人の審神者就任が増えた昨今、能力の如何に関わらず本丸運営を円滑に行うためのものである。
 ただし、近年は戦況の悪化から、実装基準を緩和し、以前の基準では通過できなかった巴形薙刀や白山吉光等の刀剣男士の実装も増えている。

刀剣男士の身体

 刀剣男士の身体は、霊基配列を元に審神者の霊力で作られている。その体が霊力で編まれた人形であるため、飲食や排泄、呼吸等の生命維持活動を必要としないが、代謝もないため軽度の怪我も自己治癒ができない。
 また、刀剣男士が顕現し続けるには契約した審神者の軽微な霊力と信仰を必要とする。これを「縁システム」と呼ぶ。刀剣男士は審神者がいなければ存在することができず刀剣の依り代を残して消失する。
 このとき、再び同じ審神者によって顕現されれば消失以前の状態で再顕現することができる。また、顕現直後から発生する自己改修(後述)により、異なる審神者による再顕現では新しい審神者を元に霊基配列の変容が行われ、それまでの性格や価値観から変化する可能性が大きい。

刀剣男士の生活

 刀剣男士の身体は人と似たものを持ち、見た目や物理的構造は生物のそれであるが、概ねそれらの器官は本来の役割を持たない。例えば、刀剣男士は呼吸に似た活動をするが、肺は酸素吸収の役目を果たさず空気の出入りがあるだけである。
 しかし、精巧に作られた内部機関によって、刀剣男士も人を模した生活そのものは可能である。政府からは、審神者の精神衛生上等の理由で、本丸内では刀剣男士も人間的な生活を送ることを推奨している。

 審神者

「審神者」という名

 物を励起し神を降ろす彼らについて、降霊術師や霊媒師ではなく「審神者」という名称を採用しているのは「神と対話する者」「降霊を見極める者」として降りた存在と対等なやり取りをし神を見極める者という側面からきている。刀剣男士と審神者は対等な存在であるとともに、審神者には刀剣男士が、どのような物語と想いを元に存在しているのかを見極める役割を持つ。
 刀剣男士とは一体何か、物に込められた思いとは何か。彼らは何故この世界に生まれ、何故今ここに存在し、何を背負い、いま目の前に立っているのか。審神者は刀剣男士という存在を確かめ、存在の真価を見極める必要がある。

審神者の使命

 審神者の使命は「刀剣男士を束ね歴史を守ること」である。審神者は刀剣男士を使役し、ありとあらゆる脅威から歴史を守らなければならない。
 そのため刀剣男士は、刀剣と親和性の高いある概念が組み込まれており、歴史修正主義者のみならず、歴史の外側に住まう人智を超えた高次元の脅威に対しても有効になるよう作られている。
 刀剣男士が審神者の制御を外れれば、刀剣男士は尖った世界の本能に従って動き始める。故に審神者は刀剣男士と「縁」と呼ばれる契約を結び、刀剣男士の本能を人の理に縛り付けるのである。

物を励起する力

 審神者の「物を励起する力」の本質とは、物に込められた物語、想い、信仰、そういった「物の歴史」そのものを目に見える形で現実世界に顕現させ、その存在を証明する能力である。
 つまり、審神者の力は別次元の存在を今に降ろす降霊術ではなく、刀に降ろした付喪神に肉体を与え、目に見える形にする力のことを指す。
 何の補助もなく純粋に力を行使した場合、その物の経験した過去を見ることができたり、込められた想いを知ることができる程度の力である。

力の危険性

 物を励起する力を行使するときに注意すべきなのは、審神者の持つ力を使えば、信仰を媒介して邪神を顕現することができることである。
 依り代に霊力を注ぎ回路を活性化させ、道を作り、門を開き、霊基配列と合致する神だけを選別し呼び寄せる。その手順は降霊術そのものではなく、人智を超えた力である降霊術を縛るための制御装置である。実際、審神者ほど強い霊力を持つ者は手順を踏まなくても降霊ができる。
 そして、審神者がその事実を知り邪神を認知することで、本人に意図がなくとも偶然の手違いや邪神の誘導で邪神の顕現をしてしまう可能性がある。邪神の顕現を防ぐためには、邪神の存在を審神者には絶対に知られてはならないのである。

審神者の有資格者

 審神者は理論上、ある一定以上の霊力を持つものであれば基本的にどんな存在であってもなることができる。必ずしも人である必要はなく、最も重視される要素は「刀剣男士と縁を結ぶことの出来る存在か否か」という点である。刀剣男士にとって審神者、或いは主と呼ばれる存在は、非常に重要な役割を持つことを忘れてはならない。
 しかし、常時霊力を消費し続けることになるため、霊力を自己生成、或いは自然回復する存在でなければ実用的ではないことは留意しておく必要がある。外部から補填する方法はあるものの、非効率的であることは言うに及ばないだろう。

時空、次元、そして”歴史”

私たちの生きる世界(曲がった時間)

 審神者は歴史修正主義者の介入前に存在する歴史を守るため、刀剣男士という存在を使い戦闘を行う。この、審神者の守るべき歴史とは、膨大な量の「曲がった時間」により表される。高次元に張り巡らされた無数の曲がった時間は線に例えられることも多く、別名タイムラインとも呼ばれている。
 曲がった時間は、お互いが複雑に絡み合い、常に流動的に動き続けている。線同士は基本的に交わることはないが、その線同士の距離が限りなく近いことは考えられる。このような限りなく近い距離地点同士であれば移動も難しくない。この移動は時空転移と呼ばれ、時間遡行や平行世界への移動を可能とする。

期限付きで開放される時代(江戸城、大阪城など)

 政府の技術開発部門ではこの移動可能距離を延長やその正確性を高める試みが進んでいる。また、各曲線はある一定の規則に従って動き続けており、星辰の巡りによって特定の時期に距離が近くなる点というものも存在する。これらの時代は政府所属の天文台によって予測され、予測情報は瓦版を通じて審神者に伝えられる。

放棄された歴史、時代(匿名調査)

 歴史改変により手遅れになってしまった曲線は、政府によって問題地点を切り離される。切り離された地点はそれが「点」程度の小さな切り離しであれば歴史の修正力により自己修復する。「線」を切り離した場合の曲線がどういった状態になるのかは不明である(有識者の一説では、切り離すことで曲線の時間に鋭角が生まれ、『鋭角のもの』に感知されるとしている)。
 切り離された後の「点」は「放棄された時代」とも呼ばれ、切り離された時点の状態を保ったまま、時間・空間の外側であり、時間と空間の何処にもない場所である虚数域の座標で保管される。この保管された時代を解放することもあり、歴史修正主義者の技術力やその目的を調査するために使われている。特命調査には概ねこの「放棄された時代」が使われる。

各本丸の所在地と管轄

 審神者と刀剣男士の住まう本丸は虚数域の座標にあり、政府によって作成された人工的曲線分上に構成された「点という空間」が、担当する曲線に最も近い位置に存在している。
 審神者は、1本丸につき1本の曲線を担当し使命にあたる。高次元から観測される数多の時空を守るためには、曲がった時間の数だけ本丸が必要になる。

時間遡行技術

時空転移

 時空転移とは、曲がった時間と呼ばれる曲線上の点から別の点へ移動することである。到着地点が出発地点と同じ曲線上であれば時間遡行、別の曲線であれば平行世界への移動となる。
 序盤で時間遡行先が特定の場所に限られているのは、初心者の審神者でも制御できる最短距離地点に限った遡行のためである。

時間遡行

 時間遡行を行うにあたって、遡行させるものは質量を持たない物質でなければ難しい。そのため、物質を一時的にエネルギー体(以下霊体)に変換、時空間移動の後実体化させるという手法をとる。生身の人間では霊体化に耐えることは難しく、例え自身が拡散する感覚に耐え生き延びたとしても、その身体が正しく元に戻る保証はない。
 霊力で編んだ思念体を送ることは可能だが、思念体には核がなく不安定な存在のため、長時間その場に留まることができない。そのため、霊力で編まれた強靱な肉体を纏い、本質を高次元に座す付喪神である刀剣男士が採用されている。

通信手段

 リアルタイムでの時空を超えた通信は難しく、特に未来から過去へ向かっての連絡は、時の流れに逆らう関係となり非常に高度な技術となっている。そのため初期段階では、本丸からの連絡は陣形を示す6つの信号と、進退を表す2つの信号が限度であった。
 本丸からの直接指示が難しいため、基本、戦闘は特殊な事情がない限り刀剣男士に一任される。
 しかし現在では技術進歩により、非生物実体である回復薬の霊体化、実体化に成功しており、現在では戦闘中の回復などの指示が可能になった。

敵対勢力

歴史修正主義

 「歴史修正主義」とは、これまで不当に間違った記述をされてきた自国の歴史を正し、誇りを持てるよう書き換えるべきとする姿勢・主張のことである。この思想は必ずしもネガティブな意味を含むものではなく、伝え続く歴史が間違っている可能性を考慮し、妄信するのではなく常に見直し吟味していく必要があるという意見も含んでいる。しかし、ただ一つの正しい歴史があることを前提とした歴史修正主義の考え方は「誰にとっての正しさなのか」という本質的な問題を抱えており、不確かな歴史の多様性を否定する、現実的ではない極端な思考であるという見方が有力である。

歴史修正主義者

 現在、審神者の敵対勢力として名が挙げられる歴史修正主義者は、自らの考える「正しい歴史」を取り戻すため、歴史そのものを改変しようと過去へ介入する存在である。組織、集団、個人問わず、歴史を「正す」ため、過去を改変する意図を持って徒党を組み、時間遡行を行う者たちは、全て歴史修正主義者と呼ばれ、審神者の討伐対象となっている。
 前述のとおり、私たちの生きる曲がった時間の流れる世界において過去、未来は無数に存在する。そのため、唯一無二の「正しい」歴史を同定することは不可能である。
 しかし、歴史修正主義者は「己が理想とする世界線」を正しい歴史と考え、それ以外の歴史を間違った歴史として扱っている。そして、間違った歴史を正しい歴史に修正するために他の世界線へ攻撃を行い、過去改変を起こすことが問題視されている。

歴史遡行軍

 歴史修正主義者が使役する武装勢力を歴史遡行軍と呼ぶ。彼らの容貌は非常に非現実的で恐怖を掻き立てる見た目をしている。彼らは目的のために時間遡行を行い、彼らの考える「正しい歴史」に修正するため、工作、武力介入、情報操作などを行っている。彼らは一枚岩ではなく、それぞれの考える「正しい歴史」も異なることがある。歴史遡行軍同士の戦闘も珍しくなく、歴史にそぐわない戦闘によってその時空が歪み消失するという事件も多数起きている。刀剣男士は大規模戦闘による時空消滅を防ぐため、基本的には出陣には6口の制限がかかっている。

検非違使

 検非違使は、時の政府とも歴史修正主義者とも異なる第3勢力である。異世界の絶対的存在である王を統べる君主《皇(スメラギ)》の名の元に、世界の理から外れたモノ全てを例外無く排斥している。
 彼らには自由意志はなく、ただ尖った世界の本能に従って曲がった世界に生きる者を抹殺する。その鋼の身体は時空を超えても変質しないという特性を持っている。なお、刀剣男士の依り代に使われる玉鋼は、彼らのような尖った時間を生きる存在の身体を、冒涜的で猟奇的な方法で溶かし固めた物である。

時の政府

軍事演習・演練

 時の政府は審神者及び刀剣男士の育成補助のため、陰陽道、霊子工学、電子工学などを利用した様々な戦闘訓練を行っている。
 常設してある戦闘訓練は「演練」と呼ばれ、審神者同士が実戦に近い形で模擬戦を行うことができる。演練を行う演練場は本丸間の交流の場にもなっており、様々な情報交換が行われている。
 また、演練の他にも催し物として様々な形の戦闘訓練が行われている。閉鎖的で常に緊張感の中にある審神者という職務の中で、こういった催し物を定期的に提供することで、時間感覚喪失の防止と共に精神的な負担の解消も目的としている。

政府の秘密主義

 審神者に与えられる情報は政府が実際に掴んでいる情報のうちの、ごく一部である。政府はこのことについて、不用意で不確かな情報であり、真偽不明の情報を無闇に周知することで部隊の混乱を避けるためと発表している。
 その背景には、前述した「邪神の降霊」のような審神者に知られてはならない情報が幾つか存在し、情報統制を必要とすることが挙げられる。しかし、このような政府の秘密主義が審神者の政府不信に繋がっている側面もあり、無視できない問題となっている。

本丸・審神者業務

出陣・戦闘準備

 審神者の業務として最も重要なのが出陣・戦闘準備である。審神者は出陣前に、出陣先、出陣する刀剣男士・部隊、各刀剣男士の装備を選択し通達する。彼らが時間遡行を行い戦場に着いた後は現場から届く通信を元に部隊の進退を指揮する。
 戦場での采配は審神者によって異なり、戦場での判断は基本刀剣男士に任せ最低限の指示のみを行う者や、陣形などを詳細に指示する者もいる。

遠征

 遠征は哨戒任務や資材調達、警備巡回など、戦闘を伴わない、または戦闘を目的としない比較的長期に渡る任務を指す。遠征では、審神者の介入なくほぼ全ての判断を現場の刀剣男士に任せられている。
 出陣と違い、遠征は刀剣男士を常にモニタリングを行っているわけではないため、本丸に存在する精密な時間遡行装置を使うことができない。そのため、任務を終え本丸に帰還する際は携帯可能な簡略化された時間遡行装置を用いる。
 しかし、簡略化された時間遡行装置は本丸のものと比べ精度が劣るため、帰る際に時間の誤差が生まれる。なお、政府の販売する式神「鳩」は、任務を終えた刀剣男士を見つけ出し本丸に報告することができる。この場合は、本丸の時間遡行装置を遠征先の刀剣男士に使用でき、時間のズレなく任務を完了することが可能である。

鍛刀

 本丸所属の刀剣男士となる依り代は、鍛冶精霊によって鍛刀される。刀剣は所属国サーバーのデータベースを参照し、精霊による未知の能力によって完全なる複製が生み出される。
 繊細な調整が必要なため望む刀剣を鍛刀することは難しく、特に神を導くための“道”ができたばかりの新規実装刀剣や、様々な事情により複製の難しい個体(俗称:高レア)は鍛刀される確率が低いとされる。
 鍛刀には依り代を作るための資材と複製のための霊力(MP)を消費する。また、刀種等により20分~10時間の時間を必要とする。
 鍛刀の際、基本的には審神者の霊力ではなく依頼札と呼ばれる霊力を籠めた簡易術式を使う。鍛刀は現在鍛冶精霊にのみ可能であるため、鍛冶精霊への供物という意味でも、依頼札を使う必要がある。

手伝い札

 本丸業務内で、手伝い札と呼ばれる時間圧縮の簡易術式を使うことがある。これを使うことにより、所要時間を短縮し、即座に作業を完了することができる。手伝い札を使うには「こんのすけ」の存在が必要である。
 手伝い札の時間短縮効果は鍛刀や手入れ以外にも有効であるが、本来の使い方ではない。
 なお、この手伝い札と依頼札は政府機関の技術で作られており、政府の支給、遠征の報酬等でのみ入手可能である。

刀剣男士の損傷と回復

刀剣男士の損傷

 刀剣男士は生命維持活動を必要としない。その反面、人間に施すような応急処置や医療、または自然治癒では回復することもない。そのため、刀剣男士の怪我や破損の回復は、審神者による手入れでのみ回復する。

致死を瀕死に転嫁する呪文

 また、刀剣男士の依り代にはある呪文が掛けられており、たとえ致死量の攻撃を受けても縁により繋がった審神者の信仰と霊力を吸収し、《被害を逸らす》ことができる。最も近い場所にある審神者の霊力は刀剣男士の肉体であるため、呪文が発動すると刀剣男士の肉体は再起不能な程損壊し、必然的に戦線離脱を余儀なくされる。

呪文の欠点

 この呪文には欠点が二つある。 一つは刀剣男士の体力がある程度残った状態でなければ発動しないことである。呪文の発動の衝撃に、刀剣男士自身も少々被害を受ける。体力がなければ呪文発動の衝撃そのものに刀剣破壊されることになるため、体力が足りない場合は不発に終わるように設定されている。
 もう一つは呪文自体には回復効果がないことである。決定的な損壊を防ぐことができても、回復する前に追撃された場合は呪文が発動できずにそのまま攻撃を受けることになる。

御守り

 お守りは一度だけ致死量の損害を防ぐ呪文を外部で補填する呪具の一つである。基本的な作用機序は前述の加護の呪文と同一だが、御守りそのものが損失する代わりに、呪文の発動の被害や代償を肩代わりする。

食事(供物)による回復

 刀剣男士は嗜好品として飲食が可能であり、飲食をした場合に限り排泄も行われる。なお、この飲食物は神に捧げる供物としての扱いになる。
 刀剣男士が飲食物を口にした場合、人間の様な消化器官の働きがない代わりに、その物質の持つ微少な霊力を吸収することが可能である。(物質毎に含有する霊力の量は変わるが、一般的に酒類が最も霊力を含む飲み物とされている)
 刀剣男士は飲食によって、データ上感知しないような微少な怪我(擦り剥きや紙片による切り傷などの日常行動で受ける怪我)であれば治療することができる。

刀剣男士の回復手段「手入れ」

 この微細な治癒能力は、戦場で負うような大きな怪我を治すことはできない。刀剣男士が負傷した場合、審神者による手入れのみが回復の手段となる。
 手入れには、依り代の修復用各種資源と、審神者の霊力が必要である。また、手入れ作業には時間を必要とする。この時間は手伝い札を使うことで即座に完了することができる。

各本丸の性格個体差

自己改修による性格個体差

 刀剣男士は審神者や他刀剣男士との円滑な関係を築くため、顕現直後から審神者の霊力やそれに付随する審神者の情報、また本丸生活での経験を元に少しずつ霊基配列を自己改修する。
 これは全刀剣に備わった機能であり、これによって「人間的な成長」を遂げることができる。この自己改修による「人間的な成長」が各本丸の個体差に現れると考えられている。

初の姿での成長の限界

 極修行を行う前は、基本的に自己改修機能やその能力の成長は緩やかなものにとどまる。これは付喪神としての神性と依り代のもつ本能が暴走しないよう、依り代である刀身に組み込まれた“安全装置”による影響である。

依り代の安全装置(初の姿)

 安全装置には二つの機能が存在する。ひとつは人に寄り添い味方する付喪神と、時を守る本能を持つある概念というふたつの概念を歪め接続する融和の機能。もうひとつは、人の手に負えない神の力と本能の力を管理しやすいように拘束する抑制の機能である。
 抑制の機能は、未成熟な刀剣男士が本能のままに暴走することを防ぐため、神としての権能は人間性という概念によって封印するものである。それ故に、本来は刀剣男士の能力として出力されるはずだった力は身体に閉じ込められ、体内の純粋な霊力は本来の付喪神よりも増加する。
 この抑制の機能により、結果的に刀剣男士は神としての権能は殆ど使うことが出来ず、依り代との融和が機能する特が着く前の顕現初期には、刀剣男士の能力は人と同等の能力まで落とされる。

極とは

 刀剣男士として強くなり、ある程度の自己改修を経て審神者との縁システムが円滑に行き届いている刀剣は、と呼ばれる姿になるための修行を行うことを許可される。
 極として新しく霊基配列が構成された刀剣男士は、安全装置がなくとも時を守る本能との融和、本能の制御ができるようになる。そのため、極めた刀剣男士からは安全装置を摘出し、神の権能と時を守る本能を自在に使えるようにする処置が施される。
 そのため極となった刀剣男士は、戦場、主、及び所属本丸への適応や飛躍的な能力の上昇、神の権能の発現が認められるようになる。また、極へと変化した刀剣男士は元の付喪神とは別個体の神格として存在しているため、刀解しても本霊に還ることがないとされている。

極修行とは

 極修行とは、初の姿では安全装置により制限されている時を守る本能を、刀剣男士自身の力で制御、コントロールするための修行である。
 この極修行は大きくわけて「安全装置の摘出」「異種神格同士の融合」の二つのプロセスによって進行する。極修行を終えた刀剣男士は「刀剣男士極」又は「極の姿」と呼ばれ、著しい能力の向上が見られるようになる。

極修行のプロセス

 極修行に出た刀剣男士は、まず極修行を管理する機関により依り代に組み込まれた安全装置を摘出される。その際、刀剣男士は一時的に不安定な状況に陥る。この時、「縁システム」が作動することで刀剣男士の擬似人格の崩壊を防ぐ。
 不安定状態になった刀剣男士は、一時的に疑似人格を核とした霊体となる。その後、自身の付喪神としての神格の在り方を、時を守る本能を持つ神格の在り方と融合させ、「刀剣男士」という新たな神格として編み直すことになる。
 この異種神格同士の融合のプロセスでは、刀剣男士の主観的体験において過去を追体験することが報告されており、極修行の経過管理のため記録を書くよう推奨されている。なお、この情報は手紙として審神者にも共有される。

連結

連結とは

 他の刀剣男士を材料にすることで、刀剣男士の霊基配列を書き換えることを連結と呼ぶ。材料となる刀剣の霊基配列を分解し、そこに含まれている神性を対象の刀剣男士の霊基配列に組み込むことで、能力を底上げすることができる。

連結の危険性

 ただし、別種の神性を部分的に組み込むことは、対象の霊基配列を歪める危険性を孕んでいる。そのため上限を超えて連結をした場合、次第に霊基配列自体が歪み初め、異形の力に相応しい歪んだ在り方になると推測されている。これらの理由から、個を保てる範囲内での上限が設定されている。

連結の上限値

 連結の上限値は刀剣男士毎に異なる。それは各改変にどれだけの耐性があるのかは、霊基配列のパターンによって異なるためである。
 例えば、短刀であれば高速運動を可能にしても存在の変質はしにくいが、大太刀は限界を超えると超常的な速度の改変によって身体の耐性が著しく低下し、甚大な損傷や崩壊が起きる。

習合

習合とは

 激化する戦争の中、多角的な視点から戦局を見極める必要性が出て来た。そのため刀剣男士をただの道具ではなく、審神者とは視点の違う意見を出せる戦場の専門家としての役割を持たせようと試みることとなった。同種の刀剣男士から付喪神の神格部分を抽出し合成することで、刀剣男士の自我を強化し個人としての思考を確立させた。これを習合と呼ぶ。

習合

 習合は連結と違い、霊基配列を支える神性そのものを強化している。これにより、刀剣男士は審神者の影響下にありながらも、本霊の思考や判断傾向を保ちやすくなった。以前からも自我を持ち、独自の思考を持つことは可能であったが、その可変性を抑えてより「刀剣男士」としての普遍性、永遠性を強化することが可能である。
 習合することによって、他本丸の同位体と変わらない普遍的な発言、思考、見方をする頻度が増え、審神者とは異なる視点を保ったままの成長ができる。

「縁(えにし)システム」

縁システムとは

 刀剣男士と審神者の結んだ「縁」を元に作られる縁システムは、物理法則を貫通する、物理的構造を持たない高次元の機構である。
 概念によって構成されたこの縁システムは、どれだけの距離が離れようとも、どれだけの時を超そうとも、彼らが「審神者とそれに付き従う刀剣男士」と言う関係性を変えない限り、薄まることや切れることがない非常に強力な繋がりである。
 その代わり、刀剣男士や審神者がその関係性の認識を喪失した場合や、刀剣男士が刀剣男士以外のもので自身を定義した場合に不具合が起こる可能性が警告されている。

世界観を利用したシナリオ群

参考

刀剣乱舞-ONLINE-
刀剣乱舞図録(2023/11/08以降)
クトゥルフ神話TRPG ルールブック(第6版)
クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム
銀の鍵の門を越えて 著:E・ホフマン・プライス/ハワード・フィリップス・ラヴクラフト