魂の回帰分析われにあり哀しみこそは独立変数

魂の回帰分析われにあり哀しみこそは独立変数

 回帰分析とは統計方法のひとつである。回帰分析では独立変数と従属変数の間の関係を表す式を統計的手法によって推計する。従属変数(目的変数)とは、説明したい変数(注目している変数)を指す。独立変数(説明変数)とは、これを説明するために用いられる変数のことである。
 たとえば、経済全体の消費(Y)を国民所得(X)で説明する消費関数が Y=aX+b というモデルで表されるとする。この例では、消費 Y が従属変数、国民所得 X が独立変数に対応する。そしてaとbという係数(パラメータ)を推定する。
 
 つまり、私は人生の要素のひとつである「哀しみ」という感情が人生を多く支配すると考えて、この歌を作った。言うまでもなく、人の価値観は千差万別であるから、私の意見に同調しない人が多数いることは承知している。趣味は資産総額の確認、愛読書は預金通帳というような人生観を、私は持ち合わせていない。資産家ではないからこそ、そう思うのか。それとも、そう思うから資産家にはなれなかったのか。それは私にはどちらでも良いことだ。
 ともかく、「哀しみ」が私の人生を決めてきたと言うことだけは明確に言える。

 さて、下記のような道歌がある。
  三度炊く飯さえ強し(こわし)柔らかし思うままにはならぬ世の中
 
 真に世の中は自分の思うままにはならぬものである。私が言うところの「哀しみ」とは、これにほぼ等しい。たとえば。ある有名な大学に入学したいと思ってずっと長年勉強に励んでみたが受験に失敗した。あるいは、サッカーで地方では知らない人はいないくらいに有名だったが、都会に出てみると自分よりも遙かに上手な選手がいるとことを知って愕然とする。
 だから、如何に不平・不満があってもそれを受け容れざるをえないことや、人にはそれぞれの寿命や定めがあり、夢・希望・努力・精勤といったものだけではどうしても埋められない何かがあるということだ。それが「哀しみ」ということであり、人生の回帰分析をするときには独立変数になる。

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