lasciatesperanza

50代前はB.MW.W.を愛した。 B Business M Money W Wome…

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50代前はB.MW.W.を愛した。 B Business M Money W Women W Wine 今はW.W.を愛している。 W Wine W Wife

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百人一首についての思い その10

 第九番歌 「花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに」   小野小町  桜の花の形は変わってきました。春の長雨の降る間に。私も年を重ねてきました。物思いをしている間に。  I have loved in vain  and now my beauty fades  like these cherry blossoms  paling in the long rains of spring  that I gaze upon alone.  小名木氏

    • 百人一首についての思い その9

       第八番歌 「我が庵は都の辰巳しすかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり」 喜撰法師  私の住む庵は、都の東南の方角にあって、そこで私は心静かに暮らしています。それなのに、人々は私のことを、世の中を憂鬱に思って宇治山に離れ住んでいると噂をしています。  I live alone in a simple hut  southeast of the capital,  but people speak of me as one  who fled the sorrows of

      • 百人一首についての思い その8

        第七番歌 「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも」 安部仲麿  夜空を仰ぎ見ると、そこに丸い月が上っている。あの月は昔、春日大社あたりで三笠の山の上に出ていた月と同じ月なのだなあ。  I gaze up at the sky and wonder  is that the same moon  that shone over Mount Mikasa  at Kasuga  all those years ago?  この歌の意味は今更くどくどと言うまで

        • 百人一首についての思い その7

           第六番歌 「鵲の渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」 中納言家持  カササギが渡した橋にも、あんなに白く霜が降りているところを見ると、すっかり夜も更けたのだなあ。  How the night deepens.  A ribbon of frost  is stretched across  the bridge of magpie wings  the lovers will cross. 「鵲の渡せる橋」とは、七夕の日、牽牛と織姫を逢わせるために、鵲が

        百人一首についての思い その10

          百人一首についての思い その6

           奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」 猿丸太夫  奥山で紅葉を踏み分け、鳴いている鹿の声を聞くと、秋は一層悲しく感じられる。  How forlorn the autumn,  Rustling through the leaves,  going deep  into the mountains,  I hear the lonely deer  belling for his doe.  全面紅葉に彩られた奥深い山で鹿が牝鹿に求愛している。その鹿の

          百人一首についての思い その6

          百人一首についての思い その5

           第四番歌 「田子の浦にうち出てみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」 山部赤人  田子の浦に出てみたら、真っ白な富士山の高嶺に雪が降り続いているよ。  Coming out on the Bay of Tago,  there before me,  Mount Fuji  snow still falling on her peak,  a splendid cloak of white.  本当に雪が降っているならば、富士山は見えないはずだ。しかし、「雪は降りつ

          百人一首についての思い その5

          百人一首についての思い その4

           第三番歌 「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜を一人かも寝む」   柿本人麻呂  足を引きずって歩くほどの山奥に棲む山鳥の尾のように、長い夜を、ひとり寝ることになるのだろうか。  The  long  tail  of  the  copper  pheasant  trails,  drags  on  and  on  like  this  night  alone  in  the  lonely  mountains  longing  for  my

          百人一首についての思い その4

          百人一首についての思い その3

           第二番歌  「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山」 持統天皇 (第四十一代天皇)  春が過ぎて夏が来た。純白の衣を干そう。天の香久山に。   Spring has passed,  and the white robes of summer  are being aired  on fragrant mount Kagu―  beloved of gods.  天智天皇が粗末な苫屋で自分の手を露に濡れさせながら、何か作業をされたのと同様に、持統天皇もご自

          百人一首についての思い その3

          百人一首についての思い その2

           第一番歌 「秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ」 天智天皇(第三十八代天皇)  秋の田んぼの脇にある仮小屋の、屋根を葺いた苫の目が粗いので、私の衣の袖は濡れてしまった。    In this makeshift hut  in the autumn field  gaps in the thatch let dewdrop in,  but it is not dew alone  that moistens my sleeves…  さて、この歌を理

          百人一首についての思い その2

          百人一首についての思い その1

           私は、小さい頃から百人一首にはなじんできた。しかし、競技かるたとしてのそれではない。なんとなくカードを読んでいただけのことだ。少し大きくなって、百人一首の歌の中には、別段優れているとも思えない、理屈っぽいものや、良く意味が理解できない歌があることに気がついた。そして、長い間、優れた歌人であった藤原定家が、なぜこの百首を選んだのだろうかと疑問を持っていた。  もっと別の歌を選んでも良かっただろうにとか、それぞれの歌のどこを良しとして選んだのだろうとか思っていた。何らかの選

          百人一首についての思い その1

          呟き

           2月に入ってから、妻の入院だとか、介護申請手続きだとか、在宅介護のための準備などに手を取られたため、長い間投稿を中断していた。漸く事態が収まりつつあるので、これから不定期的に出会っても投稿を開始しようと思っている。  それにしても、老老介護はなかなか大変だ。

          三橋鷹女3

          夏痩せて嫌いなものは嫌いなり  だれか、夏やせした鷹女を見て、もっと栄養のあるものを食べなさいよとでも忠告したのだろう。鷹女は、ふんぞり返って「そんなこと言ったって、嫌いなものは嫌いなのよ」と宣ったことだろう。そんな光景が目に浮かぶ。でもこの子どもみたいな鷹女の、素直な表現が私は好きだ。 初嵐して人の機嫌は取れませぬ 立秋後、最初に吹くかなり強い風のことを初嵐という。この風が吹くと、急に秋らしくなり、台風の先駆けとなる。その初嵐の吹くころは、人の機嫌を取ることは容易では

          三橋鷹女2

          三橋鷹女 私は三橋鷹女の何事も明快に言い切る表現が好きだ。だから、いくつかまとめて取り上げたい。以前取り上げて重なる者もあるかも知れないが、細かいことは気にしない質なので、ご寛容のほどを。ただ、実際に生身の女性で私の身近にこんな人がいたら、絶対に関わらない。毎日何を言われるかびくびくしながら生きねばならないのだから。 まあ、芸術は芸術であり、生身の女性は生身の女性である。鷹女のように気が強く、鋭い女にびしびしとこちらの弱点を明快に指摘されたら、うんざりしてしまう。三日とは

          みんな夢雪割草が咲いたのね

          三橋鷹女という俳人がいた。昭和15年発刊の句集『向日葵』にはこんな素敵な句がある。 「みんな夢雪割草が咲いたのね」 また、昭和27年発刊の『白骨』にはもっと素敵な句がある。 「鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし」 鞦韆はブランコのことである。ブランコは漕げ、愛は奪えというのだから、なんとも恐ろしい。恐ろしくてなおかつ勇ましいが、歯切れの良さがとても素敵である。  また、この句集には「白露や死んでいく日も帯締めて」といういかにも女性らしい句もある。  鷹女が『向日葵』を出したのは50

          みんな夢雪割草が咲いたのね

          わが内の螺旋形した遺失物無くせしものは輝いて見え

          わが内の螺旋形した遺失物無くせしものは輝いて見え    人は生きて行くに従い、多くのものを得るし、多くのものを失う。他人よりもより良い人生を送るという目的のために、より良い教育を受け、より良い大学を目指す。そのためには、青春の楽しみを放擲しなければならない場合もある。楽しい青春を送ることだけに注意を払い、就職も思うに任せなかったと言う人もいる。  あれを得れば、これを失う。あれもこれもえられるということはない。それが世の中の原則なのである。それに気が付く人もいれば、気が付かな

          わが内の螺旋形した遺失物無くせしものは輝いて見え

          救済も安堵もついに訪れず与えよさらば与えられん(Date et dabitur vobis)

          救済も安堵もついに訪れず与えよさらば与えられん(Date et dabitur vobis)  注 Date et dabitur vobisとはラテン語で、ダテ・エト・ダビトゥル・ウォービースと読む。意味は与えよさらば与えられん。    この言葉はルカによる福音書第六章にある有名な言葉だ。相手に無条件で相手が欲する物を与えるというのは、実に良い人生の修行である。なぜなら、執着心を捨てなければそのような行為はできないからだ。また、与えるときには対価を求めてはならない。対価を求

          救済も安堵もついに訪れず与えよさらば与えられん(Date et dabitur vobis)