現代詩 渇望

俺の渇きをいやすもの。発芽し生長する石。
石女の生んだ老人。発情してやまぬ液体。
一夏生きる蜉蝣。映像を止めない鏡。
空を飛ぶ波の大群。
笑う魚。怒る海藻。輝かない星。
無い光の創造する物体の影。自に見える神。滅びることのない形・・・・・・・
ああそれにしても渇くのは存在なのだろうか。
それとも無いことによってのみその存在の確実さを呈示する
非在の境であるもの・・・
とすれば物の始まりとは一体何を意味するものであったのか。
そうして終りとは?
今俺が渇望してやまぬもの。
それは希望ではない。人生の意義でもない。
未踏の領域に乗り入れることでもない。
それは・・・渇望をやめた所で渇きが始まる場所。言葉の集まる磁場・・・
なのかどうか俺は知らぬ。
知らぬからこそ渇望するのではないか。
頷け、一切の語法よ。刈られゆく庭の木達よ。淋しい宮城よ・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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