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顧客分類の切り口を決める【事業計画書の作り方⑤-2】

おはようございます。山西です。当noteでは、経営力向上につながる記事を毎週土曜日に投稿しています。

前回の記事では、顧客分析の様々な手法についてお伝えしました。

どの分析手法を使うか選択した後は、顧客を分類する切り口を選択する必要があります。

今回の記事では、「顧客分類の切り口の決め方」についてお伝えしますので、ぜひご覧になってください。

Ⅰ.顧客分析の目的

そもそも、なぜ顧客を分類する必要があるのでしょうか。

それは、メインターゲットを決めるためです。無限のリソース(人・物・金など)を持たない以上、リソースを投下する対象(ターゲット)は絞る必要があります。

では、どこに(誰に)リソースを投下すれば良いのでしょうか?

そのリソースの投下先を考えるために、顧客を分類する必要がある訳です。

Ⅱ.手順

顧客を分類する上では、分類する基準=切り口(変数)が必要となります。

よく聞く切り口は「年齢」や「性別」です。これでも悪くないですし、分かりやすいアプローチではありますが、より深いインサイトを持った分類にはなりづらいです。

インサイト・・・洞察。マーケティングにおいては、消費者自身が気づいていない潜在的な購買心理を指す。

なぜなら、年齢や性別で分類しても、その人の深層心理に立ち入れないからです。

より深いインサイトが無ければ、消費者がより深く欲するプロダクトを提供することができません。より深いインサイトがあれば、顧客のジョブを解決できるプロダクトを提供できるようになります。

前回の記事で示した通り、セグメンテーションの切り口(変数)は主に4種類あります。

セグメンテーションの4変数
・デモグラフィック変数
・ジオグラフィック変数
・サイコグラフィック変数
・ビヘイビア変数

この切り口を見据えて顧客調査を行う必要があります。では、この中でどの切り口を選ぶべきか?

特定の答えがある訳ではないですが、最終的には顧客の購買行動につながる深層心理(サイコグラフィック変数)を見つける必要があります。

しかし、サイコグラフィック変数を見つけるのは容易ではありません。なぜなら、消費者自身にインタビューで「これを買った理由は何ですか?」と聞いても、消費者自身もなぜ買ったか理解していないケースが多いからです。

そのため、インタビューは深いインサイトを見つけるための、主要な手段とはなりづらいのです。

であれば、どうすればいいのか?それは、消費者の行動を見ることです。
下の式をご覧ください。

ペイン×価値観=ジョブ→行動(ソリューション)

人は、必ずジョブを解決するために行動します。
・お腹がすいて何か食べたい→食材を買う
・生活費が必要→働く
等々・・・

このジョブこそが、購買につながる深層心理です。しかし、基本的にはジョブを明確に意識して行動することは少なく、そのためインタビューでジョブを見つけるのが難しいのです。

そして、ジョブは、人の「ペイン」と「価値観」から生まれます。
「ペイン」とは人に悪影響を与えている事柄、「価値観」とはペインの解決の方向性を示す制約事項です。

そして、例えば、「太った」というペインがある場合でも、その人の価値観によってジョブは異なります。価値観が解決の方向性を制約しているためです。

★「太った」がペインの場合のジョブ
・「太った」×「運動が好き」=「筋トレする」「ランニングする」等
・「太った」×「運動が嫌い」=「食事管理する」「ウォーキングする」等

上記のように「太った」というペインだけ見ても解決の方向性が分かりません。「運動の好き・嫌い」という価値観により解決の方向性が変わります。

つまり、顧客の深いインサイトとなるジョブを見つけるためには、その人の「ペイン」と「価値観」の組み合わせを見つける必要がある訳です。

そのため、顧客分析で見つけるべきことは、消費者の「ペイン」と「価値観」です。この2つが分かれば、およそその人のジョブが浮かび上がってきます。

消費者の行動から、ペインや価値観の仮説を立てた上で、インタビューやさらなる行動観察によって検証していく、それがオススメの顧客分析手順です。

Ⅲ.顧客分類の切り口を決めた後にすべきこと

顧客を分類する切り口を設定した後は、それを見つけるために顧客調査を行います。「顧客分析は、顧客データが無いと出来ないのでは?」と考える人も多いですが、実際にそういったデータを蓄積している中小企業はそれほど多くありません。

しかし、顧客データ無しで顧客調査を行う方法があります。次回の記事では、その分析方法をご紹介いたします。

Ⅳ.まとめ

・消費者の「ペイン」と「価値観」を基にセグメントするのがオススメ
・顧客分析の手順は、消費者の行動から「ペイン」と「価値観」を見つけ、そこからジョブを発見すること

次回予告

次回は、2月24日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧下さい。

当noteでは、毎週土曜日に、経営者や経営支援者に向けた経営力強化につながる投稿を行っています。仕事のご依頼、お問い合わせは画面下の「クリエイターへのお問い合わせ」よりお願いします。

投稿者(山西良明)プロフィール

「強い企業を作る」ことを理念に、中小企業の"経営力を鍛える"取組みを行っています。

【経歴】
・現役信用金庫マン
 2014年より信用金庫で勤務。営業、業務推進、融資審査、事業支援を経験。
・中小企業診断士事務所代表
 信用金庫で働きながら、2021年に中小企業診断士として個人事務所を開業。認定経営革新等支援機関としても登録済み。

【強み】
「金融支援」と「本業支援」という両輪の経験を現在進行形で持っていることから、以下の点に強みを持っています。
強み①:本業と資金繰りをリンクさせて考える力
事業先の本業(利益獲得のための諸活動)と資金繰りをリンクさせて考える経験を積んできました。本業を良くして資金繰りを改善する、バランスシートを整えて資金繰りを改善する等、本業と資金繰りを絡めて業況改善の方法を考える力に強みがあります。
強み②:結果までしつこくフォローする継続支援力
金融機関の支援は「継続的な返済」を見据えた支援となるため、入口だけの施策提案を行って終わりの支援ではなく、必要利益・必要キャッシュフローが確保できているかどうかまでしつこくフォローしていくことが習慣になっています。あくまで結果(利益・キャッシュ)を出すための経営力の修得を目的とした支援を得意としています。
強み③:業界横断的な視点
金融機関として、また診断士事務所として、様々な企業の本業や財務情報を横断的に見ているため、業界内外の他社比較や相場感に長けていると思います。業界内の知識は経営者の方が詳しいですが、広い視点でマネタイズを考える点に強みをもって支援を行っています。

【現在受け付けている業務内容】
①経営パートナー契約
 中小企業様とのパートナー契約により、経営力強化を目的として、毎月訪問(又はリモート相談)で支援をしています。
事業計画書協同策定・実行支援
 経営力強化を目的として、事業者様とともに事業内容を見直し、共同で事業計画書を策定します。ただ計画を立てるだけでなく、活用していくためのフォローをしています。
補助金採択支援
 補助金申請を代行するような支援ではなく、あくまで自ら事業計画書(補助金申請に必須の書類)を策定できるようになる力を身に付けるための支援を行っています。具体的には、事業計画書策定に必要な問いかけを重ねて一緒に考えていくことで、補助金申請に必要な計画書を完成させます。持続化補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金など。補助金交付決定金額の10%を基本とした「成功報酬制」で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
④創業相談対応
 これから創業する、あるいは創業間もない方の経営を良くしていくための相談対応を致します。売上増加、収益性改善、資金繰り、資金調達等、全般的にご対応させて頂きます。初回無料。2回目以降5,000円/回(50分程度)

【主な保有資格】
・中小企業診断士
 コンサルタントとしての唯一の国家資格。2017年取得
・販売士(リテールマーケティング)1級
 BtoCのマーケティング資格。2018年取得
・応用情報技術者
 IT系国家資格。2021年取得
・認定事業再生士
 事業再生の国際資格。2022年取得

【尊敬する人】
・三枝 匡(事業再生専門家)
・森岡 毅(マーケター)

【趣味】
・マラソン
 地元大会で2時間30分切りでの優勝を目指し、年365日走っています。
・読書
 海外SF、文芸誌、ビジネス書を読みます。愛読書は『三体』『V字回復の経営』


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