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SH-60Kに除籍機が出てきたという話

 お久しぶりです。黒田です。
 あまりに驚いたことがあったので書きたいと思います。

 SH-60Kが初めて除籍機が出てきたんですよ。
 私がミリタリーに興味を持ちだしたのは10年以上前で、その時はまだまだSH-60Kといえば除籍が進むSH-60Jの後継機であり、新しい機体だったことを考えると、時が経つのは本当に早いです。

 読者の中には、JとかKとか以前に、SH-60って何ぞ?という方もいると思うので簡単に説明します。

 まずSH-60J はシコルスキー社のSH-60B ヘリコプターの機体を三菱重工業がライセンス生産して、防衛省の技術研究本部(現在は防衛装備庁に発展改組)が開発したシステムを搭載した海上自衛隊が運用するヘリコプターです。
 海上自衛隊の中で1979年から配備し始めたHSS-2Bヘリコプターが、様々な理由により自衛隊にとって満足いくものではなかったため、1991年に正式に部隊使用承認され、導入されました
 SH-60Jは、海上自衛隊が運用する護衛艦に搭載し、敵潜水艦を捜索するためや、輸送・連絡するために使われました。

 一方、SH-60K は日本で開発された SH-60J の性能向上型で、2005 年に部隊使用承認がされ、導入されました。役割や機能の点では SH-60J に似ていますが、キャビン(乗務区画)と機体右舷の扉を大きくすることで、より輸送や連絡などの任務を行いやすく汎用性が高くなりました
 ここでは話すと長くなるので割愛しますが、海上自衛隊の艦艇搭載ヘリコプターとして非常に重要な対潜水艦用の各種センサーやシステムも強化されました。

 現在、更にSH-60Kの改良型であるSH-60L が試験中で、2023年度には部隊使用承認されるという予定です。

 今回除籍になるSH-60K は、平成17年(2005年)に製造されたものということで、初年度に生産された機体ですね。既にほとんどのSH-60J は除籍を受けていて、わずかに残っているSH-60J も数年以内に機齢寿命で除籍されるでしょう。今回SH-60Kが初めて除籍されたことで、今後はSH-60K も初期に生産されたものから、徐々にSH-60L へと更新されていくでしょう。

 日本のSH-60は見た目はそっくりでも、中身は大幅な進化を遂げ、海上自衛隊で30年以上にわたり活躍しています。
 2011年に起きた東日本大震災では物資輸送などで活躍したことは私にとっても印象的でした。2021年のNHKドラマでもそのシーンが取り上げられたみたいですね。

 また、日本を出てソマリア沖でも航行する船舶を守るために、海賊監視や負傷者の輸送などで活躍しています。

 この記事を読んで海上自衛隊のSH-60の活躍について、少し興味を持っていただけたら幸いです。

2017年6月に行われた「よこすかYYのりものフェスタ2017」におけるSH-60Jと護衛艦いかづちの写真。筆者撮影。

[P.S.] SH-60はJもKも何度も見たはずなのに、まともな写真が残っていなくて、寂しい気持ちになりました。きちんと写真のバックアップを取って、整理しておくことは大事ですね。

[2023/2/20]


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