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KAQRIYOTERROR「憐憫パントマイム」Music Video私感

このブログ自体全て私感と主観で成り立ってるのだが。いつも前置きが長くなるので早速本題を。Twitterの140文字で収まり切らないのでここで呟いてみます。それくらいの気持ちでさっそくご覧まいりましょう。

まず冒頭の真っ赤に染まった感じが印象的。
これは血の赤ではないですね。神社や鳥居などの建造物に見られる硫化水銀を原料とした塗料「丹(に)」の色、つまり「毒を以て毒を制す」ための「魔除け」の色だと感じた。
そこへ「KAQRIYOTERROR」のロゴが浮かび上がり「今回KAQRIYO紅いなあー」と思った瞬間、Architect時期の「ユビキリゲンマン」MVに出てくるベンガラ色の遊郭を思い浮かべた。あの遊郭の色の由来については不明だが、当時女性を艶めかしく見せる色だったというのが妥当だろう。(昭和で言うところのピンクな照明みたいな)
そして「憐憫~」のMVでは縦に数本黒い線が並んでいる。これは遊郭の木格子のオマージュと考えるのは考え過ぎだろうか。

何故僕がオマージュに固執するのかというと、頭にブラウン管をかぶったブレイクダンサーがKAQRIYOの「BWG」MVのオマージュと言わざるを得ないというところから遡る。
全体的な構成としては、メンバーが揃いのユニフォーム感の無いカジュアルな衣装を各々身に纏い、”芝居”をするでなくライブの”ありのまま”を見せようとするところは「Avant-GurdE」にも近い構成と言っていいだろう。そういった意味では「Full Time Dive」とは対照的だろう。
この”ありのまま”から垣間見えるメンバー各々の個性については観る者がそれぞれ感じ取ってほしいが、心鞠游、ノア・ロンド、のなめら、RЯの現体制によって初めて作られたMVとして各パートで個別にカメラが当たってて、誰がどの声を奏でているかが手に取るように伝わるのは、今後のKAQRIYOライブ初心者にとって親切な作品といえよう。
実際のライブ映像をトレーラー的に挿入してもかっこいいかなとも思った。パンクバンドの映像にありがちな、ステージドリンクを観客に浴びせたりメンバーがフロアにダイブしたりギターぶん投げたり…(してねぇよ)
そしてこのオマージュたちもまた、今まで幽世/KAQRIYOを経てきた"物語"が脈々と続いているというメッセージとも思えたのだ。

そしてまた冒頭で「憐憫パントマイム」という題字が太字の明朝体で背後に不揃いに並ぶシーンから、どうしても本編でも歌詞が表示されるものだと期待してしまったのね。レーザーなどが駆使されてライブ感は伝わってくるのだが、それと共に歌詞となるワードが縦横無尽にフラッシュする感じも欲しかった。
たとえばエヴァンゲリオンの「エヴァ文字」で画面が埋め尽くされる感じやRADWIMPSの「DADA」MVまでいくと過剰だがw、皆さんそれぞれ思い浮かべてみてください。「あるあるw」って思うでしょう、割と最近のMVでありがちな、ややもするとベタだけど、観る者に歌詞を刺そうとする演出としては最適解だと思うんですよね。

いちいちメジャーなコンテンツを引き合いに出すのはレーベルの規模からして予算などの都合上でできる表現方法にも制約があるでしょうから多くを求めすぎるのは酷かもしれないけれど。

あと僕個人的に好きなMVとして(最初から個人的だろ)hideの「DICE」があるんですね。

極私的な好みの中から何故hideの「DICE」を挙げたかというと、このシングル曲だった「DICE」が収録されたhideのソロ1stアルバム「HIDE YOUR FACE」のジャケットは、H・R・ギーガーが製作した”鉄仮面”をかぶったhideの姿で「お前の顔を隠せ」という意味の「HIDE(ハイド)」と「HIDE(松本秀人)」を掛けたと解説するのは野暮ってぇもんかもしれねぇが。

そして「Ensemble Berserk」に話を戻すと、そのジャケ写でサイバーアンドロイドと化したberserkモードのKAQRIYOに於いて、特にノア・ロンドのアシメ髪から左眼球が覗いてる感じに、このhideを思い浮かべたのね。

で、改めて「DICE」のMVを観ていると曲のエンディングで鉄仮面が剝ぎ取られてhideのご尊顔が浮かぶシーンが印象的なのだが、「DICE」と「憐憫パントマイム」を聴き比べると楽曲の構成にも共通項がある。両者ともイントロと同じフレーズでアウトロを奏で最後は帰結音でバシッと締めくくられるのである。

何も「DICE」を模倣してほしいと言うとるのではない。
しかしこの「Ensemble Berserk」のリード曲である「憐憫パントマイム」MVが、もっとこのジャケットの”サイバーアンドロイド”を活かした作品だったらなぁ…と、実際のMV公開前に空想を張り巡らせていた自分が居たのもまた事実であって。
サイコパンダ含めてのこの4人の姿がアクリルキーホルダーとしてあしらわれたのも気に入ってるし、近年のコドメンのリリース作品の中でも最も素晴らしいジャケットと言っても過言ではない。

そしてまた、今回の「Ensemble Berserk」は「アヴァンギャルド0チテン」よりも全体的にバンドサウンドの濃い作品だし、やっぱりいつかはバンドで観たいという願望というか妄想も再燃しているのである。

「禁忌がTABOO」なので、いつかきっと。KAQRIYOTERRORの無限の可能性を信じてる。

2022.09.13
Лавочкин(らぼーちきん)

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