犯罪被害者支援の窓口

はじめに

この記事の概要
・ 事件で被害に遭った被害者の方を支援してくれる窓口があります。
・ 窓口はいくつかあるので、代表的なものを記載しました。
・ どこか迷ったら、被害者支援センター(被害全般)かワンストップセンター(性被害)がオススメです。

 こんにちは、弁護士の高田です。先日、京都アニメーションへの放火事件の被疑者が逮捕されましたね。この逮捕、勾留の是非については触れませんが、事件から10か月が過ぎています。事件当時、被害者の実名を報道するかどうかも話題になりました。
 こうした事件が起きた時、被害に遭われた被害者の方がいらっしゃいます。被害者の方には、何か特別な支援があると思われている方もいらっしゃいますが、被害者の方に自動的に行われる援助はほぼありません。被害者の方が、自分で支援や制度を探し、依頼しなくてはいけません。
 怪我をして病院に運ばれれば当然治療を受けられますが、それは被害者だからではありません。警察は一生懸命捜査をして犯人を捕まえようとしてくれますが、被害者の方を助けるのが本職ではありません。
 それでは、被害に遭った人は、何を頼り、どこに助けを求めればよいのでしょうか。全国各地にある代表的な窓口をまとめてみたいと思います。

被害者支援センター

 現在、各都道府県に1つ以上あります。対象被害は、身体犯全般(けがをさせられた、わいせつ被害に遭った等)のことが多いです。性被害に限りません。窃盗、詐欺などの財産犯は対象にしていないことが多いです。

  多くは警察の指定する犯罪被害者早期援助団体です。「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」第23条に基づき、警察から情報提供を受けることができるなど、警察と連携していることが多いです。

  支援内容は、各地のセンターごとに違いますが、
・ 相談(電話、面談、メール等)-弁護士による法律相談も
・ 直接支援(警察、検察、裁判所等への付添い)
・ カウンセリング
・ 物品の供与、貸与
  といった支援をしています。ほとんどの支援は無料です。

 所在地、連絡先については、全国47都道府県48団体で構成する公益社団法人全国被害者支援ネットワークに一覧がありますので、最寄りのセンターをご確認ください。

ワンストップセンター

 性被害に遭った方を支援している窓口です。性被害に特化していて、その他の犯罪被害は基本的に扱っていません。ただ、男性の被害者は対応していないところもありますので、ご確認ください。

  病院が主体だったり、連携していることが多いのが特長です。そのため、支援内容に、医師による治療(緊急避妊等)が含まれています。

  支援内容については、各センターごとにかなりばらつきがありますが、
・ 医師による心身の治療(緊急避妊、性感染検査等)
・ 相談・カウンセリング等の心理的支援
・ 捜査関連の支援(証拠採取、保管等)
・ 法的支援(弁護士の紹介、法律相談等)
 が行われています。治療について、無料の範囲も異なりますが、相談や多くの支援は無料で受けられます。

  所在地、連絡先については、内閣府男女共同参画局に一覧が掲載されています。現在は、全ての都道府県に1つはワンストップセンターがあります。

法テラス(日本司法支援センター)

 法テラスは、総合法律支援法に基づき設立された独立行政法人で、色々な法的援助、情報提供を行っています。
 条件がありますが、無料の法律相談が受けられたり、弁護士の紹介、弁護士費用の援助制度が利用できる場合もあります。
 全国各地に窓口があり、また、犯罪被害者向けのサポートダイヤルで情報提供や制度の紹介をしています。

弁護士会

 法律相談や、実際に弁護士を依頼したい場合に利用できます。
法律相談には、有料のものとは別に、犯罪被害者向けの無料の電話相談を実施していることも多いです。
 各地の弁護士会ごとに制度が違うため、最寄りの弁護士会にお問い合わせいただくのが良いと思います。

市区町村

 全ての市区町村に、犯罪被害者向けの相談窓口が設置されています。ただ、専門の職員が配置されていないことも多く、市区町村によって支援制度の差も激しいのが現状です。
 自治体によっては、被害者支援の条例を制定し、情報提供や相談受付、各種支援を行っていることもあります。
 こうした自治体の状況については、支援センターやワンストップセンターの方が知っていることも多いので、先に支援センターやワンストップセンターに相談される方が良いかもしれません。

おわりに

 事件の被害に遭われたとき、どこで何をすればよいかは本当に分からないと思います。警察でも色んな窓口の載ったパンフレットを渡してくれたりしますが、どこに連絡して良いか分からないというお話も聞きます。
 私の職務経験上は、とりあえず支援センターかワンストップセンターにお電話してみていただくのをオススメしています。
 人に関わるのが大変な時期もありますが、とにかく一人にならずにお電話してみていただくと、良いのではないかと考えています。

以上

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