蟻地獄

大きな穴がありました
円錐に似た穴でした
深くて暗い穴の中
私は一人砂の底

大きな穴で待ちました
こないあなたを待ちました
つるりと足を滑らせる
マヌケなあなたを待ちました

大きな穴に落ちました
砂の底へと滑り降り
足でバタバタあがいても
マヌケは君は逃げられず

大きな穴で言いました
どうか私の糧となれ
足をバタバタもがいても
マヌケな君を逃がしゃせぬ

大きな穴で死にました
マヌケな君は死にました
黒く変わった君を持ち
照る日の元へと帰します

大きな穴で過ごします
幾月幾年過ごします
地獄の名を持つ穴の底
私は一人夢を見て

大きな穴は繰り返す
カゲロウの日まで繰り返す
何の因果かこの日々は
地獄の外は綺麗だろうか
夢見て私は今日も糧得る

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