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ベラスケスの肖像画

先日 iPadを開いて調べものをしているときに、こんなニュースを見つけました。
2024年2月に、あの・・ベラスケスの絵画がオークションにかけられる!

来年2月にオークションにかけられる『スペイン王妃イサベルの肖像』

最初画面で見ているとき、予想落札価格の50億と1億の間に改行が入っていたため、勝手に
あの・・ベラスケスが5億⁈。安い!」と思ってしまいました(汗。
5億円であれば・・・。ほとんど無いに等しい確率ではありますが、年末ジャンボ宝くじで1等+前後賞が当たったら、
「私がオークションで競り落として、国立西洋美術館に寄贈します!!」
と勝手に宣言していた次第であります。日本に居ながらにしていつでもあの・・ベラスケスの傑作を見られるとしたら・・・。夢のような話ですね。

しかし、よく見たら51億円・・・。そりゃあそうでしょう。そして私が競り落とす可能性がゼロになりました。

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ディエゴ・ベラスケス作品のオークションといえば。。。

左)『Saint Rufina』
右)『紳士の肖像』

左)は2007年7月に落札された『Saint Rufina』。
「17世紀絵画で最高の落札価格、約20億7450万円」と記事にはあります。 画像で見る限りですが、何とも魅力的な作品です。
右)は2011年12月に約3億7000万円で落札されたという『紳士の肖像』。
「一年前に持ち込まれた」 作品が「鑑定の結果ベラスケスの手によるものであると確認」。。。世紀の大発見!まだまだ眠っている名画があるかも知れませんね。

いずれもそれほど大きくないサイズのようなので、来年オークションに出品される『スペイン王妃イサベルの肖像』のサイズ感、そしてあの・・ベラスケスの関与割合によっては51億円でもお安いかもしれません。

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さて、今回の作品『スペイン王妃イサベルの肖像』。
どこかで聞いたことがあるお名前、見たことがあるお顔だなぁ・・・と思っていたら、2019年<ハプスブルク展>(国立西洋美術館)でこちら(右下)の作品を観ていました!

左)ベラスケス『スペイン国王フェリペ4世の肖像』1631-32年
右)ベラスケス『スペイン王妃イサベルの肖像』1631-32年

おっ、今回オークションにかけられる作品と同一人物だ!。
あれっ⁈、ウィーン美術史美術館が所蔵しているこの作品が出品されるの?

左)今回のオークション作品『スペイン王妃イサベルの肖像』
右)ウィーン美術史美術館所蔵作品『スペイン王妃イサベルの肖像』

流石さすがにウィーン美術史美術館所蔵のその作品ではありませんでしたが(当たり前ですね)、お顔はそっくり。やはりフェリペ4世の奥様にしてスペインの宝、イサベル王妃ではありませんか!
そしてイサベル王妃にとても惹かれます。

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ここで再会したのも何かのご縁。イサベル・デ・ボルボン(1602-1644年)様、あなたの生涯について少し勉強させていただきます。

おーーっ!!!何と、イサベル様、
あなたはアンリ4世とマリー・ド・メディシスの娘さんなのですね!
先週まで私がハマっていた連想ゲーム
「ナポレオン → ナポレオン・パイ → アンリ・シャルパンティエ → アンリ4世 → マリー・ド・メディシス」
の続編ができるじゃぁないですか!!!
何とも、深いご縁を感じます(勝手に…ですが)。

フランス・フォンテーヌブローに生まれたあなたは、8歳の時にお父様・アンリ4世が暗殺されて、仲の良かったお兄様がルイ13世に即位することになります。即位はしましたが、若いお兄様(ルイ13世)の代わりに実権を握っていたのはお母様=摂政であるマリー・ド・メディシス。
そのマリーは、フランスとスペインの軍事・政治同盟を謀るために、あなたをスペインのハプスブルク家の王太子、当時10歳フェリペ(後のフェリペ4世)に嫁がせました。
まだ13歳だったあなたは、生まれ持った美貌とフランスで身につけた優雅な振る舞いで、徐々にスペイン王室に打ち解け、フェイリぺ王太子と仲良く幸せな日々を送っていたようですね。

その後、辛い時期もありました。
フェリペ4世が多くの愛妾を持つようになったり、授かった7人の子供が次々と早逝したり。。。成長したのは、バルタサール・カルロス(左)と末子のマリア・テレサ(右)の二人だけ。
国王フェリペ4世付きの画家に任命されたあの・・ベラスケスは、フェリペ4世ご本人はもちろん、家族の肖像画も数多く描きました。

左)ベラスケス『皇太子バルタサール・カルロス騎馬像』
右)ベラスケス『王女マリア・テレサの肖像』

バルタサール・カルロスはあなたの死後に亡くなってしまうのですが、マリア・テレサはルイ14世の奥様としてフランスに渡ることになったのですよ!
歴史はまだまだ続いて行くのです。

国勢が厳しくなると、あなたはフェリペ4世とスペインを支え、国王、臣下に慕われ、国民に愛される王妃になりました。そんな中 41歳の若さで亡くなってしまったのですね(涙。

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さて、改めて今回の作品を見てみましょう(←お宝を鑑定する番組風に)。

再登場!2024年2月オークションにかかる作品

服装や髪型はすっかりスペイン風ですが、生まれ持った美貌とブルボン家に受け継がれた優美な立ち振る舞い、王妃として凜と前を見据える意志の強さが表現されています。
これほど魅力的に王妃イサベルを描いたベラスケス。。。さすがなのです。

2024年2月、あの・・ベラスケスが描いた我らの王妃イサベルは、世界中のコレクターが欲しがること必至。
もしどこかの美術館が競り落として、いつかこの作品と対面することができたならば、これほど幸せなことはないのであります。

<終わり>

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