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DIC川村記念美術館

  美術展に出向いたり、地方の美術館に行くようになってから約2年。作品を観るとき、その作家の別の作品と比較して鑑賞するようになりました。

  DIC川村記念美術館に行ってきました。東京駅から直通バスに乗ると、平日のせいかガラガラ。ゆったりした座席で約70分、快適でストレスなしの小旅行です。

  高速道路を降りると、長閑かな風景の中に静かで整備された場所が出現します。到着です。バスを降り庭園に入っていくと、奥に佇むムーミン村を思わせる建物が美術館でした。

  マイヨールが迎えてくれる玄関ホールを通って中に入ると、最初の部屋は、
<印象派とエコール・ド・パリ>
  ロダン、モネ、ルノワール、ボナール、ピカソ、フジタ、シャガールなどお馴染みの作家の作品が並んでいます。

 「この『睡蓮』は、少し地味だけど空や樹木の映り込みをしっかり描いているなぁ」とか、
「この『水浴する女』は晩年の作品に比べて、丁寧に描かれているなぁ」とか。
「これ、ピカソなんだ!」と驚いて、
「うんうん、シャガールだよね」とか。
よくわからないのに生意気に独りごつ。自分的には楽しい、とても楽しいのです。
展示作品一つ一つがしっかり選ばれている気がします。←また偉そうに(笑)。

  そしてレンブラント『広つば帽を被った男』。

  レンブラント、あまり好きではない作家でしたが、実物を見ると凄い!他の作品は図録でしか見たことがありませんが、これは凄い!なにが凄いのかさえよくわからないのですが、別スペースに飾られたこの一枚に吸い込まれそうになりました。黒の洋服、帽子、ヒゲに瞳。何種類の黒色が表現できるのでしょうか?白いレースは繊細で、暗い背景はしっかり空間を映し出しています。やはりレンブラントは特別な存在なのでしょう。

  続いて、<抽象美術の誕生と展開>→<ダダとシュルレアリスムから>
マックス・エルンスト『石化せる森』。「おっ!これは国立西洋美術館にある『石化した森』と対をなすものでは?」『石化した森』を見た時は「何じゃこれは?」という感想でしたが、二つを対比してみると何か作家の意図のようなものが理解できる気がします。『石化せる森』は静かですが、生命の可能性を確かに感じます。面白いですね。

  デュビュッフェ『チョコレート氏』も面白い、本当にチョコレートで描いたようです。こちらも国立西洋美術館の『ご婦人のからだ』にちょっとフォルムが似てる気がします。

<サイ・トゥオンブリーの絵画と彫刻>


  初めて聞く作家、部屋全体がカンヴァスのようです。白い壁、シンプルな作品と両側の窓から見える森の緑が美しい。季節、天候、気分によって、全く違う光、色、形を映し出す空間になるのでしょう。


<マーク・ロスコの部屋>
《シーグラム壁画》。足を踏み入れる前からその部屋から特別な空気が漂っていました。
  それまでとは全くの別世界に足を踏み入れると、視覚、聴覚、嗅覚、触覚までも空間に解き放たれたような感覚になります。そして音のない音楽が流れているような気がしたのです。
  美術館がこのシリーズのみを展示するために設計した空間。

  かつてニューヨークの高級レストラン「フォー・シーズンズ」壁画のためにロスコが制作した作品。自信作を完成させた作家本人がレストランで食事した時、いけすかない(?)雰囲気に激怒。一方的に契約を破棄する大スキャンダルになったそうです。その後この《シーグラム壁画》だけで一室を飾る事をロスコは切望し続けたようです。結局、作品はロンドンのテート・ギャラリーに9枚、このDIC川村記念美術館に7枚まとまって収蔵され、共にロスコ・ルームと名付けられているのだそうです。
  ここはまさに作家の望み通りの空間になっている!のではないでしょうか。

  美術館を出た後は、レストラン ベルヴェデーレでパスタコースを堪能。
窓から見えるのは枝ぶりが見事な桜の木。花咲く季節は違った美しさを見ることができるでしょうねぇ。
  食後は約3万坪の広大な庭園を散策。ガチョウ、白鳥が池を優雅に泳ぎ、季節の花が咲き誇る庭。今はハスの葉が力強く伸び、神秘的な花を咲かせる景色に元気をもらいました。

  結論、とてもステキな時間でした。
また一人でフラッと出かけてのんびりしたい場所に、認定❗

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