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社会人1年目のころのウェブマーケティング

最初に任された仕事はウェブマーケティングだった。

2008年のころ。いまや「オーバーチュア運用してた」なんて言うと老人扱いされる。SEOもブラックな手段が横行していて、というかまかり通っていた。広告会社との騙し合いの世界にいきなり飛び込んだ。

社内に専任の担当者がいるのも珍しかった。入社した会社には担当者がいなかったので、新卒のわたしがシステム部門から引き継ぐことになった。
小さなベンチャーに京大卒の新卒が入ってきて、とりあえず経営企画室に所属させたけどやらせることがない、という状況だった。最初の数か月はずっと社内で本を読んでいた。

ウェブマーケティングの仕事は楽しかった。やればやるほど、目に見えて成果が上がっていく。精度が増していく。表に出ている情報が少ないおかげで、競合に先行している施策はことごとく成功する。

同時に、競争が過激化し始めたのもこの頃だった。リスティング広告の世界では、検索キーワードに対して広告を出稿する。1ワード、2ワードの検索クエリはビッグワード、と呼ばれるけど、その広告単価が1年で10倍近くはね上がった。もちろん予算も膨れ上がって、だましだましで社長に入金依頼した。

「○○ 求人」で検索したときに広告表示3番目まであがってくるためには、1000円/1クリックが必要になる。その1年前までは100円だった、という具合に。

ウェブ広告の世界も、とてもシンプルだ。

ユーザーの探しているものとマッチしている広告は、品質が高いと認識される。品質が高ければ、より安価な価格を設定しても、上位表示されることがある。そのマッチング精度を高めることで、費用を抑えつつ、獲得単価を下げる。基本的にはそういう仕組みだ。

その仕事は約3年続いた。マーケティングより、社内の総務・労務・経理といった仕事の比重が大きくなり始めたところで、後任に引き継いだ。個人的にもバックオフィスの仕事のほうがしたかった。

そして新卒から10年以上経った今、いろいろあって、再びウェブマーケティングの世界に片足を入れている。懐かしいなぁと思いながら、当時付き合いのあった会社に連絡をとる。相変わらずですねと思うことも、すごく立派になりましたね、と思うこともある。

界隈の雰囲気も、どこか芋臭い雰囲気から、ずいぶん洗練されたものになったように思う。イベントも活発で、賑やかで華やかだ。当時、駆け出しだったようなメディアも、いつのまにか大御所になっている。

でも、時間は経っていろいろなことが進化しても、基本的なことは変わらない。主夫をしながら、ネットの世界で発信して生き抜いてきたこともあって、手元に情報が無いわけでもない。

ただ、なんの因果か、再びこの仕事をしていることに面白さを感じている。

1年目の自分がいい仕事をしてたおかげで、いまとても助かっている。エライ、よくがんばった。

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