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"プログラミングを用いた舞台演出"のシステム構成アーカイブ2.5 : "プログラミングを用いない舞台演出"のシステム (照明編)

はじめに

この記事連載の狙いは、こちらのnoteをご覧ください。

今回の記事を書くのにとても時間がかかってしまい、記事の更新がかなり遅れてしまいました。結局、納得する文章にならずかなりの駄文になってしまった自覚があります。が、一度世に出さなければ進まない気がしますので、投稿させていただきます。
この投稿は後ほど、少しずつ内容を更新する予定です。。

概要

こちらの連載は"プログラミングを用いた舞台演出"のシステム構成アーカイブなのですが、そもそもプログラミングをあまり用いない場合のシステム構成はどのようになっているのか、というのも紹介する必要があると思い、連載の合間で使用することの多いシステムを紹介します。
会社によってやり方はさまざまですが、一例として参考になれば幸いです。
今回は、"システム構成アーカイブ"としてライブなどの現場で照明演出のみを行う際のシステム構成部分を会場規模別でとてもざっくり紹介します。
続編ではシステムの構成だけでなく、細かなシステムの接続方法やそのメリット・デメリットを考察しつつ、現行のシステムがいかに考えられて辿りついたものなのか、というのをまとめたいと思います。

簡易システム図

基本的に会場の規模に関わらず基本は同じです。
チャンネルが増えると、灯体の種類ごとにユニバースを分けることが多いですが、その中でもdimmer回線となる一般灯体などを扱う回線にはバックアップ卓を挟んだり、パッチシステムで扱いやすくしたり、ということを行います。
複数回線の出力は、一度Nodeなどに入れて集約し会場内の各所へLANなどで飛ばして、もう一度NodeでDMXに戻す、という方法を採用している会場が多いです。
距離的にはDMXでも問題ないのですが、splitterで分けるには送り先やユニバース数が多い場合や仕込みによって必要な回線が変わる場合など、ネットワークで管理する方がさまざまなニーズに対応できるためです。

簡易システム図

会場の規模ごとの特徴をまとめます。

ライブハウスなど

照明卓は常設を使うことになることが多く、持ち込みが難しい場合もあります。基本的にライブハウスであればAvolites社の卓が多いですが、最近はMA Lighting社の卓も増えている印象です(Zeppシリーズは全国共通でMA3です)。
たまにそれ以外の卓が置いてあることもありますが、その場合は持ち込みができる場合が多いです。
基本的に回線数が複数用意されていて、常設機材が1系統にまとめられ、残りの回線を持ち込み灯体に割り当てる、ということが多いです。
常設機材もさまざまですが、古いライブハウスではハロゲン電球を用いたいわゆるPARライトのみを常設機材としているところも多く、その場合は会場機材としてLEDやムービングライトはあってもオプション(有料)とされます。
(余談ですが、僕が以前働いていた福岡のライブハウスもこの類です。)

持ち込み機材などと回線を分けている場合は、この常設機材のみの回線をAラインと呼んだり、PARライトのみの場合は照明的にはdimmer(光量)のみを扱う回線であることからdimmer回線と呼んだりします。
dimmer回線は、会場によっては客電・作業灯・避難誘導灯・スモークなども扱うことがあります。
このとき、持ち込み卓で卓が落ちてしまうと取り返しのつかないこととなるため、簡易のバックアップ卓が用意されている会場もあります。
また、このバックアップ卓とともに、dimmer回路のパッチを行ってくれる場合も多いです。(例えば、dimmer回路の1~4番に繋いだPARはコンモ(コモン)にしたい場合、卓でダブルパッチにして1回路に1つのDMXチャンネルを割り当ててもよいですし、会場のパッチシステムでダブルパッチにしていただいて、卓はDMXの1チャンネルのみを送るようにすれば良いことになります。)
パッチシステムでは、タマテックラボのpatchanなどを用いているところがほとんどという印象です。

長くなりましたが、ライブハウスはそれぞれの会場ごとにさまざまなシステムの組み方があります。また、常設卓のバージョンや機材の持ち込みの有無によっても大きく変わります。
予算の都合で卓のみ持ち込みの場合や灯体のみ持ち込みの場合など、状況はさまざまだと思いますが、会場の方にご相談すれば大抵のことはできます。
とにかく、何かあれば会場さんにご相談です。

ホールなど

ホールになると、常設機材といってもよく使う場所に仕込みっぱなしなのではなく、基本的には全てを各公演に合わせて1から仕込んでいくことになります。
サスバトンに調光回路やLANの回線、nodeなどがある場合もありますが、逆にすべてのケーブルを立ち下さなくてはいけない場合も多いです。
いわゆる音楽ライブ現場の場合、機材を持ち込まないことはほとんどありません。

システム的な話をすると、卓は多段プリセット方式(この単語を使ったのは修士論文以来です)のものが調光室に収められている、という状態が多く、基本的に乗り込みの人がその卓でオペをすることは稀です。
客席などにもちこみ卓を組む場合も多いですが、DMXの回線は客席の足元に差してステージまで通じている場合や、調光室まで引き伸ばす必要がある場合、直接ステージまで引き廻さなくてはいけない場合など、さまざまです。
また、この規模になるとバックアップ卓(よく使用されるのはETCのSmartFade 1248など)も一緒に持ち込む方がほとんどです。
電源も会場の電源を使用しますが、照明卓にはUPSをインサートする方が多いです。(もちろんライブハウスでUPSをいれる方も多くいらっしゃいます。)
パッチ等は持ち込みの機材で完結させる場合がほとんどです。
会場さんは操作盤やレンタル機材、客電(誘導灯)などの管理がメインの場合が多いです。

ピンスポットなどを使うことも多いですが、インカムで指示を出すため、システム的に連動させる、などの状況を見たことはありません。

とにかく、ほとんどを持ち込み機材で完結させるため、事前に倉庫等での確認が必須になります。
逆に、事前準備を行えば基本的に当日はシステム的に未知の不具合が起こることは少ないです。
(客電のフェードが効かない、仕込み位置が思ってた規模感と違って合わない、機材NG、などの不具合は頻繁におきます。)

アリーナなど

アリーナ以上の規模の現場で照明のチーフをやった経験がないため、レーザーなどのセクションやお手伝いで入った際に見聞きした内容を中心に記載します。

アリーナになると、照明機材を吊るためのトラスなどを吊る作業や、ステージの基礎(イントレ足場)を組むところから始まります。
仕込む順番は現場によりますが、事前にvector worksなどのソフトで綿密に仕込み位置を検証しながら図面を作成し、当日に望みます。

卓は複数台に分かれることが多いです。
例えば、PARライトとLEDパー、客当てなどの動かない&演者を照らす用の機材を制御する人とムービングのみを担当する人、などに分かれます。
信号については、Art-NetやsACNなどの規格を用いてLANケーブルで引き回すことがほとんどです。
照明機材の量も多いため扱う回線数も増え、距離が長くなるため、LANで引き回すほうがメリットが多いためです。
もちろん、卓によっては専用のnodeやNPUなどの機材を舞台側に設置して、FOHとLANで接続する場合も多いです。(電飾さんは規模に関係なく特に信号が多いため、MA2とNPUで通信されることが多い印象です。)

まとめ

もう少し内容を整理します。
レーザーのように同じ機材を同じように仕込むことが多いセクションとは違い、照明は使う機材も制御システムも通信方法も仕込み位置も本当に多様なため、本当に一般的な内容や多様される方法の紹介しかできませんでした。
こんな種類の会場では、どんなシステムでやることが多いの?などのリクエストがあれば、それもまとめますのでコメントなどをください。。


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