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"プログラミングを用いた舞台演出"のシステム構成アーカイブ2 : Devil ANTHEM. (2022/03/27~)

はじめに

この記事連載の狙いは、こちらのnoteをご覧ください。

概要

第二回目は、2022年3月27日の渋谷O-Westから始まった"Devil ANTHEM."さんの春ツアーにて使用した、レーザープロジェクター(以下、レーザー)とレーザーバーの演出システムの紹介です。

Devil ANTHEM.さんは去年の8月からライブでクリスタリノがレーザー演出を担当させていただいているのですが、毎回かなり派手な演出を行なわせていただいております。
初回のLIQUIDROOM公演ではレーザーを15台、クリスマスのStudio Coast公演では18台持ち込んでの演出を行いました。
(弊社が担当する案件において、レーザーはライブハウスで4~6台、アリーナでは10台程度の持ち込みとなることが多いです。(良い意味で)異常さが伝わると幸いです。)

今回は、初めてツアーにも参加させていただくことになったのですが、初日のO-West公演では、レーザーを10台と新規導入したレーザーバー(照射口が6口になっているレーザープロジェクター)を3台用いた演出を行いました。
その後も、レーザー10台前後 + レーザーバー4台を用いた演出をツアーの各地方公演で行いました。

こちらは名古屋公演の写真ですね。

使用機材について

レーザーの制御については、別記事でまとめていますが、私が担当する案件のほとんどでPangolin社のBeyondというソフトウェアを用いて制御をしています。
詳しくはこちら↓の記事を参照してください。

ただ、今回のシステムで特殊なのはレーザーバーを追加したことです。こちらはDMX(3PIN)のみで制御可能な機材であるため、BeyondとLANのみでの接続では制御できませんでした。
また、1台あたり6口の照射口がありますが、それらを別々に制御するには1つあたり15chほど使用するため、バー1本に対して91ch使用することになります。
BeyondにもDMXの信号を出力する機能はありますが、ムービング卓のようにfixtureをパッチして制御するものではありませんので、レーザーバーの制御には別の照明制御方法を使用する方針にしました。

とはいえ、それぞれを別の人間がオペレートしてしまうと、不都合が生まれます。
曲に合わせてキューを叩く、と言えばシンプルですが、タイミングが完璧に揃うことは非常に稀なうえ、ヒューマンエラーの可能性もあります。
なので、レーザーとレーザーバーを別のシステムで制御しつつ、レーザーのキューを叩くと同期してレーザーバーもトリガーするシステムにしました。

演出システム

長くなりましたが、今回の簡易システム図です。

Devil ANTHEM. 2022春ツアー 簡易システム図

レーザーの数が多いので割愛していますが、基本的な構成は普段と大きく変わらずDMX nodeをUNITに置いてDMXを出力しています。
また、卓(どちらもPCソフト)は2つに分かれているため、
beyondを叩くと レーザーの信号 + トリガー用にArt-Net信号 を出力
→MA3 onPCがArt-Net信号を受け取ってシーケンス(キュー)再生
→nodeにMA-Netで信号を出力してDMXに変換
という流れになります。つまり、オペは普段のレーザーを出力する際とほぼ同じでbeyondのみを叩いています。
本線にはレーザーの信号とレーザーバー用のArt-Net信号が1系統分流れています。

今回のシステムを実装するにあたっては、beyondのDMX出力やキューへの割り当て、MA3のOSCやDMX Remotes設定など、いろいろ調べました。
また、小箱なので省スペースのためにMA3のCommand Wingを使用せずライセンス代わりのMA3 onPC Nodeのみを持ち込んで、ショートカットキーなどで打ち込みをしました。
キューの修正などは現場でそれぞれ人員を立てて平行して行うことも可能ですが、今回は一人で行なったのでちょっと大変でした。
が、それぞれいろんな見せ方ができて面白かったです。

(↑初日は別現場から朝一で新幹線移動でしたが、移動しながら打ち込み・色々チェックしてました。。。)

↑当日の現場入り後の打ち込み(音無し)
↓アニメーションもあります。


まとめ

Devil ANTHEM.さんも要チェックでお願いいたします。
ちなみに、ライブは爆音です。(今までいろんなライブを見ましたが、ダントツで音が大きいです。)
2022年現在でもう8年目らしいです。20歳くらいなのに僕より全然キャリアが長い。。

かっこいい曲もきれいな曲も多く、僕みたいなV系が好きで育った人間もハマってしまいました。
アイドルが好きな人もそうでない人も好きになれるアイドルだと思います。
あと、照明がとてもかっこいいです。センスがすごい。。
とにかく、一度ライブを見にきていただきたいです。(耳栓持参で。)

レーザーバーは今後もちょくちょく使っていくかと思いますが、今回のツアーでちゃんと使えることを実証できたので、よかったです。

Fake Factorという曲です。


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