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[論文メモ] サケの回遊タイミング


Thompson et al. (2020)
A complex phenotype in salmon controlled by a simple change in migratory timing
Science, Vol. 370, Issue 6516, pp. 609-613
doi: 10.1126/science.aba9059
→ 論文へのリンク(掲載号のカバーだったみたい)


※ 理解を諦めた箇所が多々あります...

対象種

Chinook salmon(Oncorhynchus tshawytscha)
= マスノスケ、キングサーモン

背景

・マスノスケは、産卵のために海から川へ戻ってくるタイミングに基づいて「Early migrationタイプ」と「Late migrationタイプ」に分けられている(最大で6ヶ月くらいタイミングが違う)
→ 同所的生殖隔離 & 種分化が起こっている可能性がある

・体サイズや脂肪量、生態系における役割(e.g. 海からの物質輸送距離)などが大きく異なることから、「Early migrationタイプ」と「Late migrationタイプ」は別々に扱われてきたが、遺伝的な違いについては明らかにされていない

目的

エコタイプ間に複数の表現形質の違いが生まれるメカニズムを明らかにする
(to elucidate the genetic architecture of ecotypic differentiation and determine the origin of phenotypic variation between ecotypes)

方法

・全ゲノムシーケンス
・targeted genotyping assay(遺伝子型判定?)
・個体ごとの表現型データ収集

主な結果

・Early migrationタイプとLate migrationタイプのゲノムを比較すると、28番染色体上の1箇所に明確な違いが見つかった。その領域にはタンパク質をコードするGREB1L遺伝子, ROCK1遺伝子が含まれていた。
(GREB1L遺伝子は、脊椎動物の腎臓、生殖腺、内耳の発生などで重要らしい)

・この領域のゲノタイプと淡水域に戻ってくるタイミングの間に相関があった。
→ おそらく産卵回遊を始めるタイミングにも違いが生じている。光周期への応答に影響を与える領域なのかも?

・一方、遺伝的な違いがあると予想された脂肪量や性成熟度合いについては、ゲノタイプとの相関がなかった。これらの値の個体差は回遊タイミングの違いで説明された。

・ゲノム解析により、Early migrationタイプとLate migrationタイプの交雑が起こっていることが示唆された(?)(←このあたりの話が特にわからなかった)

客観的意義

・1箇所のゲノム領域に支配されている(とは言ってないかも?)回遊タイミングの違いによって、そのほか複数の表現形質の違いが生じていることを示した

・遺伝情報を把握することは多様性保全や資源量回復の策を考える上でも重要

重要ワードっぽかったもの

・"magic" trait
・"syndrome"
・supergene


読解できてない箇所が多すぎるな...鳥類でも同様の研究があるようなので読んでみよう...


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