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#13 会社を辞めて1年、人生初の“確定申告”もようやく終了!


■眠っていたマイナンバーカード、確定申告で初稼働


昨年3月末で会社を辞め、気がつけばほぼ1年が過ぎました。退職に伴ういくつかの手続きは4月にバタバタと終えましたが、最後に待っていたのが確定申告。「年末調整って、今年はどうしたらいいの?」と何気なく友人に尋ねたところ、「それは確定申告でするの、3月までの給与の分もね」と言われ、「確定申告か~自分でするのか~」と急に現実のものとなりました。会社から届いた源泉徴収票や保険関連の書類はひとまとめにしてあるものの、「マイナポータル連携?」「e-Taxで送信?」などいくつか疑問も沸いてきます。国税庁のホームページには、申告書提出までのわかりやすい解説がアップされており、パソコンとスマホとマイナンバーカードがあれば、税務署に行かずにe-Taxで送信できることまではわかりました。

入力の前にYouTubeで「確定申告 初心者」を検索すると、まあ様々な動画がずらり!国税庁の入力画面に沿って、実際に入力する様子までを動画で確認できました。フリーランスになって早10年の友人や税理士事務所に勤める友人の細やかなアドバイスのおかげで、どうにか無事に入力が完了。「正常に通信が完了しました」と表示された画面を、記念にスマホでパシャリ。昨年取得したマイナンバーカードが初めていい仕事をしてくれましたが、「こうやって様々な個人情報が一括管理されるのね~」と正直やや複雑な思いも残ります。

今回は無事に終わりましたが、私のようなケースは友人いわく「シンプルな部類」だそうです。医療費控除の適用を受ける際には控除対象について細かい規定があって、もっともっと面倒だとか。昨年から歯の矯正で通院している友人は、「治療に70万円ぐらいかかっているけど、控除の対象かどうかがはっきりしない」とやや不満気でした。発育過程の子どもが歯科矯正をした場合は対象で、容姿をよくするために行う矯正は非対象となり、大人の歯科矯正の場合は「噛み合わせや歯並びの問題で機能的な問題があり、矯正治療が必要」といった内容の診断書が必要になるそうで、なかなか複雑です。


■退職後の手続きは、「健康保険」「年金」そして「雇用保険」


次々と自宅に届いた健康保険や国民保険の書類


昨年の4月をふりかえると、退職に伴う手続きは、まず「健康保険」と「年金」の2つでした。「健康保険」は前職の健康保険を任意継続(2年間)にしたので、保険料を振り込むとしばらくして新しい保険証が届きました。この保険料、在職中は会社が半分負担してくれていましたが、今年からは全額自己負担!半年分や1年分をまとめて支払うとなかなかの額になります。「年金」は退職翌日に厚生年金の資格を失うため、国民年金に切り替えました。これは近所にある世田谷区の出張所へ年金手帳、印鑑、離職票などを持って行き手続きは完了。後日届いた納付依頼書に基づいて、また振り込みです。「退職するときは、ある程度まとまったお金が必要だよ」と話していた先輩の言葉がようやくわかった気がしました。


ハローワーク通いは昨年11月に終了


そして4月中旬、「雇用保険」の手続きをしに渋谷のハローワークを訪ねました。手続きを終えると「雇用保険受給資格者証」が発行され、「失業の認定」を受けたのち「雇用保険」の支給が始まります。渋谷のハローワークに行くたびに、壁いっぱいに張られた求人票にひと通り目を通しましたが、具体的なエントリーには及びませんでした。求人で目にとまったのは、介護や福祉の分野で「経験は問いません。お仕事をしながら資格取得を目指し、ステップアップしていけます」と入社後のサポート体制をうたう企業の求人でした。これからますます人材が必要な分野であることがわかります。

渋谷のハローワークとは別に、情報収集に役立ったのが「三茶おしごとカフェ」(世田谷区三軒茶屋就労支援センター)です。求人情報、キャリアカウンセリング、各種就職セミナーなどのメニューがあり、世田谷区在住の求職者にとってはありがたい機関。セミナーの内容も多岐にわたり、私も何度か受講しました。コロナのため多くはオンラインでしたが、55歳以上を対象にした「シニア世代の生き方・働き方」「人生100年時代こころの健康を維持しながら自分らしく働き続けるために!」「シニア世代のための初めての就職活動」などを聞くと、まだまだ人生この先長いな~と思わずにはいられませんでした。

■「人生二毛作」できるかな? 60歳からの転身やいかに?


この1年は、これからどうするかを頭の片隅でぼんやりと考えながら、畑で野菜作りを学んだり、平日にプールや映画に行ったりという日々を過ごしていました。この先に待つ10年、20年を考えたとき、やはり「人生二毛作」を強く奨めておられた秋山弘子先生(老年学の専門家:東京大学高齢社会総合研究機構客員教授)のお話が頭をよぎります。「日本は長寿社会のフロントランナー!人生100年時代、まったく異なる複数のキャリアを持つことも可能。1つの仕事を終えて、60歳代から次のキャリアのために学校で勉強し直すという"二毛作"の人生設計もあり得ます」。40代半ばで初めてこの言葉を聞いた私は、「60歳からまた勉強か・・・大変だなあ・・・」という感想を抱いたのを覚えています。

ただ、実際に60歳になってみて、新しいことを始める環境はいろいろ整っているとも感じます。どこにフォーカスして何を目指すかが決まっている人は、次のキャリアに向けて準備をしているようです。つい先日、学生時代の友人からこの3月末で退職し、地方の小学校の新米の教員になるという知らせがありました。NPOのプログラムで1年間学び、臨時の教員免許をとったとのこと。理工学部を卒業し、メーカーに勤務していた姿からは思いもよらない転身ですが、新たな土地へ単身赴任すると聞き、大いに刺激を受けました。機会があれば赴任地を訪ね、教壇に立った気持ちなどぜひ聞かせてほしいと思っています。

私も「こんな分野で、こんな仕事をできたら」というぼんやりとしたフレームはなんとなくイメージできてはいますが、かなり道のりは長そうです。会社を辞めて1年、「まだ仕事はしていないの?」「派遣に登録するなら、1日でも早い方がいいよ」と背中を押してくれる友人もいれば、「十分働いたから、ゆっくり考えればいいよ」「タイミングが合えば、また働けばいいさ」とおおらかに話す友人もいます。そんな中、「とりあえず個人事業主の登録してみては? 開業届け出すだけだよ」というアドバイスもあったりして、4月を前に処し方をつらつらと考える今日この頃です。

文・藤本真穂 
株式会社ジャパンライフデザインシステムズで、生活者の分析を通して、求められる商品やサービスを考え、生み出す仕事に従事。女性たちの新たなライフスタイルを探った『直感する未来 都市で働く女性1000名の報告』(ライフデザインブックス刊/2014年3月)の編纂に関わる。2022年10月に60歳を迎えたのを機に、自分自身の働き方や生き方を振り返り、これからの10年をどうデザインするかが当面の課題。昨年3月、60歳まであと半年を残してプチ早期退職、37年間の会社員生活にひと区切りした。