幸せにしかなれない生き方

 わたしたちは皆、幸せになりたいと願っている。健康でありたいだとか、お金持ちになりたいだとか、素敵な相手に出会いたいだとか。人によって幸せの形に違いはあれど、それでも不幸になりたいと願う人なんてまずいないだろう。あれが食べたい。あのバッグが欲しい。あの人が着けていたジュエリーが羨ましい。次から次へと欲は現れ、それは留まることを知らない。目の前にやってきた欲望を一気に、或いは一つ、また一つと叶えることが幸せを掴むということなのだろうか。莫大なお金を手に入れさえすれば、そういう幸せを〝追い続ける〟ことは可能だろうけれど、それに終わりなど存在せず、結局のところ幸せを掴むことはできないような気がする。

 それならば、幸せにしかなれない生き方をしよう。幸せにしかなれない生き方というのは、今あるものの中に幸せを見出していくということ。お風呂に入る。温かいなぁ。気持ちがいいなぁ。毎日からだを清潔を保つことができてありがたいなぁ。散歩に行く。風が気持ちいいなぁ。梅の花が咲いている!わたしって足腰が丈夫なんだなぁ。そういうこと。そういう、些細なことに目を向けるということ。

 貧乏人の負け惜しみと言われたら、その通りだと思う。だけど、ぐうたらなわたしには何かを追って走り続けるよりも、そこにどっしり座って小箱の中身を見ている方が性に合っている気がする。

 

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