【掌編戯曲】雪原に落とされた一粒の種【#007】
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車窓から見える雪原はとても奇麗だった。車を走らせていた僕は、ふいにブレーキを踏み、外へ出た。西日が差し込む。キラキラと輝く世界。現実の世界に失望した僕は、その虚構のような世界に吸い込まれていった。
目の前の光景に見とれていた僕は、隣に人が立っていることに気づいていなかった。何もない雪原に、そこまで見とれていたかと思うと、ふいに自分のことが恥ずかしくなった。
その恥ずかしさを隠すかのように、僕は隣に立っていた女性に、思わず