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パーソナルトレーナーが最低限知っておくべき15項目〜パーソナルトレーナーズ・バイブル(3)「筋力トレーニングと適応」

大阪〜神戸で活動して24年目に突入!パーソナルトレーナーのたかつです
スポーツトレーナー学院で校長をしたり、パーソナルトレーナーの寺子屋というオンラインサロンを運営しています。
こちらのブログはフィットネスの世界で働く方、働きたい方、NESTA等パーソナルトレーナー資格をお持ちでスキルアップ、キャリアアップを考えている方向けに書いてます

セクション3:筋力トレーニングと適応

筋肉が力を出す仕組み

脳→運動神経→筋肉(活動電位)

力発揮の調節
一つの神経細胞とその支配下にある筋細胞の集合体を「運動単位」と言い、この単位ごとに活動が起こる。

強い活動電位が届けば、より多くの運動単位がその収縮に参加し、小さな活動電位では少しの運動単位しか参加しないことになっている。力の強弱は、活動電位の大きさにより参加する運動単位の多少でコントロールされている。

トレーニングの側面から考えると・・・
弱い負荷=小さな運動単位、限られた運動単位のみ参加

大きな負荷=より多くの運動単位の参加

弱い負荷では筋肉的には休んでいる筋細胞の方が多くなるため、その筋肉を動かしているとはいえ鍛えられてないことになる。

日常生活動作では3割程度の力発揮と言われているので、トレーニングとして考えた場合、6割以上の負荷が必要であると考えられる。単に動かしているから鍛えられているわけではなく、その運動に筋細胞が参加しているかどうか(運動単位が参加しているかどうか)が大事である。

筋肉が太くなるメカニズム

・筋線維再生系
 傷ついた筋線維を修復する過程で太く強くなる

・タンパク質代謝系
 タンパク質が分解と合成を繰り返し、剛性が上回ることで筋肉が太くなる

 筋肉が太くなるための条件
・物理的刺激=大きな力を出す エキセントリック収縮による速筋線維の動員
・化学的刺激=筋内酸欠、代謝物の蓄積、ホルモンや成長因子

実際のトレーニング内容に当てはめてみると・・・

✅70〜80%1RMの強度で、10回前後の限界反復を複数セット行う

✅スローテンポで、テンションを維持し続けながら60秒程度の反復を行う

✅50%1RM以下でも血流を制限した反復や、30〜40レップスの高回数

✅限界反復を行う

筋力トレーニングと短期的応答

筋力トレーニングを行なっている最中、または直後に体がどのような反応を示すのかについて
①神経系の応答 ②筋肉の応答 ③内分泌系の応答 
それぞれをまとめていきます。

①神経系の応答
筋力発揮が低いところから高いところに向かうにつれて、参加する運動単位に変化が現れてきます。低い筋力発揮(30%程度)では、タイプⅠ線維を中心とした小さな運動単位のみが動員されていますが、高い筋力発揮(65%以上)ではタイプⅡ線維も動員され始め、より大きな運動単位が参加していくことになります。

筋力トレーニングではより大きな運動単位を参加させることに意味があり、ゆえに全力の65%以上の負荷が望ましいとされます。

②筋肉の反応
反復回数に応じ、エネルギー基質の枯渇が生じます。具体的には①クレアチンリン酸の枯渇 ②筋グリコーゲンの減少が生じる。
また、無酸素運動に当たる筋力トレーニングは筋内酸欠を起こしやすく代謝物の蓄積が起こる

③内分泌系の変化
同化ホルモンであるテストステロンや成長ホルモンの分泌が増すと同時に異化ホルモンであるコルチゾールやエピネフリンなどの分泌も同時に増す。トレーニング量のコントロールを見誤ると異化ホルモンの分泌が勝ってしまい筋肉の成長の妨げにもなる。異化ホルモンは成長には欠かせないが、諸刃の剣である。

筋力トレーニングの長期的適応

①パフォーマンスアップ
筋力トレーニングを行うことで得られる効果は、「筋力の向上」「筋持久力の向上」「筋パワーの向上」である。

付随的に「筋肥大」の効果が期待できる。初期の段階では、筋力、筋持久力と分けて考えなくてもその全てが向上していくと考えられるが、中級者以上では、各目的に合わせた特異的なプログラムが必要となる。

②神経系の適応
高閾値の運動単位の動員数の増加や発火頻度の増加という「力の出す大きさ」が増す。元々ある筋線維をより使えるようになってくる。

それに加えて、その動作に必要な筋肉の緊張が減り、動作に必要な筋肉がうまく使われるようになる。

このように筋肉量そのものの変化はなくても、「力の出し方が大きくなる」ことと「力の出し方が上手になる」ことが起こり、筋出力のアップに貢献する。

③筋細胞の変化
筋の横断面積の増加が見られ、そこにはアクチン、ミオシンという筋収縮タンパク質が増えることと、場合にはよっては筋線維の数の増加(増殖)が見られる。

④代謝エネルギーの適応
エネルギー基質である、ATPの濃度や量、クレアチンリン酸の濃度や量が増加する

また、そのエネルギー代謝の触媒をする酵素の活性が高まる。つまり、ATP –CP系のエネルギー代謝に関わる酵素や解糖系の酵素活性が高まる。

これにより、筋力トレーニング中に必要なエネルギーを効率よく賄えるようになる。

⑤筋線維組成の変化
筋肉の細胞にはそれぞれ特性の異なるグループが存在する。

 ・I型線維(遅筋) ・Ⅱ型線維(速筋)a b

大まかには速筋型の線維と遅筋型の線維に別れており、速い収縮で大きな力を出せるが持久力で劣るタイプと、収縮スピードや力の大きさでは劣るが、持久力に優れタイプである。

どのようなタイプのトレーニングをしたとしても、タイプの異なる線維に変化することはないが、タイプⅡ(速筋型)間では性質が変化する。タイプⅡbという超瞬発型から、タイプⅡa というやや持久力を兼ね備えた速筋型へと変化する

⑥身体組成の変化

 除脂肪体重(LBM)が増加する

 安静時代謝の増加が見込まれる:筋肉1kgあたり13kcal /日→30〜50kcal /日の基礎代謝向上

 脂肪量の減少も期待できる?かもしれない

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