ジョージ・オーウェル「動物農場」と組織論
皆さまこんばんは、Biz Craftです。
今回ご紹介する内容はジョージ・オーウェル「動物農場」と組織のあり方についての考察です。
本小説はビジネスに携わる人にとって、組織のあり方やリーダーシップの本質について改めて深い教訓を得られるのではないかと思います。
またこの動物農場の物語は、イソップ物語にも共通点を見出すことができるので、その点についても触れてみました。
1.「動物農場」概要
■登場キャラ紹介(動物のみ)
・メージャー爺さん:革命の預言者。豚
・スノーボール:革命の指導者。後に亡命。豚
・ナポレオン:革命の指導者。後に独裁者。豚
・スクィーラー:悪賢い宣伝係。豚
・ボクサー:頭は悪いが忠実で働き者。雄馬
・クローバー:愛情深い雌馬。ボクサーの同情者
・ベンジャミン:農場きってのインテリ。ロバ
■あらすじ
ごく簡単にあらすじをご紹介します。
ジョージ・オーウェルの「動物農場」は、1945年に発表された政治風刺小説となります。
これは動物たちが人間の支配から解放され、自分たちの理想の社会を築こうと試みますが、やがて独裁者となる豚のナポレオンによって抑圧されるという物語です。
この小説は当時のソビエト連邦のスターリン体制を批判したものとして広く知られていますが、それだけではなく人間の本性や権力の本質についても深く問いかける作品でもあります。
またこの小説には、動物たちが語る様々な教訓や格言が登場するのも魅力です。
例えば彼らが取り決めた戒律で「すべての動物は平等である。しかし、ある動物はほかのものよりももっと平等である」という言葉があります。
これらの教訓や格言は一見すると正しいように見えますが、実は矛盾や不合理がかくされているのです。
オーウェルはこれらの教訓や格言を用いて、権力者が自分たちの利益のために真実を歪めたり人々を洗脳したりする方法を克明に描き出しています。
2.イソップ物語との共通点
私が読んでいて感じたことは、オーウェルの「動物農場」は古代ギリシャの寓話作家アイソーポスが著したイソップ物語と共通点があることです。
イソップ物語は動物たちを擬人化し、人間のように考え話したり行動したりすることで、人間社会の矛盾や欠点を風刺したものです。
この物語にも動物たちが語る様々な教訓や格言が登場しますが、これらは一般的には正しいものとされています。
例えば「主人への愛ゆえに同類への友愛に欠ける者は咎めなくてよい」という言葉があります。(238話 猟師と鳩より)
これらの教訓や格言は人間社会の常識や道徳を表現したものですが、実はそれらにも矛盾点や不合理が満ち溢れているのです。
イソップはこれらの教訓や格言を用いて、人間社会の不正や暴力を批判しています。
また一見同じように見える人間社会の風刺物語ですが、両者には相違点もあります。
オーウェルの「動物農場」とイソップ物語の違いは、前者が特定の政治体制を風刺したものであるのに対して、後者が普遍的な人間社会を風刺したものであるという点です。
しかし両作品は共に動物たちを登場させることで、人間の本性や権力の本質を鋭く描き出しています。
この点で両作は同じ目的を持って描かれていると言えるでしょう。
オーウェルとイソップは、動物たちの物語を通じて人間に対する警告や教訓を伝えようとしたのだと考えられます。
3.現代社会への警鐘作品
動物農場もイソップ物語も人間と組織のあり方を再考させられる作品となっております。
例えば現代の社会でも、会社のトップが自社の利益を優先するあまり、不祥事を起こしてしまうような状況がクローズアップされています。
その組織文化には必ず共通点があり、まずトップの独断専行が横行していることがあげられます。
そして組織階層が下の立場の社員はトップの意見に絶対逆らえない構図になっているのです。
その結果いつの間にか企業倫理や秩序が崩壊し、もはや社会の公器としての役割を失ってしまっていることが往々にしてあります。
従って、オーウェルの動物農場は政治体制のあり方だけではなく、もっと本質的な人間組織のあり方を読み解くヒントにもなりそうです。
そのような視点で本作品を読み返してみるのも面白いかもしれません。
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