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チリってどんな国?

チリに来て約3か月が経ちました。毎日のスペイン語の授業を通してそれなりに上達した気になり、意気揚々と店員との会話に挑んだら相手の言うことが何一つ聞き取れず、身振り手振りと初級単語でなんとか意思疎通をするという相変わらずのextranjeraですが、毎日楽しく過ごしています。

今年の初めに夫がチリに赴任した時点では帯同するつもりはなく、それから半年間、仕事を辞めサンチャゴに引っ越すまで色々紆余曲折がありました。キャリアを中心に回っていた生活を手放すことに対する抵抗感が主でしたが、いざ来てみると言語を中心に学びの軸ができ、自由な時間もでき、充実した暮らしを送る上で自分に欠けていた感覚を取り戻せたような気がします。またこれは移住してからの発見ですが、異国の地に外国人として住む方がむしろ自由で心地良くすら感じる時があり、まだしばらくは日本に戻りたくないとすら感じています。
(※この解放感とワインの美味しさ故、夫をはじめとする周りの方々に何度かご迷惑をおかけしてしまっていることも自覚しております…その反省文も記事にしようかな…)

人生初のワイナリー体験。ここでも飲みすぎたかもしれない

チリに移住するに至った経緯や当時の迷い、考え方の変化についてはまた後日書こうと思います。今回はサンチャゴに住み始めたばかりの一個人としての視点から、チリがどのような国なのか、面白いと思ったポイントを中心にまとめてみました。

チリの基本情報

地理

国土面積は約76万㎢で日本の2倍、人口は約2,000万人で東京と大阪を足し合わせたくらい。南北の長さは4,300kmで北の亜熱帯気候から南の寒帯気候まで多様な気候帯にまたがる一方で、東西の幅は180kmのみという非常に細長い地形です。主要な産業は銅をはじめとする鉱業と農林水産業。一人当たりGDPは約$16,000で日本の4割程度となります。

私が住んでいるのは国土の真ん中に位置する首都のサンチャゴですが、地中海性気候に属しほぼ年中晴れているため、日本よりは過ごしやすい気候であると今のところ感じています。ただかなり乾燥しており、持参した日本の高保湿化粧水と乳液では太刀打ちできず、最近は諦めて顔にニベアを塗っています。また特に夏は日差しが非常に強いため帽子とグラサンは必須です。

サンチャゴ市内にあるビセンテナリオ公園。
奥には日系企業の拠点もあるオフィスビルが見える

言語

チリの公用語はスペイン語ですが、アンデス山脈に囲まれ他地域との交流が制限されていたためか、かなり独特であることで有名です。まずは基本的に語尾の "s" が消え、例えば英語でいう”How are you?” である "¿Cómo estás?" が "¿Cómo estai?" になります。また "aburrido"(退屈) が "fome" になったり、"de inmediato" (すぐに)が "al tiro" になったりと、chilenismoといわれるチリ特有の単語や言い回しが日常的に使われます。さらにはっきり発音せず抑揚少なめで話す人が多いので、スペイン語初心者にとってはリスニング最難関といえるでしょう… スペイン語圏の中でも悪名高く、若干失礼な気もしますがこんなmemeもできています。

名物

チリの名物といえばワインで、輸出量はイタリア、スペイン、フランスに次ぎ第4位。その多くがブラジル、中国、英国、米国、そして日本に輸出されています。なかでもカルメネールは害虫によりフランスで絶滅してしまったところ、チリにメルローとして持ち込まれていたものがたまたま見つかり、広く栽培されるようになったチリを代表する品種です。ワインの知識ゼロの感想ではありますが、カベルネほど重くないけどピノノワールほど軽くなく、割と何にでも合う気がします。
他にも水産物をはじめ色々ありますが、個人的に驚いたのはラピスラズリの産地であること。世界でもアフガニスタンとチリの2か国で主に採掘されているそうで、お土産ショップに行くとラピスラズリの小物やジュエリーが売られています。

カルメネールの代表格といえば…MontesのPurple Angel。
高いけどとても美味しい

政治

チリの現大統領は左派のガブリエル・ボリッチ氏で、若くてカリスマ性があるのかと思いきや支持率は30%ほど。チリは他の多くの南米諸国と同様に社会主義国家成立 ⇒ (反共を貫く米国の介入もあり)クーデターにより軍事独裁政権誕生  ⇒ 民主化という流れを経ています。そのため世代間・左右でかなり思想の違いがあり、(チリはまだマシらしいですが)汚職に手を染め民意を汲み取らない政治家への不信感や行政全体への不満も根強く、国の記念日には中心街でデモが行われます。翌日そのエリアを通ると目が沁みましたが、後日聞いてみると大気中に漂う催涙ガスとのことでした。現地の人曰く「南米の政治はオワッテいる」とのことですが、このあたりは興味がありつつまだ勉強不足なので、もう少し学んでからまた記事にしてみようと思います。

チリで驚いたこと3選

色々ありますが…まずは3つ!

ハッスル文化

初めて地下鉄に乗った際、すぐ隣でスピーカーとマイクを持った男性が大音量でラップをし始めて衝撃を受けました。スペイン語だったため何を言っているのかよくわかりませんでしたが(雰囲気的には世の不条理を訴えている感じ)、普通に上手かったので途中自らチップを渡しに行く乗客もいました。ラップが終わりチップを集めると、男性は次の駅で降りて改札をかいくぐり反対方面の電車にまた乗っていきました。車両内でのパフォーマンスは原則禁止されていますが、その後も度々ラッパーや歌手を見かけます。

他にも交差点で待機中の車の前でジャグリングする人や、レストランでバイオリンを片手にテーブルを回り客の希望する曲を演奏する人など、何らかのパフォーマンスと引き換えにチップをもらう人を多く見かけます。収入面での必要性やそこから浮かび上がる所得格差の問題も勿論あるのだと思いますが、見知らぬ人の前で突然技を披露することやそれを評価してお金を渡すことが日常の一部になっており、そこに恥じらいや迷惑といった感情がないことが新鮮でした。 

犬文化

街全体が非常にドッグフレンドリーで、スーパーや一部店舗・飲食店を除き多くのお店に犬を連れて入ることができます。大きなショッピングモールでは大抵犬を連れた人を見かけますし、テラス席中心にはなりますがレストランでも犬がいることは普通です。公園では犬にリードをしない人も多く、一緒に走ったりボールやフリスビーを投げたりして遊んでいる家族を多く見かけます。一方で散歩の糞を拾わない人も結構いるため、芝生を歩くときは注意が必要です。

飼い主が公園のトイレに行く間、外でリードなしで放置されるダックスフンド×2

ビールが美味い

チリワインに馴染みのある方は多いかと思いますが、実はビールもとても美味しいです。Valdiviaをはじめとする南部の地域を中心にドイツ系移民が多く、そこでビールが造られるようになったそうで、かなりクオリティの高いビールがお店でも家でも飲めます。定番はKunstmannのTorobayoやAustralのCalafate、最近知ったDolbekのMaqui(ベリー味)も美味しく、日本と比べると総じて炭酸が弱めで飲みやすい印象です。

冷蔵庫に必ず常備されている現地のビール。パッケージもおしゃれ。
夕食時思わず手が伸びてしまう…


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