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花束とメールと

いつもの通りmixiに書いていた日記の転載です。
随分と情熱があったというか若かったな…



取引先にお邪魔すると担当さんがいきなり謝りました。
「かおりさん、ごめんなさい。私、ちゃんとお伝えしなくて。」
「?・・・何かございました?」・・・たいていこういう切り出しの後には トラブルやクレームが多いのでビビりつつお話を伺ってみると・・・

・・・・・・・・・・

課長、××に店長として異動するんです。先週、かおりさんが帰ったあとに課長が
「かおりさんは?」と聞くので
「帰っちゃいました」って言ったら
「俺、来週いないからかおりさんに会うの最後だったんだよな~。 よろしく伝えといて。」って・・・残念がっていました。本当にすみません!

・・・・・・・・・・

「課長がそんなことを仰っていたのですか?」ちょっとうるっときました。 課長は担当ジャンルが違うので本来は私がかかわる立場ではありません。 事務所の窓口的な立場にいらしたので、入店の手続きをお願いしたり 担当さんのスケジュールの問い合わせをするくらいでした。

会話らしい会話をしたのは課長がテレビに出演していたのをたまたま観たので 「拝見しました。」と伝えて「あんなの観てる人いるんだ。」って言われたことと 担当さんと流通の日程確認でカレンダーを見ていて誕生日トークになったときに 「かおりさん私より1歳上なんだ。」といきなりビックリされたことだけ。

私は課長の冷静でのんびりしつつ、全体を把握している目を尊敬していました。 穏やかなかたですがお会いする時はいつも背筋が伸びました。 ・・・というか、緊張しすぎて冷や汗かいてボロボロになっていました。 挙動不審だろうな~といつも帰り道に反省したものでした。
なので、まさか私を気にかけてもらえるとは思ってもみなかったので ビックリするやら、ありがたいやら。

「明日、後任への引き継ぎで出勤しますけど、いらっしゃれませんよね。」
・・・すみません。午前中は私用があって午後はアポイントです。
「明後日は隣のレストランで送別会なんですがかおりさんも・・・」
・・・そ、それは、私はただの版元の立場ですから、そんな場には・・・。
「じゃ、別に場を設けて・・・」
・・・いや、だから・・・(汗
「本当に、課長、ガッカリしていたんですよ。かおりさんごめんなさい。」

私が今の会社に採用された理由の一番はこのお店のフォローをさせるためでした。 お店も私も初めてのことばかりの中で必死になって走ってきました。 担当さんとは二人三脚でウチの商品の売り上げを1年で2.5倍にしました。 これはそのまま担当さんのジャンルの前年比250パーセントを意味します。

担当さんとは、ある意味「同期」のような感覚だし、戦友のようでもあるけれど ジャンル外の課長から、別れを惜しんでもらえるとは思ってもみませんでした。 私はとても幸せ者だったのだな、と仕事中なのにグッときてしまいました。 課長には感謝の気持ちをこめて小さなお花を贈ることにしました。

翌日、帰宅してから仕事のメールをチェックすると、会社から、課長が移動の挨拶の電話をくださったと連絡がありました。そして、課長ご本人からのメールもありました。 カタくて長~い「異動の挨拶」の後に1行

*お花ありがとうございました。これからも▲▲店をよろしくお願いします。

ブワッと涙がでました。
何のヘンテツのない文ですが、私のこの1年半がフラッシュバックしたのです。
私はとても人との出会いに恵まれていると思います。
しかし、それが一番実感できるのは、その人とのお別れのときなのは切ないですね。

またいつか、課長とお会いしたときに恥ずかしくないように これからもどんどんお店の業績のばしてやるぜ!!!

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