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脳の病気が治る時、頭蓋骨の形が変わる

私の子供が小さい頃、低酸素性虚血性脳症のダメージの他に脳室拡大があったために頭はボコンと変形していて「いかにも病気の子供の頭」という感じでした。水頭症とまでは診断されなかったのでなんの処置もなく、ただただ頭は巨大で、見た人を不安にさせたので、どれほど顔がかわいかろうと私がかわいいと思っていようと、すれ違う人はあからさまに表情に表して恐れていました。

顔の面積に対して頭が大きいというか、おでこがとにかく出っ張っていて張っているところと凹んでいるところがありました。ぬらりひょんのように後頭部が飛び出ていたので「大きい大きい」という声が誰かとすれ違うたびに聞こえてきました。

おでこがとにかく出ていてあちこちボコボコ
頭の半分以上がおでこ

特に同じマンションに住む人達はエレベーターで一緒になるたびに目が飛び出そうなほど驚いて、同時にこちらを見ないようにしながらも「かわいいですね」とお世辞を言うんです。別にそんな風に無理をしなくてもいいのにと思いながら過ごしていました。

病気の赤ちゃんの見た目というのは人を不安にさせるのでしょうか。そして私がかわいがればかわいがるほど他人はそう思うようでした。子供の見た目の異常さに気づかない私の方が異常だと、誰も言わないけれどそう思っていることはわかっていました。でもかわいいものはかわいいのです。


それでもある日突然変化はやってきました。

見ると私の子供の頭は以前のように大きくなくシュっと締まっていたんです。出っ張っていたおでこが出ていません。それ以前に頭のサイズそのものが小さくなっている。

大きかった頭が小さくなったんです。

ちょっとずつおでこが凹んできた

ちょうどその日は言語療法の日だったので先生に聞いてみたら「脳性麻痺の子供にはたまに聞く話ですよ。水頭症の子でもある。頭蓋骨が締まるんです。キュっと小さくなって、それまで大きかった頭が本当に小さくなる。でもこれ育つ過程で起きることだからお医者さんとかはあまりそこまで細かくケアしてる人も少ないし知らないと思う。でも療育の現場では時折聞く話なんですよ」と言われました。

先生は「ポコンと音がして小さくなったという人もいました」というのです。そんな話は一度も聞いたことがなかったので私はとても驚きました。

私の場合は帽子をかぶせようとしたときにスポスポとしていたから気づいたんです。明らかに頭が小さくなっていたので「あれ?」と、思ったんです。

脳が変化するとき、頭蓋骨の形は変わるそうです。だから一度ボコボコになって痛々しい姿になったとしても心配することはないのです。

成長して脳が頑張って発達していれば病気の子供じゃなくたってどんな子供でも頭の形は変わります。「頭が大きい」と言われていてもしょせんは子供の頭ですから大人になる過程では問題ありません。

おでこのボコンは消えました

そして時間がたつにつれそれは徐々に改善され、そのうち誰も頭が大きかったことは忘れてしまいました。


流れとしてはこんな感じ。

・最初はとにかく体に対して頭が大きく、おでこが飛び出ていてボコボコと形が悪かった
・頭がちょっと小さくなったような気がした
・頭の周りを測ってみると実際に2cmほど小さくなっていた
・しばらくするとボコボコした凹凸が消えて頭のラインが丸くなってきた
・おでこの出っ張りが目立たなくなってきた
・体に対しての頭の大きさのバランスが良くなってきた
・違和感が全くなくなった頃、立って歩けていた


最初の頃は確かに体の大きさに対して頭がとにかく大きかったんです。脳にダメージがあるからそれを治すために体の他の部分よりも脳を成長させるのに集中しているのだと私は考えていました。そしてそれが終わって初めて身体を成長させることにエネルギーを使うから、それまでは立って歩けないだろうなと思っていました。

最初に「頭が締まって前よりも小さくなった」と感じたのは3歳くらいの頃でしたが、それから2~3年で徐々に小さくなり全身とのバランスが取れてきました。

頭が完全に違和感がない程小さくなってきたのはちょうど歩けるようになった頃でした。

アンドロゲン補充を始めた後1か月後くらいにも「頭が小さくなってきた」と病院で相談したのを覚えています。抗エストロゲン薬を使ったときも「おでこが急にシュっとしてきた」と相談しました。

ホルモンと髄液の関係がきっとあるのだろうなと思いましたが小児科の先生は何もわからないというのでそこのところははっきりとはしません。私も調べていません。


それよりも気になることがあります。

頭が小さくなりかけたころ、私が子供に頻繁に食べさせていたのが卵と納豆です。卵は卵黄レチシンが、納豆は大豆なので大豆レシチンが含まれています。レシチンはグリア細胞の材料になると聞いて「これは食べさせなければ」と思っていました。

よく脳細胞のケアにホスファチジルコリンのサプリメントを飲む人がいますが高価なサプリメントをわざわざ買わなくても卵で十分だと思います。脳神経に良いのは大豆よりは卵と言われていますが、サプリメントに使われる原料は安価な大豆が多いので。

今でもうちの子供は卵が大好きで1日4~8個食べています。納豆も3パックくらい食べるし焼きのりは5枚以上は食べます。これだけ言うと管理栄養士さんは驚いて「食べすぎ!」と言いますが、レクチン不耐症の場合は食べれる食材が少ないので特定の食材を大量に食べることになります。子供は胃袋も小さいので沢山食べることもできません。そうすると栄養価の高い食材をドカンと食べるしかなくなるので、こういう結果に至ったのだと思います。子供自身が取捨選択した結果がこの食べ方でした。

卵+納豆+焼きのり+しょうゆ+鰹節+ベーコン生姜+梅ペーストの組み合わせが最強で、いろいろ組み合わせ方を変えながら食べています。それを食べさせた後はやはり子供の身体の調子も良いです。言葉の出方も筋肉の硬さも良好です。

これはたかが卵かけごはんですよ。でもダメージのある脳には完全な治療食です。


もしも脳に障害ができたら賢く育てるためには「逆にチャンス」だと思うといいと言う人がいました。

それは「グリア細胞は脳のダメージを修復するために働く組織でダメージがあるならグリア細胞が増えるチャンスなんだ。グリア細胞の多さが頭の回転の速さや思考力に関わるから賢く育てるためにはグリア細胞は必要不可欠なものなんだ。せっかくあるダメージを無駄にするな、グリア細胞を増やすためにはその材料になる栄養素を食べさせればいいんだ。うちの子はそうやって育てたら体は不自由だけど今では知能の方はむしろ普通の子供よりも良い」というのです。それはアメリカの脳性麻痺の団体のサイトのコラムに紹介してあった親御さんの意見でした。

確かに英才教育を謳う教育施設では通信販売で大豆レシチンのサプリメントを売っていますよね。スマートドラッグの一種として仕事のパフォーマンスを上げるために飲んでいる人もいます。脳に必要なのはわかります。

でもグリア細胞だけでは脳は機能しないので、髄消化を進めるための脂質が必要になってきます。となると、髄消化を進める海洋性の脂肪酸とシアル酸が必要に。

お刺身食べないと!卵とお刺身大事!

ちなみに頭だけではなく、足の形も変わります。今まで履いていた靴がガバガバになってしまってはけなくなることはよくあります。これもグニャグニャだった足の筋肉や関節が締まることでキチっとした足に変化するからです。入らなくなった靴もしばらくは保管しておいた方がいいです。子供は良くなる時、いったん急に小さく締まります。ぶよぶよとしているときは大きな発作を起こす前兆だったりしますが、その反対で良くなる前兆として「キュっと締まる」という現象が起きます。

顔も頭も体も、食べたものでどんどん変わります。最初にグチャリとした頭を見たときに諦めてしまったお母さんを病院でたくさん見ました。絶望し、ずっとその時の気持ちのまま子供と接していて、子供がある程度大きくなってもまだ最初の頃の気持ちを忘れず暗いオーラを身にまとったまま暮らしているお母さんがたくさんいました。

その大きくていびつな頭の形だけで「もうこの子はダメだ、ちゃんとは育たない」と親御さんが思ってしまうのは仕方がないことだと思います。だって誰も頭蓋骨の形が変化するだなんて知らないし、育てる過程で周囲の視線がその不安を加速させます。

でも植物を一度でも育てたことがある人ならわかると思います。一番最初に芽が出て順調に育っていた苗と一番最後に芽が出てヒョロヒョロで葉っぱの形もいびつで頼りない苗があるとしたら、定植した場所や肥料や水やりの仕方次第で頼りない苗のほうがしっかりと大きく育ってくれることはたくさんありますよね。最初に良いと思った早熟な苗が育て方次第ではちゃんと育たないこともあります。それはちょっとした違いです。良いと思った土地にたまたまそこにだけ水が上手く流れてこなかったりすることもあるので充実した苗が必ずしも良いとは限らない。それを知っていれば、頼りない苗を粗末にしたりはしないはずです。

人間は生き物です。動物も植物も生き物です。生き物は絶対育て方です。私は小さくて弱々しい苗を見ても最初から何もせず諦めたりはしない。


世のなかのほとんどの人が知らないけれど、脳が良くなると頭蓋骨の形は変わるんです。


ほら、こんなふうに。

卵を食べ始めた直後、表情もキリリと変化




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