見出し画像

2024年 年頭所感

皆さま明けましておめでとうございます。リーウェイズ株式会社の代表巻口です。リーウェイズも設立10年を迎え、あらためて新年のご挨拶がてら、リーウェイズが手がけているビジネスをなぜやろうと思ったのかについてまとめてみたいと思います。


不動産業界への入り口

不動産業界は、私たちの住まいを提供するだけでなく、生涯で最も大きな財産を提供する重要な産業です。
私が不動産業界において、投資不動産デベロッパーでビジネスキャリアをスタートしたのが1994年です。当時においても相当ブラックな体育会系の会社で、会社の営業手法は電話営業でした。経理職で採用されたはずの私も、最初の半年は営業部に配属され、毎日300〜400件の営業電話をかけて、新規顧客を獲得することが仕事でした。

当時は「数字を売るな、自分を売れ」、「考えるやつは売れなくなる、考えるな」と指導されていました。半年後、営業から経理部に配属されたものの、会社の営業手法にはモヤモヤした感覚を持ち続けていました。
営業というものは最終的には人間的魅力に行き着くとはわかっていたものの、お客様の人生にとって重要な意思決定である不動産投資において、きちんとした数字的な説明を省くことが、やはり腑に落ちなかったのです。

営業から見た不動産の新たな可能性

当時チラシや新聞の切り抜き、パンフレットのみで営業をしていたものを、自費で買ったパソコンで、エクセルで収支シミュレーションが簡単に作れるような仕組みを作り、全社に導入を進めていきました。
営業部からは大変感謝された記憶がありますが、そうはいってもあくまで営業ツールにすぎず、不動産を購入した場合の税金の計算や、返済計画、10年収支などを自動で算出できる物でしかなく、「お客様の人生において不動産がどのようにリスクを軽減させるのか」、「個別性が強い不動産のリスクはどのように分析すればわかるのか」ということを説明できるような物ではありませんでした。

投資不動産営業は当時からお客様からのクレームが多く、営業の現場ではお客様から、「こんな仕事して恥ずかしくないのか」とか「子供に胸がはれるのか」などと言われたこともありました。
当時ふとアメリカではどうなんだろうと考えた私は、インターネットでアメリカの不動産営業の情報を収集した時に強い衝撃を受けました。
アメリカでは「医者と弁護士と不動産エージェントが友人であれば一生いい人生が送れる」と言われているというのです。なぜ日米でこんなに評価に違いが出るのだろうという疑問はずっと頭から離れませんでした。

コンサルタントとしての新たなステージ

その後、もっと自分自身の能力を高めるため、外資系のコンサルティングファームに転職したのが2000年です。

金融機関や製造業などのさまざまな業界のコンサルプロジェクトに参加し、MBAも取得し、情報の収集分析能力が高まったため、再度アメリカの不動産業界について調べたところ、日米の、この不動産業界への評価の違いの原因はデータにあるとの結論に至りました。
MLSという不動産業界の共通データベースが整備され、データが広く公開され、分析データも充実しているがゆえに、不動産エージェントは物件でなく、サービスで勝負をするというマーケットになっている。だからこそお客様から信頼される。他方、日本では情報は隠すもの、囲い込むものという状況になっている。だからお客様は安心できず、結果として信頼されにくい。
コンサルタントとして外部から改めて不動産業界を分析したところ、データの不整備が不動産業界の発展を妨げていると強く思うようになりました。

データ分析に基づくリノベーションビジネス

そこで、日本できちんとデータを使った新しい投資不動産ビジネスを実現しようとリズム株式会社を立ち上げたのが2005年です。

リズム株式会社では単身者向けのワンルームマンションをリノベーションするというビジネスを展開しました。通常ワンルームマンションの改修費は150万円くらいでフルスケルトン工事が可能であった中、一部屋400万円以上かけたワンルームマンションは、現在においても珍しく、今では3万人以上の入居待ちとなるブランドを構築することができています。

不動産業界ではこだわったリノベーションをするほど貸せなくなる、売れなくなると言われています。なぜならば工事費の分の家賃をあげなければならないからです。そこで、不動産のデータをきちんと分析することで、不動産のもつリスクとリターンを可視化する仕組みとして一物件一物件デューデリジェンスレポートを作成し、高額なリノベーションをしても採算の取れる分析を行って事業化していきました。

リーウェイズのデータ主導の挑戦

2008年のリーマンショック後、多くの不動産事業者が業績不振になるなか、今後の経営戦略を考えるために再度アメリカの不動産マーケットを調べたところ、ZillowやRedfinといったAIやビッグデータを使ったプレイヤーが話題になっていることを知りました。
アメリカで起こることは遅れて日本においても起こる、日本においてもMLSのようなデータ分析ビジネスが必要になると確信した私は、インターネット上の不動産データを全て取得するプログラムを独自に構築し、データの収集をはじめ、またデータ分析のために金融工学理論を学ぶ目的のもと早稲田大学の大学院に進学しました。大学院修了後、あらためてデータ分析のための仕組みを作りたいと今のリーウェイズ株式会社を設立したのが2014年です。

2008年から収集し続けた不動産データの蓄積は今では2.5億件を超えるまでになっています。現在、金融機関や不動産事業者、インフラ事業者など幅広く500社を超える企業に弊社サービス「Gate.」をご利用いただいています。

データ活用による不動産の未来

不動産ビジネスに関わってから30年間、私の頭の中にはずっと不動産をデータできちんと分析したいという考えを持ち続けてきました。

不動産業界と同じくアナログだった日本の中古車産業や証券産業がデータの開示によってマーケットが急拡大したように、不動産マーケットも不動産データの分析によって拡大すると確信しています。
データが正しく分析できれば古くなった不動産の価値も再評価され、流通するようになるからです。中古不動産の流通の活性化は不動産業界の長らくの課題でした。人口減少経済において、過剰供給されている不動産ですが、だからこそ正しく不動産の価値を分析する必要があるのです。投資不動産だけでなく自宅こそ資産価値を考えて購入する時代がきているのです。



会社設立10年のこのタイミングで、データ分析によって不動産業界の市場拡大、流通促進に貢献するビジネスを今後も続けていきたいとあらためて表明することで新年の挨拶とさせていただきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?